【新年特別号/前管理者監修】2026年(令和8年)ノーマ通信
新年あけましておめでとうございます。
旧年中は大変お世話になりました。本年もどうぞよろしくお願いいたします。
毎年恒例の【新年特別号】ですが、昨年である2025年はノーマにとっても、個人にとっても大きな変化の1年でした。同時に、自分の役割や方向性を決める上でもがき苦しんだ1年でもありました。
ノーマの3名の相談支援専門員は、それぞれに依頼があり、各自様々な動きを行ってきましたが、3名体制になって2年が経過し、ようやく徐々にではありますが、まとまりができてきたように思います。
変化を求めることは各々にとって大変なストレスではありますが、同じ場所にい続けることでの弊害は、「事業」のみならず「周辺」にとっても大きく、その原因は、私たちの「かわらない環境」「変えようとしない環境」にあるとも言えます。その不安感から特に私は、2025年は自ら変化を求めた1年でしたが、であっても、新たに変化するというよりも、これまでをベースにしてもがき苦しむことで、次のステージがようやく朧げに見えてきた、そんな1年だったように思います。
同時に、同僚である松田さん・石丸さんもそれぞれの役割を見出し、担っていったといえるでしょう。
松田さんは、令和7年10月からはじまった就労選択支援について、県下の主任相談支援専門員さんとともに積極的に県外の研修や県内のモデル事業に参加し、どこよりも先に情報をもたらしてくれました。おかげで10月開始に向けて、ノーマ自身も様々な情報をもとに準備をすることができました。
管理者の石丸さんは、これまでの基幹相談支援センターでの経験を活かし、那珂川市のみならず筑紫圏域全体の主任相談支援専門員の連絡会の深化や主任相談支援専門員の役割の確立に向けて、筑紫圏域の行政職員や地域の諸先輩たちと協力し、まさに体制づくりを強力に推し進めてくれました。また那珂川市においても、ネットワーク会議のGSV文化の定着に向けて取り組みを進めてきました。
2026年もまた、それぞれの役割を担いながら、次のステージに向けて取り組んでくれることを期待します。私は、その取り組みに協力しながら、より広範囲に活動の幅を広げていきたいと思います。私もまた落ち着きのないタイプでもありますので(苦笑)
ご報告が遅れましたが、年末の2025年12月1日、これまで協働体制を構築していた4つの事業所に加えて、あらたに「社会福祉法人 那珂川市社会福祉協議会」が、ファイブスターアライアンスに正式に加盟し、5事業所12名の相談支援専門員を擁する共同体となりました。
那珂川市と大野城市、福岡市の事業所を擁し、共同体で筑紫圏域全域と福岡市博多区・南区をカバーすることができるようになりました。私たちは、毎週1回顔を合わせて、社会資源や研修に関する情報共有、事例検討、GSVなどを行ない、加えて月1回、共同体向けの研修を開催、計画相談の相談支援専門員のための「基本」からGSV・事例検討などを行ってきました。
また、これらの研修については、地域の相談支援専門員やサービス管理責任者・児童発達支援管理責任者にも公開研修として参加いただけるようにしていることは周知の事実。おかげさまで、毎回たくさんの方々にご参加頂くようになり、相談支援専門員やサビ児管をはじめ、訪問看護や薬剤師、ケアマネなど多くの職種の方々にもご参加頂くようになり、他職種連携の場にもなっています。
私たち自身、研修内容を毎年変えることなく、基本から応用まで繰り返し研修を行うことで、自分たちが驕ることなく、担当する利用者及びご家族のために真摯に向き合うように心がけています。
最近になり、私たちは様々な県外の研修にも参加するようになり、自分たちの地域に何が十分にあり、何がたりないのか?まさに、地域診断を行いながら、私たちの地域における課題を抽出する必要性を感じるようになりました。これは、研修を重ねた賜物であり、ノーマにおいても、そのことをテーマに挙げて話し合ったり、意見を出し合う環境が生まれているからです。だからこそ、研修においても共同体に協力を得て、例えば、分科会が4つあれば、すべての分科会に担当を分けて協力して参加し、共同体の会議の場で報告し合うといった協力体制を構築するまでに至りました。
ふと、もし私たちが協働体制を構築していなかったら、こういったあらゆる情報を得ることもなく、また、自分の課題を相談することもなく、具体的に解決しないまま相談支援を継続することにもつながり、それ自体が利用者に不利益を被ることにもなると考えると、ふと、恐ろしく感じることがあります。
週1回、会議の場で誰かと話す機会があり、月1回、必ず研修会が開催されている人と、全くそうでない人が、これから何年も相談支援専門員として取り組む中では、少しずつでも着実に差が生じてくるのではないかと思います。共同体を組むことを推奨したいわけではありませんが、少なくとも機能強化加算により経営は楽になりますし、同時に相談支援専門員としてのスキルアップにつながっています。それは、相談支援専門員として3年にも満たない相談支援専門員が、協働体制のなかでの確実な成長をそばでみているからこそ、明確に言えるのです。
相談支援専門員は、利用者及び家族の人生に寄り添う仕事です。私たちのちょっとしたことばがけで、その人の人生を大きく変えることにもつながります。相談支援専門員が利用者に関わろうとするその瞬間に、私たちは「天使」にもなれば、「悪魔」にもなる、それくらいに人の人生を左右することにもつながるのです。その想いを持ち続けていれば、ある意味「恐怖」「畏怖」を感じるはずです。少なくとも私は、そういった感情を持った人と仕事がしたいと思っています。
『その思いを共有できる人たちが、私たちの地域にはたくさんいる。』それが、私の目指すべき道だと信じています。
究極の家族支援である「ご家族の死」に向き合って
2026年1月末を持って、私は、計画相談をはじめて丸12年となります。当時、小学1年生だったお子様は、高校卒業を迎えるくらいに長い期間、相談支援専門員として従事しました。そこには多くの失敗があり、苦しみが伴いました。その中でも、ここ数年にわたっては、支援してきた利用者のご家族の死に直面することという衝撃的な出来事もありました。その体験を通じて、私は、そのご家族から最後の最後まで多くを学ばせてもらう機会を頂きました。6ヶ月に1回の少ない関わりであっても、相談支援専門員である私が、ご本人とご家族に関わり続ける必要があったのかを、身をもって知る機会を頂くことになりました。
今は、直接お礼をいうこともできません。その責任と重みを感じながら、それでも利用者にとっての「影の存在」として、支え続けることの意義を私は実感したのです。亡くなったご家族から、「お前はまだ未熟だ。それでもお前に託す。」そう笑顔で言われているような気がします。
そして、私はその思いを胸に、長い関わりのなかでいつも聞かされてきた亡くなったご家族のご本人への温かな眼差しと遺志を、次のご家族にお伝えしながら、ご本人の意思決定支援を行う役割を担うのです。
相談支援専門員は「公正中立」であり、利用者を「権利擁護」する立場ですが、その立場を超えたつながりを持つことにもなる、そういったことを私は、教えてもらったような気がしています。私は、ご本人とご家族との関わりを通じて、深い信頼関係を築いてはじめて、お互いの立場で思いをぶつけることができるのだと思います。だからこその相談支援専門員なのであり、そこではじめて私たちの役割を理解するのだと思います。50歳の節目の年に、私は未だ、自分の未熟さを感じるのです。その未熟さを感じる想いこそが、私をさらなる成長に導いてくれると信じています。
そして、だからこそ保護者のみなさまには、強くお伝えするようにしています。もし、本当に突然、ご自分がいなくなったとして、障がいを抱える我が子への思いを、正しく伝えている人が身近にいるますか?と問うのです。そこに、少しでも自信のなさを感じたのであれば、きっと、残された家族は何をどうすればよいのか路頭に迷うことになります。訪問先で、これらのお話をすると、「夫もしらないかもしれない。話したことない。」「本人のきょうだいと話す機会がなかなかなくて・・・」と言われる方がたくさんいました。もし、少しでも不安に感じた方は、新年を迎え、ご家族、ご親族が一同に集まる機会の多い今だからこそ、少し話題に挙げてみてください。きっと、お話をしたことで、みなさん自身が思いのほか軽くなると思います。
「本質を見極める力」が、地域福祉を向上
とにかくネットでは、毎日のように「障がい者虐待」「不正受給」「違法な加算取得」といったニュースが飛び交っています。「利用児童を怒ることが私たちの役割」「他の事業所を利用するのであれば、うちは利用できません」と平気で言ってのける児童通所支援施設や障がい者施設が存在します。不当に高額な請求を行う、事業所にとって気に入らないことがあると、対象利用者を平気で追い出す施設、全国のニュースのみならず、身近な場所からも、そんな話が耳に入ります。
それでも利用者が妥協して利用し続けなければならないのは、社会資源不足だからでしょうか?それとも、ご本人ではない誰かの都合でしょうか?こういった状況のなかで、唯一、第三者の正しい視点を持ってご本人の権利を擁護し、意思決定支援を行うことができるのが私たち相談支援専門員です。私たちがその役割を捨てることは、相談支援専門員の存在意義を自ら否定していることと同じです。
もちろん、正義を振りかざし、相談支援専門員が事業所に対して傍若無人にふるまえば、この地域で私たちは仕事がやりづらくなるでしょう。しかし、利用者やそのご家族に「その事業所の異質性」を伝えることは可能です。ご本人やご家族が、正しい意思決定を行うための選択肢を提供することで、私たちはご本人の権利を擁護することができることを覚えておく必要があります。それを行わない(意思決定支援を行わない)相談支援専門員もまた、地域にとっての「害」になるのですから。少なくとも私たち相談支援専門員は、「本人にとっての害にならなければ良い」と言われるような、低レベルの相談支援専門員であってはならないのです。
例えば、私が特定の分野の障害福祉サービス事業を紹介しないのは、単に社会資源がないという理由もありますが、それ以上に「紹介できない現状が地域にあるから」でもあります。辛いですが、それが現実です。私は、これまでの経験を通じて得た「違和感」を大切にしています。その違和感も、最終的に納得できると、その事業所を勧めることにもつながるのです。しかし、解消されない場合は、否定はしませんがご紹介もまたできません。そこに行きたいという人を止めることもしませんが、リスクも伝えた上でご本人の選択を尊重するようにしているのです。
ニュースになるような不正を行なっている事業所は、私がまさにそういった「違和感」を感じる事業所そのものなのです。
エンパワメントの重要性
ここ数年、ありがたいことに相談支援従事者初任者研修や現任者研修のファシリテーターを拝命することが多いのですが、その研修の中でとても重要だと改めて感じることは、「エンパワメント」の視点の重要性です。私たちは、その人の力を奪う支援ではなく、その人ができることを見守ることが重要だと学びます。私たちの役割は、可能な限りの自立支援を行うことであり、そのためには、その人の持つ力を信じて、支援したい気持ちを抑えて見守ることが重要となるのです。時に、利用者さんから「あなたは、いつも何もしてくれんよね」と言われることがありますが、「できることは、お手伝いしませんよ」と正直に伝えるようにしています。
でも、そうやって小言のようなことばを言われながらも、長い年月とともに利用者本人も理解してくれるタイミングがあります。「何もしてくれんよねと最初はおもっとったけど、私を信じて選ばせてくれよったんよね」「私が選んでも失敗しても、何も指摘せんかったもんね」そう言われるまでには、当然、長い年月の関わりが必要となりますが、私も利用者との関係性が10年以上の付き合いにもなれば、そういった話を耳にすることも確実に増えていると実感します。それまでは、利用者のことばが「嫌味」のようにも聞こえていましたし、私自身もムッとするタイミングが度々ありましたが、グッと堪えて自分の支援方針を曲げなかったことへの成果を、今更ながらに感じることがあります。
でも、そのように感じてしまう背景には、私自身の業務の終わりの時期(寿命)も考えるようになったからかもしれません。いつまでも利用者さんを見守りたいけれど、そういうわけにもいかなくなることは、年齢を重ねれば感じることも増えてきます。利用者が65歳を迎えれば、私の支援からケアマネージャーさんへのバトンタッチが必要にもなります。実際にお別れが近いケースも増えているのです。それでも、私は感謝とともに笑顔で送り出したいと思っています。であるならば、『最後まで私なりのご本人に対する関わり方を貫きたい。』そういう思いでいます。『きっと、私がいなくてもあなたはできる。』そんな相手を信じる思いこそが、私たち相談支援専門員に求められることだと思うのです。
「支援が必要な方々に必要最小限の分だけの支援を」見方によっては冷たく感じるかもしれませんが、これこそが最終的にそれがご本人の自己実現につながると信じています。
歴史を知ってはじめて、正しく新しきを生み出すために
令和7年10月2日、共同体「ファイブスターアライアンス」 設立1周年記念講演として、福岡県の相談支援体制の構築にご尽力された、北九州市障害者基幹相談支援センター初代センター長の柳沢享先生を招聘しての記念講演会を開催する機会を得ました。柳沢さんをお呼びしての講演会を開催できたことは、私個人にとってとても感慨深いものがあります。それは、地域ではじめて従事した当時からお名前を良く伺っていた方であり、当時の新人の私にとっては、まさに雲の上の存在でした。そのような方を、筑紫地区にお呼びすることができるようになるとは、夢にも思わなかったのです。
ノーマの現管理者の直属の上司であったことが、今回、お声かけするきっかけだったのですが、当時の状況を振り返りながら、その時々の支援者が何を思い、何を感じたかに触れ、そして、当時の方々の強い思いが、相談支援専門員を生み出したといっても過言ではないでしょう。制度が先行する今の時代、その時々の利用者やご家族、支援者の思いは置き去りがちですが、当時の課題解決のために、必死になって取り組みを行い、その結果、新たな制度や施策が生み出されていることを忘れてはいけません。過去の歴史を知り、そこから発展させていくことが今の世代に必要な役割といえます。
そこを忘れてしまうこと、知ろうとしないことで、「9割が国からの補助金で運営」「年利○%の運用」「利益年間○千万円確実!」といった聞こえの良いキャッチコピーを平気で書くことができるのです。例えそこに思いがあっても、決して許されることではないのは、私たちの事業の背景には、利用者やご家族の闘いの歴史があり、利益を生み出すためではなく、利用者の幸せを実現するために、事業を安定して継続させていくことが重要であり、支援者である私たちの生活が守られるようにするためのものでもあります。それが達成できれば、本来、大幅な利益は必要ないはずなのです。
そして、何より今回の講演会を通して、「相談支援を楽しむ」という視点の大切さを学びました。私自身、12年間この仕事を続けられているのは、苦しさもあるけれど、それ以上に楽しさやよろこびがあるからだと改めて感じることができたのです。それは、この仕事は「利用者の想いから始まる仕事」であり、支援者である私たち自身が「その想いに素直に寄り添う仕事」であるからだと思うのです。営業であれば、自分がほしいと思っていなくても販売する力が求められますが、私たちの仕事は、「本人のニーズ・想い」に寄り添い、その思いを実現することからスタートできる仕事だからです。こんな仕事は、他にはありません。
同時に支援者の思いは、独りよがりではいけません。だからこそ、様々な周囲の声を聞き、自分の向いている方向性が間違っていないのか?知らない間に誰かを傷つけていないか?そういった意識を向け続ける必要があるのだと思うのです。それは、決して綺麗事ではなく、人を幸せにもするし、不幸せにすることもある業務だからだと思うのです。実際には、同業者の中にもこの思いを忘れている人たちが身近に数多く存在します。もちろん、自分自身も気を緩めるとするにそうなってしまいます。だからこそ、周囲の声に耳を傾けて、素直に受け止める力が必要なのだと思うのです。言うは易しで、実際にはとても難しく苦しみを伴うものなのですが。
2026年、障害福祉業界は嵐の前の静けさ?
令和7年12月16日、厚生労働省から突然、就労継続支援、共同生活援助、児童発達支援、放課後等デイサービスの設立抑制策とも言える方針が打ち出されました。これまでの障害福祉業界の歴史のなかでも、一度もなかったかのような突然の方針転換で、個人的にもかなりの驚きをもったところでした。それくらいに障害福祉サービスの費用の伸び率が著しい状況なのかもしれません。
内容をみてみると新規設立事業所のみを対象とした基本報酬を下げる試みですが、令和9年度の報酬改定を迎えるなかで、私は危機意識をもって様子をみていく必要があると感じています。なぜなら、最終的にはそのラインに基準を合わせる方向に進んでいく可能性があるからです。あくまで可能性ではありますが、もしそうであるならば、その基準に合わせた運営を今のうちから対応していかないと、経営そのものが不安定になることも考えられます。
もともと設立抑制、費用軽減を念頭においての施策であるならば、すでに開設された事業所が無傷であるはずはありません。1年という猶予をもらったと考えれば、私たち事業所側は何かしらの対応を行う必要があるのかもしれません。令和9年度に実際の報酬改定の答えが出てから不満を述べても意味がないのです。私たちの目の前にいる利用者及びその家族のために、私たちは何ができるのかを常に考えるのが私たちの役割であり、文句をいうことが専門性ではないのです。
児童発達支援、放課後等デイサービス、就労継続支援、共同生活援助、この4つの事業を行なっている法人にとっては、厳しい年に入っていくのかもしれませんが、逆に、そういった逆境があっても、必要な人たちがそこにいる以上、守っていく必要があるのです。そこにこそ、私たち自身の能力を発揮していきたいなと思います。
ひとつひとつの点を線でつなぐ取り組み
長い間、同じ地域で業務に従事してきましたが、とにかく、ある意味、衝動的といいますか、場当たり的なことばかりやってきたような気がしています(やはり、衝動性の高い気質に起因しているように思いますね💦)。思いついたら即行動し、あんまり後先を考えずに取り組んできたため、本当に取り組みの結果が出ているのか?出ていないのか?もあまり考えず、ただただ目の前のことに取り組んできました。
かろうじて評価できるのは、ひとつひとつの取り組みは、今も継続していることばかりなので、私にとっては何かしらの意味があると思うのですが、これまでは、あくまで「個々」での必要性を感じて動いてきただけなので、深く考えてきたことはありませんでした。が、やはり年齢でしょうか?スケジュールに混乱をきたすことも増えてきたため、何かしらの整理が必要でしょう。
ただ、最近、私たちが動く目的そのものが「地域の抱える課題」なのでは?と感じることが増えてきました。同時に、地域の抱える課題は、必ずしも表立って目立つものではなく、本当に身近に存在しているものだと思うのです。そのことに気がつくか、そうではないか?は、私たちの持つひとりひとりの意識のセンサーが頼りなのだと思います。
私は、那珂川市を中心に活動を行なってきましたが、今となり、ようやく様々なことが見えてくるようになりました。そして、私にとってホットなことは、新しいものを生み出すこと以上に、この地区にある今の社会資源をいかに活かしていくか?がとても意味あることに感じるようになったのです。私自身、どんなにがんばっても、サポートできる人数には限界があります。どんなにがんばっても、私の活動期間には限界があります。だからこそ、既存の様々な社会資源とつながる意味があると思うのです。
ありがたいことに、現在の那珂川市には、インフォーマルも含めてたくさんの社会資源が存在します。今までは、積極的に繋がってきたわけではありませんが、それもまた、この地域の課題です。そういった地域とのつながりを持つためのハブ機能が持てる場をつくる必要性を感じるなかで、既存の様々な社会資源を活かす場の必要性もまた、私自信が求めているものかもしれません。
令和8年は、私の役割がさらに増える年になるかもしれません。だからこそ、この地域の過去と現在を改めて見ていく必要があります。それは、まさに「原点回帰」「温故知新」がテーマであり、そして、先人の方々が積み上げてきた声と努力に敬意を払いつつ、この地域にあらたな環境を生み出していければと思います。私たちノーマがノーマであるかないかよりも、この地域をどのような地域にしていくのか?ノーマに何ができるのか?それこそが、私たちノーマの重要なテーマになるのかもしれません。
研修講師として呼ばれて気がついた「2層」の存在の重要性
縁もゆかりもない東京都狛江市の基幹相談支援センターの方々にお声かけを頂き、これまた相手側も縁もゆかりもないであろう福岡県那珂川市の計画相談事業所の私が、狛江市の相談支援を担う皆さんの前でお話をさせていただく機会を得ました。
正直、もっと有名な方や地域をご存知の方でも良いのではと気が引けたのですが、実際に訪れた狛江市は、まさに私にとっての地域の相談支援体制の「答えのひとつ」を見せていただいた思いを持ちました。
全国でももっとも小さい市のひとつと言われる狛江市ですが、ここも狛江市による直営の基幹相談支援センターで、私たち那珂川市と同じですが、場所も人員もきちんと分かれている点では大きな違いを感じました。基幹相談支援センターのみなさんのご好意で、地域の社会資源としての事業所を巡って見学させていただいたのですが、そこでみた光景はまさに、那珂川市における課題解決のひとつになるのではないかと思ったのです。
そして、はっきりと狛江市のみなさまからも言われたこと、それは『「委託相談」をつくることが必要だ』ということでした。まさに、利用者にも支援者にも伴走してくれる相談支援の存在です。そして、そこにあったのは、以前の「地域生活支援センター」そのものの存在です。これまでの歴史を知る意味を、ここでも改めて感じることになったのです。
最近、他の地域でも「人とのつながりがもてる場所」+「相談支援」を謳う計画相談支援事業所が増えてきましたが、まさしく、当然の帰結だと思いました。結局、どんなに相談支援を謳っても、必要な人には届かないのが相談支援です。しかし、そこに集い、気軽に対話しているときに出てくる何気ない会話の中に、その人の抱える大きな課題が見えてくることが多いのです。
それは、どのようなカタチが良いのか?
今回の出張は、私たちにとって今後の方向性を考える上での重要な解決の鍵になりました。私が教えることよりも、はるかに教えていただくことが多かったみのりの多い出張でした。
環境が人を育てる
計画相談は単独で行うことが可能な事業ですが、単独で行うことを推奨されているわけではありません。そのことを強く感じさせてくれたのは、共同体の存在とノーマの愉快な仲間たち(苦笑)。その意味がわかると、毎週の全体会議もとても意味があることに気がつきます。同時に、ひとりでやってきた時代のことを振り返ると、もちろん、当時は自分なりに一生懸命でしたし、これ以上の手段はないと思って必死に取り組んでいたのですが、そうであっても、いかに自己中心的な思考に陥っていたかに気付かされるのです。
ひとり事業所が数多く存在する現実は、ある意味、この地区における大きな「課題」だと思います。今の今も、相談支援従事者初任者研修を終了したら、ひとりで立ち上げることができ、利用者はその事実をしらないまま計画相談が行われています。場合によっては、うまくいかないときに、「私は新人なので」といった言い訳をするのであれば、相談支援専門員と利用者双方にとっても不幸のような気がします。
実際に、相談支援専門員が自治体の福祉課の窓口に受給者証の発行の流れについて具体的な質問をしてくるケースが多いと聞きます。福祉課は、相談支援専門員がいるわけではないので、計画相談の具体的な流れについてまで説明できる職員はいません。そのため、窓口も返答できるに困惑するケースも多いとか。現場で行っている人の返答も曖昧な状況だからこその難しさなのかもしれません。もし、本当にお困りなら、みなさんの地区の主任相談支援専門員にお尋ねすることをおすすめします。それが、主任の役割ですので、大いに活用してください。
隣接する政令市は、その評価は分かれるにせよ、相談支援体制は少なくとも整備されています。なので、相談支援専門員が相談できる窓口は少なくとも存在しているのですが、この地区はそこも大きな課題なのです。その結果が、今のこの地区における相談支援体制の現状であり結果です。
相談支援専門員の視点の広がりや支援の幅と呼ばれる、いわゆる『支援の質』問題もまた、相談支援専門員が、自分ひとりで自分の支援を振り返り、自分で気づくようになるにはあまりにも困難が伴い非効率です。そもそも論として、もともとそこに気付けない人がひとりで気付くことができるのか?もし気づくことができるのであれば、すでに問題は解決しているはずではないか?というジレンマに陥ります。そして恐ろしいことに、本人はそこに問題意識もないので、それが当たり前のまま時間の経過とともに定着し、今更、その点を指摘されると、その点を変更すること自体に大きな痛みを伴うことにもつながります。
要は、まだ初心者の段階では、数年かけてでも正しい知識を持ったベテランや中堅の相談支援専門員のもとで学びを得ることが重要なのだと思うのです。しかし、現状はそのようになっていません。わからないことを聞くことは恥ではありません。しかし、聞く相手を間違えることは、本人にとっての将来にも影響することになるので、注意と見極めが必要になります。
その責任を感じるからこそ、私自身もまた、相談支援従事者初任者研修や現任者研修のファシリテーターを積極的に参画し、毎年の新しい情報に触れ、支援を改めて考えるようにしているのです。私は教える立場ではなく、正しい学びを得る機会と捉えています。周囲から求められることが多い立場だからこそ、その環境に身を置くことで、私たちもまた、学びを得ているのです。
個人の置かれている環境、事業所の環境、地域の環境、あらゆる環境が私たちを育てる環境であり、そのことに気がつくために、私たちは他の地域の状況について知ることが必要になるのです。私たちが全国大会やブロック研修に参加する理由もまた、私たちを育ててくれる環境を求めているからなのです。
私の課題、そして私の2026年の目標
2025年もまた、私の課題が吹き出した1年でした。自分では気付けていないことが多いこと。「わかってくれている」と勝手に思い込んでいたこと。忙しさにかまけて、対話をしてこなかったこと。課題と思っていても、なかなか行動できなかったこと。思い返すと、自分に失望することばかりですが、立ち止まっていてもしょうがありません。少しでも前を向いて進むために、課題を整理しながら行動していきたいと思います。
① 2026年は、私にとっても新しいことに取り組む1年になりそうです。そのためには、ノーマの仲間たちとの協力は欠かせません。そのために必要な対話の機会を増やし、名実共に「陽気な最強チーム」を構築します。
② それぞれの役割を再定義して言語化します。業務偏重・業務過多は、各個々人が持つパフォーマンスの低下を招きます。任せるべきは任せる。私がするべきは、責任を持って私がする。事務員を含めたチームノーマ全体で発展を促します。
③ 那珂川市、筑紫地区における相談支援体制の発展に向けて、私個人やチームノーマとしてではなく、共同体や地域の主任相談支援専門員を含めた所属や立場の枠を超えて連携・協力します。講師・ファシリテーター協力も引き続き取り組みます。
④ 健康に気をつけます。最近は、那珂川市や春日市にかかりつけ医が増えました。しかも、ノーマ全員です(笑)みんな経験と実践を重ねてきた年になったので、お互いのこころやからだに気を配りながら取り組んでいきます。
⑤ ノーマに相談支援専門員を採用します。いや、したいですね。役割も大きく、やることも多い事業所ですが、きっと実践的な相談支援を行う環境としては整っていると思います。「相談支援専門員を生み出し育てる」を実践していきたいです。
こんな具合に、何個か目標を上げてきましたが、もっとやるべきことはたくさんあります。少しずつ、課題意識をもって取り組み、1日1日を大切にしながら、謙虚に取り組んでいきたいと思います。
最後に
2026年も、年始早々から様々な情報や憶測が飛び交うことになりそうです。しかし、これまでの歴史のなかで、どんな状況にあっても、私たちが担ってきた障がい福祉の現場は生き残ってきたのです。福祉は利益が残ることが重要なのではなく、継続こそが重要なのです。何もしないで稼ぐ人を作ることは、障害福祉の分野ではできないのです。誰しもが現場に立ち、それぞれの役割を担って、それぞれがある程度幸せに暮らせる、そんな制度が我々の業界です。変な謳い文句で飛び込む世界ではないことを、今一度思い返しながら、日々の業務に取り組みましょう。目の前にいる利用者さんの人生に関わる者として、改めて真摯に取り組む1年にしましょう。私もまた、その想いに協力できるように、努力を重ねていきたいと思います。
本年もどうぞよろしくお願いいたします。

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