共同体「ファイブスターアライアンス」1周年記念講演会を終えて


「そういえば、もうすぐ共同体を組織して1年になりますね」 

「え?もう、そんなになる?」 

「何か1周年記念のイベントします?」


そんな何気ない会話からはじまった今回の1周年記念の講演会。そんなたわいもないひとことから、まさか、初代北九州基幹相談支援センターセンター長の柳沢さんをお呼びすることになるとは、このときの私たちは想像もしていませんでした。

しかし、実現に向けて着実に進んでいくなかで、徐々に緊張感を感じることになり、「このような機会はこれから先、ないかもしれない」そんな思いが大きくなる中で、筑紫圏域のみならず、福岡県下のたくさんの相談支援専門員の方々に声をかけさせていただきました。



「もし、人が集まらなかったらどうしよう」

そんな不安を抱えながらの事前の参加予約をスタート。すでに開催日の1か月を切る時期からスタートし、平日の午後、業務時間中という時間帯での開催、集客目標を何人にすればよいのか?もわからず、大幅な赤字覚悟の開催になるかも?という不安に押しつぶされそうになりながらのスタートでした。



しかし、蓋を開けてみれば、福岡県内の13保健福祉圏域のうち10圏域から、65名という本当に数多くの皆様にご参加いただくことになりました。ご参加いただいたみなさまおひとりおひとりに、共同体を代表してこころから感謝申し上げます。

今回の講師である柳沢さんは、私個人としては、お名前を身近に感じながらも、直接、お会いしてお話しさせていただくのは今回が初めてで、まだ、精神保健福祉士として経験の浅い頃に、縁あって八女市の相談支援の現場で勤務させていただくなかで、柳沢さんのお話はいつも耳にしていました。

まだ、経験も浅いソーシャルワーカーだった当時の私は、柳沢先生と直接やり取りをするような立場ではありませんでしたが、とにかく、「福岡県の相談支援体制の構築に尽力されている」当時の相談支援センターの職員はみんな「柳沢さん」と口にするほど、頻繁に出てきていたお名前であり、私にとってはまさに雲の上のような存在だったことを、今でも思い出します。

すでに現場を引退されている柳沢さんを、今回、共同体設立1周年の記念として、私たちの担当地区である筑紫圏域にお呼びすることができたことは、個人的には少しばかり、この地域の相談支援に貢献することができたかなと思えるような、この圏域で長年、相談支援の一端を担ってきた者として、まさに数少ない成果とも呼べるような機会だったと思います。

同時に、次にこのようなお話をお伺いできるかどうかわからないからこそ、当時の相談支援のこと、相談支援に対する思いをお聞かせいただけるのではないかと、私自身、この日を楽しみに迎えることができました。



今回の講演会を開催するにあたり、一度、事前に打ち合わせのためにノーマにお越しいただいたときと、実際に当日お越しいただき、昼食をともにさせていただいたときにお話をお伺いした時間は、私にとっては、濃密で、過去のこれまでの私の相談支援を振り返る上でも、本当に貴重な時間となりました。

振り返れば、今、こうやって4つの事業所と共同体を構築し、一緒に様々な話をしたり、検討したりしていますが、ほんの少し前まで、このような制度がはじまり、私たちが制度を利用して共同体を組織することになるとは思いもしませんでした。他の事業所ながら、同じ相談支援に対する思いを共有できるメンバーたちとこうやって協力し、ともに時間を共有し、何かを成し遂げることの素晴らしさを感じる機会にもなりました。



個人的な話ですが、計画相談の相談支援専門員として10年の節目を迎えた時、私のなかでなんともいえない「閉塞感」「焦燥感」に苛まれました。それは、実際にコロナ禍の時期のようなものではなく、自分自身のキャリアや成長における面での漠然とした不安でした。

これまでの自分は、自分の思いのまま、周囲を巻き込んで突っ走ってきましたが、法人内の配置転換によって、約1年間だけ、相談支援の最前線から少しばかり身を引くことになり、少し広い目で客観的に今の自分の地域を見るきっかけになりました。そこで感じたのは、変わっているようで、何も変わっていない、私自身も含めて何も進歩していない状況を目の当たりにした機会だったような気がします。

そして、計画相談の相談支援専門員として、自分以上のキャリアを持つ存在が身近にいないまま、時間の経過とともに、同じ場所に立ち続ける自分に「違和感」すら感じていたと言えます。今のままを継続することも尊いことだと思いますが、私自身には、変化のない現状のまま、同じことを続ける不安の方が大きかったようにも思います。

もはや、私個人は地域を牽引する存在ではないわけで、私よりもはるかに能力の高い相談支援専門員はこれからもっと増えていくのです。しかしながら、この地域に私自身がこれまで費やしてきた人生の時間は、自分が納得する結果を生み出してきたのかということを考えざるを得ない時期になっていたのです。



今年、50歳を迎え、体力的にも限界を感じるようになりました。先日の9月末には、不調を感じ、自ら受診し胃カメラ検査を受けたばかりです。結果、何事もなかったのですが、不定愁訴に悩まされる日々は今も続いています。実際に、同じ福祉職の仲間たちと話す内容も健康の話題が増えてきました。全力で向き合える時間が、この先、どの程度私自身に残されているのか?わからないからこその先行き不安の中にありながらも、反面、自分の成長のために変化を求めて自らに負荷をかける自分がいるのです。

この矛盾する思いを抱きながら、だからこそ、同じ現場で私たちよりもキャリアの長い方々とのお話しは、本当に貴重だと改めて感じるのです。今回の講演会の中で、柳沢さんからお話しいただいたことは、計画相談のスタート時からやり続けてきた私にとっても、また、参加された皆様にとっても、何か腑に落ちるきっかけになったり、内容に共感したり、そして、自分の選択した道に間違いがなかったことを確信する機会になった方も多かったのではないかと思うのです。

地域に相談支援を発展させるために必要なことは、対峙ではなく共に考えること。共通言語をつくるための時間と労力を惜しまないこと。誰もがわからないなかで進めていくなかで、本当の意味での相談支援体制は、効率化などでは実際に実現しないということが、過去の実績を積み上げてこられた柳沢さんのお話しのなかに散りばめられていました。

誰もが避けずに向き合い、あきらめず、共にささえあい、時には愚痴を吐きながら継続する中に答えが見えてくるのだということを、改めて思う機会になりました。



「みなさん、相談支援は楽しいですか?」


柳沢さんは最後にこう問われました。

このことばは、私にとっては染みると同時に滲みるワードであり、複雑な感情に苛まれました。この10年、同じ計画相談という業務を通じて、様々な感情を抱えてきました。時には、辞めたいと思ったこともあります。逆に、利用者やご家族のことばに救われたこともあります。それでも、10年継続してきたある種のプライドと、この実績を途切れさせたくない思いが、今もなんとかこの地で相談支援を行う力になっています。

今回の講演会は、参加されたそれぞれのお立場によって、様々な思いや答えになったのではないかと思います。フロアとのやりとりの時間での参加者のお話を伺い、その想いは確信にかわりました。新人もベテランも、いろんな想いを持って日々、取り組んでいます。

今回の講演会は、誰かにとっての何かしらの課題や想いに対して、その解決策や納得する機会になったのではないかと思います。



ご参加されたみなさんにとって、何かこころに残るきっかけになり、そして明日の活力につながれば幸いです。


共同体ファイブスターアライアンスメンバー
株式会社五つ星工房 計画相談支援室ノーマ
運営統括管理責任者 寺川











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