6/11『計画相談のきほんの「き」最終章〜ファイナル〜』のご報告



6/11(土)午前10時から午後5時まで、合計約6時間に渡って開催された『計画相談のきほんの「き」ファイナル~最終章~』の報告を書かないといけないとずっと思いながら、自分の中で放心状態とも言える状況で、亀井さんからブログ作成するようにお尻を叩かれてはいたものの、なかなか書こうという気持ちになれなかったのは、正直なところ「ようやく終わった」という想いでいっぱいで、感想を述べるだけの力が残っていなかったからです。

なぜ、今回、『計画相談のきほんの「き」』を最後にしたかというと、もはや、私が計画相談を行う相談支援専門員として、みなさんの前で計画相談に対する話をすること自体に、私自身が意義を持てなくなったからです。私ではなくても、私が今回話をしたような話は誰でもできるわけで、相談支援専門員として、もはや(楽をしているのではなく、新規を受けないという意味での)「惰性走行」になりつつある私の現状からみて、最前線でいろんな課題に直面しながら奔走している「今を走る」相談支援専門員が話をした方が、熱量のある、よりリアルに、より深い話ができると思ったからです。




そして、計画相談として同じ地域に9年目に入っている私が、今、まさに苦しんでいるのは、計画相談を長くやり続けることによって生じる様々な葛藤であり、計画相談を継続する上で苦しみを抱えている状況の私が、希望を持って今から計画相談を始める方、また、始めて間もない相談支援専門員の方々に対して、計画相談に対する明るい未来を示すことができないと思ったからです。実際に精神的にかなり追い詰められた状態であり、これまで計画相談を行ってきた地域にも失望している私が、いかにこの仕事に対して、利用者さんやご家族に対して、「計画相談がいてくれて良かった」と満足して頂けるだけのサービスを提供する上での私自身の「モチベーション」を維持していけるのか?そんなことを思っていること自体が、私が担当している利用者の皆さんにも申し訳ない気持ちでいっぱいであり、同時に、そんな状況の私の話を真剣に聞く受講者の皆様に対しても申し訳ない気持ちになっているからです。

正直に言うと、私自身が計画相談を辞めてしまおうとすら考えていましたし、すでに法人代表にもその意向は伝えていました。

私は、福祉の『綺麗事』を追いかけ、『現実』にしていくこと、その中で直面する地域の実際の課題に対して、皆さんの前で正直に伝えることを、私自身の人生観、仕事観の一部として、自ら求めて活動してきました。そのために、「自己判断できる」「自己決定できる」「自由な立場でいることができる」ことを目指して努力してきたと思っています。その結果が、計画相談支援室ノーマであり、所属法人の株式会社五つ星工房です。これまでの経験で、自分が実現したい支援を追い求めるためには、小さかろうが、大きかろうが、その組織に所属する限りは、その組織のやり方の範囲を設定されることであり、実際に本当の意味での自由は(当たり前ですが)そこに求めることはできないということです。組織に所属することで、自由を束縛されることにはなりますが、ある意味労働者として守られる環境にいると思います。それが、働く上で優先されるからこそ、誰もが所属することを選ぶと思うのです。

しかし私は、結果的にその自由を求めて活動してきたからこそ、法人とぶつかり合ったり、喧嘩をしたり、「あなたが代表だから、自分でやればいいじゃないですか?」と啖呵を切って、後先考えずにやめたりもしてきたのです(苦笑)。私の妻は、当時幼なかった息子に、「4年で3回もあなたの健康保険証が変わるのよ~」と話しかけていたので、かなり爆笑したことがありました。まぁ、確かに家族にしてみたら、当時の私は良い父親ではなかったかもしれません。そうであっても、私自身は、福祉の綺麗事を「事実」「現実」にするために、これまで自分を曝け出し、本音で語り、私なりの業務の進め方や考え方などを、頼まれもしないのにいろんなところで発信もしてきました。地域の会議のなかでも、わざわざ矢面に立って地域でも問題提議を行なってきましたし、別に必要とされなければ、この地域から離れてしまえば良いとすら考えていました。日本で仕事をする以上、「出る杭」になるのはある意味、いろんな面でやりにくくなります。しかし、機能しない制度や施策、機関のために、すべてを背負わされ、犠牲になっている同業者たちを無視することもできず、みんなでつながりながら、誰もが苦しまずに、自信を持って計画相談の相談支援専門員として従事してもらうために、一般社団法人を立ち上げ、つながる環境をつくり、基礎的なスキルや考え方が、地域の支援者によって、この地域を支える計画相談の相談支援専門員に伝わればと思い、始めた研修会が『計画相談のきほんの「き」』でした。


私が常日頃から言っていることですが、私は「この地域の福祉を変えたい」といった何かしらの強い思いや理念を持って、大きなことを成し遂げようといった気持ちは特になく、むしろ、私自身がいろんなことで問題に直面し、私自身が力不足を感じ、誰かに助けてもらいながらやってきた計画相談だからこそ、きっと、これからさまざまな問題や課題に直面し、そこに向き合い、解決に向けて取り組むであろう相談支援専門員の皆さんに、せめて私がいる身の回りの方々とつながり、支え合える関係性が大切であることを伝えることができればと思っているだけなのです。本来は、私の役割ではなく、基幹相談支援センターがその役割を担えば良いのです。ただ、そういった研修が身近ではないこと、当時を含めて、そういった環境もない状況だったので、私たちで行うようになっただけなのです。

私が地域で計画相談を始めた頃は、地域で誰も教えてくれる人がいませんでした。行政に尋ねても知る人はいませんでしたし、結局、ツテを伝って、知り合いの計画相談を行っている事業所に見学に行ったりして、ようやく自分達の形を作ってきたのです。でも、始めてしまった以上、計画相談が計画相談として確立していくこと、計画相談を周囲に認識してもらうことが求められるのですが、実際には、計画相談の必要性を否定されるほど、計画相談自体が適当な対応を行い、実際に「計画相談不要論」すらあった時代があったのです。この地区で、最初に計画相談をスタートし、未だに同じ地域で同じ人が計画相談をしている人は、実際にそうたくさんはいません。でも、この地域の計画相談を確立していく使命を感じた人たちがいたからこそ、今や誰もが知る計画相談に取り組むことができるのです。




そして、これからの計画相談の相談支援専門員が求められるのは、その計画相談をぶれずに継続していくこと、そして、計画相談の役割を理解しながら、つながりを広げ、深化していくことだと思うのです。しかし、それは、黎明期を担ってきた私のような計画相談の相談支援専門員ではなく、今、最前線で計画相談に取り組んでいる人たちに行ってもらいたいのが、私個人の本音です。であるからこそ、私がここで話をすればするほど、そういった人たちの出番の機会を喪失させていることになるからこそ、私は、私が開催する『きほんの「き」』を今回で終わりにしようと考えたのです。

ただ、今回の『きほんの「き」』は、これまでと大きく違う点として、地域外、県外の方々によるオンライン参加を受け入れたことです。これは、正直、私にとっても新鮮なことで、計画相談を通じて始めて県外とつながったケースだったと思うのです。そして、そんな地域でも、私と同様に直面する問題を抱えながらも、利用者さんやご家族に向き合う相談支援専門員の姿をみることができましたし、私の話が、なにかしらのお役に立てているのであれば、地域外に目を向けて発信ができたらなと思ったのでした。基幹相談、委託相談、特定相談と相談支援の範囲はいろいろとありますが、私が、基幹でも委託でもなく、計画相談に固執するのは、計画相談として、計画相談の実績を積み上げ、ケースを積み上げ、繋がりを積み上げ、情報を積み上げ、そして、基幹や委託相談、行政機関のみなさんと対等に話し合いができる、そして、地域で働く計画相談の権利擁護につなげていきたいと思ったからです。そのために、計画相談が本当の計画相談になる必要がありますし、そのための知識や技術の伝達が必要にもなるはずです。組織に所属するもの、単独法人で行うもの関係なく、つながること、共有すること、そういった機会をなくさない努力が必要だと思うのです。

私自身は、今の苦しさを抱えながらも、歯を食いしばって計画相談を継続することを求めていき、そして、次の世代に繋いでいきたいと思っています。誰かに言われるのではなく、計画相談を行う私たちの手で、自らの職域を守り、私たちの手で自浄作用を持ち続けるためにも、研修を継続すること。その最初が『きほんの「き」』であってもらえたらと思うのです。私自身が計画相談をする期間は、そこまで長くないかもしれません。児童を担当している以上、こどもたちの成長を共にすることは、年齢的にもできません。でも、安心して計画相談を続けられる環境を利用者の皆様に提供すること、それこそが私の使命だと考えています。




今回、ご参加頂いたみなさん、本当にありがとうございました。もし、参加したかったけれどできなかった方で、その時の動画がみたいとお考えの方がいれば、有料にはなりますが、一定期間の視聴期間を設けて見ていただくこともできます。その際には、その時にご参加頂いた方々と同様に、所属や名前など個人情報をお預かりすることになりますが、その点ご了承頂けたら幸いです。ご遠慮なくお問合せください。今回の『きほんの「き」』は、私にとっても多くのパワーを頂きました。目の前でマフィンを食べる者、椅子の上に正座して聴く者、思わず講義中につっこんだ方もしましたが、私も楽しくお話しすることができました。こころから感謝しております。そして、zoom配信による参加されたみなさん、今後も是非、私たちと繋がってください。大人の修学旅行でお伺いします!




私のお話が、少しでもみなさんのお役にたてることができたのであれば幸いです。








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