第21回福岡筑紫地区就労支援事業所運営連絡会(通称:原点回帰の会)のご報告










コロナの第7波が猛威を振るう中で、現地には十数名の方々と、オンラインでも最大十数名の方々にお越しいただきました。

ご参加いただいた皆さん、本当にありがとうございます。


事前アンケートをとりながら、話を展開していくスタイルが定着しつつある「原点回帰の会」ですが、今回もその中の2項目の内容について、みなさんと一緒に話をしました。

①短時間雇用(週10〜20時間)の法定雇用率算定0.5について

これまで、最低週20時間を超えることが一般就労のひとつのバロメーターとなっていた障がい者の法令雇用率算定ですが、週10〜20時間の雇用でも、雇用率0.5%を算定できるようになるとのこと。そうなると、例えば単純に1日2時間勤務し、週5日勤務するということでも、雇用率0.5となるという話になることで、おそらく企業側としても「1日2時間程度の仕事」を切り出すこと=仕事を提供することは、障がい者の雇用受け入れのハードルを下げることにもつながり、雇用の枠を増やすメリットになるのではないか?その結果、障害を持つ方々の働き方に関して、これまでは、「福祉」が中心となっていた「働くこと」に対して、多くの選択肢を増やしていく可能性にもなること、これまでは、福祉の現場で支援を受けていた多くの方々にとっても、企業という現場で働く機会につながることにもなり、そのことで、福祉のあり方も大幅に変わってくるのではという話になりました。

それは、就労移行支援のあり方、A型及びB型事業所のあり方にも大きく影響してくるという意見も数多くあり、緊張感のあるお話しとなりました。実際にどのようになっていくかは、制度がスタートしてみないとわからないこともありますが、それ以上に、障がい者が働く=福祉だけではなくなることにつながり、福祉のあり方、例えば、単に作業だけを提供するといったことでは、福祉では、障がいを抱える方々のニーズには応えられなくなる可能性も否定できません。その辺りの意識変革が求められるようになるにではないかということで、緊張感を持って見ていく必要性を感じました。就労支援の学習会である「原点回帰の会」という通称は、乱立する就労支援事業所に対して、今一度、「働くとは何か?」「就労支援とは何か?」という原点に回帰しながら、話をしていこうとするところがつきました。まさに、今回は、原点回帰していく必要性も併せて思いました。


②就労選択支援事業

まだ、国による議論の段階であり、導入を含めてまだまだ先行きが不透明な事業である「就労選択支援事業」についてですが、現在は、似たような制度として、支援学校卒業後にB型に行く際の、就労移行支援事業所等で行われる「就労アセスメント」がよく似ているのですが、このような就労アセスメントをとってもらう機会を、より広い方々に受けてもらうという内容でした。

就労アセスメントに対しては、多くの計画相談や就労支援事業所の感想としては、「完全に形式化しているという厳しい評価なだけに、就労選択支援事業に対しても、結局のところ、「サービスを利用するために必要な手続きのひとつ」として、単なる遠回りになるだけの事業になるのではないかという意見が多くでました。意図することは理解できても、現場では、「本人の希望」「教育現場、福祉支援者の思惑」といった見えない意志が働くことが多く、そのアセスメントに対しても曖昧なので、1〜2日でアセスメントを取る事業所もあるなど、完全に形だけの流れになってしまっている印象を受けています。

本人の選択肢を増やす上での参考となることが謳われていても、そうなっていない現状がある中で、就労選択支援事業がどのように展開されているのか、福祉の立場である私たちも注意深く見ていく必要があるとの話となりました。


コロナ禍ということもあり、これまでのいろんな価値観や事業所の運用、働き方の柔軟性といったことが大きく変化する中で、まさに、福祉制度についても大きく変わろうとしている、まさに過渡期なのだと思います。変わりゆく姿を、ただ指を加えて見ているのではなく、先行きを見越すために多くの意見や考えを聞き、一緒に考え、予想しながら、自分の事業所に反映していく、そのような機会を持つことの重要性を改めて感じた研修会でした。


まさに、変化に対する柔軟性をもてるための学びということなのかもしれません。


次回は来週金曜日の「対話の会」です。オンラインはありませんので、みなさん現地にお越しください!お待ちしております!

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