【報告】『精神障がい者地域支援関係機関会議』に参加して
今回、ノーマの寺川と松田が『精神障がい者地域支援関係機関会議』の研修に参加してきました。この会議は、医療・福祉・行政が連携し、精神障がいのある方が地域で安心して暮らせる体制を作ることを目的としています。
非常に内容の濃い研修でしたので、会の流れに沿って、特に印象に残った言葉や学びをみなさんと共有できればと思います。
1. 行政からの報告:「連携を積み重ねることがシステムの構築につながる」
まず初めに、保健福祉環境事務所の方から、「精神障害にも対応した地域包括ケアシステム(通称:にも包括)」の構築に向けた取り組みについて説明がありました。
特に印象的だったのは、「市長同意による医療保護入院者への退院支援」という新たな取り組みです。 通常、家族などの同意が得られない場合に市長同意で入院となりますが、退院後の受け皿や支援者が不在になりがちです。この課題に対し、入院直後から行政(市・保健所)が介入し、病院の相談員と協力して支援体制を作っていくという具体的なフローが示されました。
説明の締めくくりにあった、 「1つ1つの事例を積み重ねて、連携を積み重ねていくことが、地区の包括システムの構築につながっていく」 という言葉が非常に心に響きました。制度ありきではなく、目の前のケースへの丁寧な関わりの蓄積が、結果として地域全体のシステムになるのだと再確認しました。
2. 医療機関からの実践報告:「本人の希望と現実の狭間で」
続いて、精神科病院の精神保健福祉士(MHSW)の方から、アルコール依存症の方の退院支援事例の報告がありました。
この事例で特筆すべきは、「17歳の高齢猫と一緒に暮らしたい」というご本人の強い希望です。 当初、主治医は支援者のいるグループホームを推奨しましたが、ペット可の物件は極めて少ないのが現実です。しかし、担当の計画相談員さんが粘り強く探し、ペット可のグループホーム(しかも部屋での飼育OK)を見つけてきたことで、退院が実現しました。
一方で、「家族(母親)は入院の同意はするが、その後の支援には関わらない」という厳しい現実もありました。 家族の協力が得られない中、計画相談、訪問看護、就労B型事業所、社協の金銭管理など、多くの社会資源をつなぎ合わせてチームで支えることの重要性を痛感しました。
3. グループワーク:「制度の狭間にいる人をどう支えるか」
後半は、事例検討とグループワークでした。 テーマは、「共に精神疾患を抱える70代の母親と長女」という、いわゆる8050問題や高齢障がい者の課題を含む複合的なケースです。
【事例の難しさ】
•本人のニーズとサービスでは支えられない支援者のジレンマ
•一方で、頼みの綱である身内は、すでに支援を受けて安定した生活を獲得している。
•主治医からは「自宅に帰すなら最後のチャンスかもしれない」との指示が出ている。
この「本人の希望」と「支えきれない現実」、そして「障害福祉と介護保険の制度の狭間」について、地域の多職種(行政、相談員、訪看、就労支援など)で熱い議論が交わされました。
【グループワークで出た印象的なアイデア】
参加者からは、相談支援専門員としてもハッとさせられる意見が多く出ました。
•「本人の意思とは関係なく、命を守るための見守り(人感センサーなど)の導入」:拒否が強い場合の安全策としての視点。
•「試験外泊で現実を知ってもらう」:口で説明しても伝わらない場合、実際にやってみて「できないこと」を本人に体感してもらい、そこから支援を組み立てるというアプローチ。
•「障害福祉サービスの併用や区分変更の再検討」:要支援という認定結果に縛られず、障害福祉サービスの上乗せや、状態像に合わせた区分の見直しを諦めずに模索する姿勢。
※事例は改変しております。
4. まとめ:「点ではなく面で支える」
最後に、ファシリテーターの方からの総括で、今回の研修全体を象徴する言葉がありました。
「重層的な支援、途切れない支援で、やはり『点と点ではなく、面と面で』支えていく」
精神障がい者の支援、特に今回のような複合的な課題を持つケースでは、一人の支援者、一つの機関だけで抱え込むことは不可能です。医療、福祉、介護、そして地域が、それぞれの「点」をつなぎ合わせ、「面」となって支える体制が必要です。
また、「支援に正解はなく、みんな悩みながら関わっている。その悩みを分かち合いながら地域づくりを目指したい」という言葉に、日々現場で悩む私たち専門職も大いに勇気づけられました。
今回の研修で得たネットワークと視点を持ち帰り、自事業所での計画相談支援にも活かしていきたいと思います。加えて、今回の会議は、私たちが所属する共同体のメンバーの多くが参加していたこともあり、次回の共同体の会議の中でも続けて協議をしてみたいと思いました。

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