第33回福岡筑紫地区就労支援事業所運営連絡会(通称:原点回帰の会)のご報告
なんだかんだでブログの報告が遅くなってしまいました。
どうもすみません(汗)
最近は、本当に物価も上がり、なんだかんだで事業運営そのものも大変になってきましたね。
自分たちの事業所の雇用も守るのが大変になりつつある現在、就労支援の現場でも様々なことが起きていると思います。
最近は、「インボイス」「法定雇用率」など、企業側も必ずしも手放しで喜べない状況もあるなかで、障害者雇用をいかに増やし、または維持することができるか?
また、そのために福祉側に求められるのは何か?そういったことを、この地区における過去を振り返りながら、なぜ、こうやって私たちが就労支援事業所及びそので働く支援者のみなさんのために集まりがあるのか?そんな話まで広がった原点回帰の会でした。
今回の話のなかで、参加したみなさんが考えたこと、それは「はたらく」ということでした。
はたらき方は様々ありますが、B型、A型、移行支援、障害者雇用(一般就労)といったそれぞれにおいても、「はたらく」というニーズはあり、そのニーズに対して支援者としてどのように応えていくのか?
反面、ニーズという名の下に「楽に働かせて高い工賃や賃金をもらう」ことに対して「利用者に対する社会貢献活動です」と自信を持って話す支援機関もいるという現実。
一見、高い工賃を払うことは、とても良いことではありますが、実際は、「楽に働きたい」という方を増やし続けるだけになっており、一時期は、そのニーズが広がったことによるA型信仰が出回り、大量のA型利用者を増やし続けてきました。
しかし、今はどうでしょうか?
A型の運営基準が厳しくなった現在、継続できなくなり廃止された事業所や、これまでとは変わって、厳しくなった事業所が一気に増えてしまいました。
その結果、多くの利用者がA型を追われ、ちまたにはたらきたいという思いはあっても、B型や移行支援に対しては拒否し、あくまで簡単な作業をするだけで賃金がもらえる「楽にはたらける事業所」を探し求める方々を数多く生み出すことになりました。
その結果、返ってはたらかない人たちを、私たち支援事業所が大量につくり上げてしまったのです。
ちなみに、この原因をつくったのは、就労支援機関だけではありません。
そこには、安易にA型を勧めてきた学校や行政、そして何より計画相談もその一端を担っていたのですから。
事業所というのは、あくまでそこで受託したり委託を受けて仕事をもらい、その純粋な利益を分配して工賃や賃金として支給を行い、利用者が利用したことによって国から頂く給付費は、事業運営に利用することになっています。
であるならば、例えばひとり1時間500円の工賃で1日4時間(1日2000円)はたらいたととしても、20名の利用者がいれば、1日40000円の純粋な利益、20日で800000円の純利益を上げる業務を行う必要があるのです。
1ヶ月、およそ80万円の純粋な利益をあげる仕事とは、いったいどんな仕事でしょうか?
そこを考えずに、工賃が低いとばかり声を上げる方は、本当にそういった仕事を得るためには、相当の仕事を利用者本人にも強いる必要があることをしらないのかもしれません。
そして、その仕事を本当にできるようになるためには、かなりの努力が必要となる場合も多いのですが、実際にはそうにはならない現実が、上記のようにあるのです。
みなさんにとって、「はたらく」ということ、我が子に「はたらいてもらう」ということをどのように考えていらっしゃるでしょうか?
他にもはたらくということばには、その人によって様々な想いが隠れていることがあります。
はたらくことでお金を得るばかりではないのです。
なかには、「はたらく」ということばに反応し、「訓練」には反応しない方もいます。
その人の「はたらく」が、例え週1回、1時間であっても、「はたらく」目的では出てこれても、「訓練」では出てこない方もいるのです。
工賃や給与だけでは図れない目的や意思があるけれど、そこに寄り添う事業所は大きく減りました。
工賃が低い事業所は、低いなりにそういった思いに寄り添ってくれるような手厚い支援を行なってくれるのに、そこに対する評価が低いのが今の実情なのです。
さらに言ってしまえば、それだけなら、就労継続支援事業所はもはや不要であり、民間企業に4時間以下の短時間労働を認めて、障害者雇用率を1や0.5とは言わずに、0.25といったことも認めてあげれば良いのです。
そうすれば、国も給付費を払わずに済むし、企業も仕事の切り出しもしやすくなり(1時間の業務であれば、日常の中でも業務を切り出しやすいという意味です)、雇用率の達成に動きやすいですし、本人も企業に就職することでのモチベーションと、きっと工賃も楽にクリアできるはずです。
事業所側が、毎日通所できる人だけを選り好みするのは、結果、自らの存在価値を下げることにしかならないことは、誰も気が付かないから不思議です。
その背景には、支援者の不在であり、経営者が中心の就労支援の現場が見え隠れします。
本当に就労支援の現場に必要なのは、本人の「はたらく」ことに対して、一進一退を繰り返しながら、共に一喜一憂して、少しずつ、着実に、本人が望む「はたらく」に寄り添うことだと思うのです。
長年に渡り、就労支援を行なってきた事業所の集まりであった「原点回帰の会」の名前がついた背景には、その就労支援の原点を今一度、再確認しようという支援者の思いから始まったのです。
今回の原点回帰の会は、まさに就労支援における「原点回帰」を考える会になったと思いました。
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