《放課後等デイサービス/事業所向け》放課後等デイサービスが儲かるという神話を信じている方々へ

優良事業者ほど経営危機に陥る矛盾 報酬改定で「放課後デイ」が苦境

深澤友紀AERA

https://dot.asahi.com/aera/2018070600038.html

障害のある子が過ごす「放課後デイ」。今年4月に報酬改定がおこなわれ、大幅減収の事業者が続出。保護者からも不安の声が上がっている。

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「職員の給与をカットしなければならない」「事業所を閉鎖せざるを得なくなった」「事業所がなくなればうちの子をどこに預ければいいのか……」

 現場から悲鳴が上がっている。今年4月以降、こんな状況が生まれているのが、障害のある子どもたちが放課後や長期休暇中に通う「放課後等デイサービス(放課後デイ)」だ。

 福祉サービスの事業報酬が4月に見直され、大幅減収によって存続の危機に直面する事業所も出てきている。今回の改定は、利潤だけを追求した質の低い事業所が増えているという批判などに対応したものだったが、減収によって手厚いケアを行っていた事業所までが苦境に立たされるという本末転倒な状況だ。

 放課後デイとは、障害のある子どもの発達支援や居場所づくりを目的に、小学生から高校生までの児童・生徒が通う施設だ。障害があると、健常児のように学校で約束して自ら遊びに行くことが難しく、学童保育や習い事にも受け入れてもらえないこともあり、放課後を過ごす場所に悩む場合が少なくない。保護者らが対策を国に求め、2012年度に放課後デイが児童福祉法で制度化された。

 東京都江東区の放課後デイ「まつぼっくり」。知的障害のある高校生たち10人と職員7人が車座になり、職員のひとりが呼びかける。「みんなで何をしようか」。意見が出なかったため、職員が女子生徒を指名すると「貨物列車!」と元気な声が。次に指名された生徒も「貨物列車」と言い、みんなで立ち上がり遊び始めた。児童発達支援管理責任者の田中祐子さんは言う。

「自分たちで予定を考え、話し合って決めていくことも大切にしています」

 みんなでメニューを考えて買い物に行き、調理して夕食を食べて片づけをする日もある。過去にはスケジュール通りに進まないとイライラしてしまう自閉症の男の子もいたが、「予定と違っても楽しそう」と少しずつ柔軟に受け入れられるようになっていったという。


「彼らは障害があることによって経験が圧倒的に少ない。いろんな経験を積むことで、障害はなくならないけど障壁は低くなる。仲間との活動やどんどん地域に出ていくことを通して、地域社会で生きていく力をつけてほしい」(田中さん)

 学校でもない家庭でもない第三の居場所として障害児の発達支援に欠かせない放課後デイ。12年度には2540事業所だったが、昨年4月には1万以上と4倍になった。

 利用者は今年3月時点で、約17万8千人。1回の利用料8千~1万円のうち9割が公費で1割が利用者負担。上限は一般世帯で月額4600円だ。

 厚生労働省の14年障害福祉サービス等経営実態調査によると、収入に占める利益の割合を示す「収支差率」は放課後デイの事業所平均が14.5%で、全平均の9.6%を大幅に上回った。基準より多くの職員を配置して、手厚く支援する事業所はこれほどの利益は出ないが、利益の多さから、さまざまな事業者が参入。ネット上には「3カ所開設すれば年商3億」「障害のことを全く知らなくても開けます」などの文言も躍った。その結果、子どもを集めてアニメを見せるだけといった適切な支援を行わない施設が増え、事故も急増した。

 国は一定の質を担保するために、15年4月には「放課後等デイサービスガイドライン」を策定。昨年4月には開設基準を見直した。事業所職員について、管理責任者は障害者や児童の支援経験3年以上を必須化し、配置の最低基準の職員(子ども10人までは2人以上)の半数以上を児童指導員か保育士とする基準を設けた。

 だが、今年4月の報酬改定が問題だった。厚労省は重度の障害児を受け入れた場合は報酬を手厚くするとし、国の定める指標に基づいて市町村が子どもたちを判定、「重度」の子が半数以上いる事業所は「区分1」、いない事業所は「区分2」とされるようになった。基本の報酬は区分1では3~4%の減額、区分2では10~12%の減額となる。


 判定はまず今年4月に行われたが、国が示した新指標とは別の指標で判定したり、障害者手帳の等級を用いたりした市町村もあるなど、対応が分かれた。不服申し立てや問い合わせに応じないところもあった。

 放課後デイの事業者でつくる「障害のある子どもの放課後保障全国連絡会(全国放課後連)」のアンケートによると、回答した210事業所のうち、約65%の事業所で判定に際してヒアリング調査もなかったという。その結果、約82%が区分2と判定された。ヒアリングが「あった」と回答した18事業所のうち16事業所が区分1だった。

 都内で3事業所を運営するNPO法人わんぱくクラブ育成会では、全事業所が区分1でも約550万円、区分2なら1千万円ほどの減収となるという。

 わんぱくクラブでは国の基準の(利用者と職員の割合)10対2より多く、10対5~6ほど職員を配置するよう努めている。

「職員を多く配置し支援するからこそ障害が重い子も落ち着くようになるが、そうすることで逆に判定が良化して(重度の)指標該当児から外れれば、事業所の区分も変わってしまう。ますます経営が圧迫され適切な支援ができなくなる」

 と理事長の宮本実さん。

 15歳の子どもが放課後デイを利用する群馬県の小倉理代さんも今回の判定に納得がいかない。市役所で判定結果を見たが実態と違い、再判定を求めても取り合ってもらえなかった。

「ちゃんと聞き取りもされずに判定され、納得できない。事業所が閉所となったら保護者は仕事ができなくなる。誰が責任を取ってくれるのでしょうか」

(編集部・深澤友紀)

AERA 7月9日号より抜粋


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放課後等デイサービスの運営は、普通にやっていても運営を維持することが難しくなりました。

NOMAがこどもたちを通して関わる放課後等デイサービスさんも同様です。

儲かるために行う「放課後等デイサービス」は終わりを告げます。
儲かる以外で、社会起業家として生きていきたいと考える人たちにとっては
申し訳ございませんが、今は大変素晴らしい時期と言えます。

私も本来は福祉の世界で生きるつもりはありませんでしたが
縁あって、この世界に飛び込みました。

この道を選択した以上、最高品質を目指していきます。

そして、そのことが那珂川町・春日市で生活する方々の
地域福祉の向上につながると信じています。

私がそこを目指す以上、私と関わる方々とも一緒に目指していきたい。

そのためには、5年、10年と生き残ることが重要です。
生き残るためには、そのための「スキル」が必要です。

それは、支援技術ではありません。

どんなにすばらしい謳い文句を口にしても
生き残らないと、その事業所は「存在意義」もないのです。
時代の流れにあわせて、先手を打っていかないといけないのです。

今が良ければ良いなんて時代は終わりました。

今を維持するためにも、私たちが変わらないといけない時代なのです。

利用者が増えないのは、増えない理由がそこにあるからです。
それの理由が見つけられないのであれば、残念ですがこれからも増えません。

どんなに考えて、理由が判明したとしても
すぐに利用者が増えるものではありません。

今、利用者さんが多い事業所も、安心しないでください。
こどもたちが卒業したときに、利用者が入ってくる保証はないのです。


さぁ、すばらしい支援をしていますよ!と謳う前に、
生き残っていくための動きをしていきましょう。


良い支援をすれば、経営を圧迫なんてことは、
あってはいけないんですよ!

すばらしい事業所なんて、いくらでもありますからね!

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