専門性とソーシャルワークの狭間で。

『チキンの会』でも話題となったこともあり、
少しノーマなりの考えを書いておこうと思います。

私たち「計画相談支援室 ノーマ」は、現在、受け入れの障害種別を
「精神障害」「知的障害」「障害児(精神障害・知的障害のみ)」のみとしています。

以前、私が勤務していた3階ラボ時代は、すべての障害を受け入れてきました。

ただ、私はもともと、精神科ソーシャルワーカー(PSW)として働き
ここ数年で児童の支援にも関わってきました。

そういった知識と経験から、今回は障害種別を限定させてもらったのですが、
限定するにあたっては、正直悩みに悩んできたところがあります。

というのも、3階ラボ時代に3〜4名の重度化して医療的ケアが必要になった方を
医療的ケアを専門とする計画相談支援事業所にお願いしたことがあります。

その時は、大学病院の医療連携室から、ひっきりなしに電話があっていました。

退院に向けた環境づくりから、支援体制づくり、そのための会議、会議、会議。

当時、私はひとりで220名の利用者を抱えて、
毎日、更新手続きとモニタリングの繰り返しで心身ともに疲弊していたときでした。

もともと、医療的ケアや身体障害といった知識も技術もない私が、
見よう見まねでできるものでもなく、
利用者およびそのご家族は、直面する問題に不安や心配を抱えている中で
私ではとても安心させることはできないと判断したのでした。

私が安易に受け入れることで、返ってご迷惑をかけることは明白だったからです。


なので、今は「医療的ケア」が必要になった方については、
その支援を得意とする計画相談支援事業所にお願いするようにしています。

その際は、顔の見える連携がとても重要になります。



ただ、いちソーシャルワーカーとして、本当にそれでよいのか?という
疑問にもぶち当たります。

そもそもソーシャルワーカーとは、あらゆる直面する課題や問題に対して
調整を行いながら解決に向けて取り組むことが求められます。

デンマークでは、あらゆる課題に対して、ソーシャルワーカーが相談を受け
解決に向けてとりくんでいきます。

デンマークは手帳制度はありませんので、相談支援の理由は必要ないのです。

要は、支援が必要か?必要でないか?です。


それこぞ、まさに「ノーマライゼーション」の形です。
(デンマークでは、ノーマライゼーションということばは、過去のものです)


しかし、日本における現実はそうはいきません。

やれ、手帳だ、制度だ、そのための規則だと、がんじ絡め。
さらには、申請主義でもあるので、ハードルも高く
そのためのノウハウも必要になります。

社会福祉士から、精神障害に特化した「精神保健福祉士」が生まれたように
どうしても、その分野の「ノウハウ」が必要になってしまうからです。


日本における、本来のソーシャルワーカーが少ないのはまさにこの部分なのです。


私は、もちろんなんでもできるソーシャルワーカーになりたいと思います。

でも、実際はノーマを維持・運営していくことも求められます。
1件、面談・会議を行って書類を作成・提出して「いくら」という世界です。

維持しなければ、私は170名の契約者を路頭に迷わせ
加入したばかりの職員の給与が支払えませんので解雇せざるを得なくなります。


であるならば、知識と経験を生かして
得意とする分野に特化しながら
私には難しい課題については
それを得意とする事業所におつなぎすること

それこそが、今の私にできることだと
自分に言い聞かせて取り組んでいるのです。


もう一度言います。

私は、その結論を出したのですが、今でも本当にそれでよいのか?と
悩み続けているのです。


ということで、また、デンマーク コペンハーゲンに身を置いてきます。








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