辞めた人のその後の行動が、自分たちの現状を映す「鏡」かもしれない。


 




年度末でもある3月末に、法人を退職した元スタッフが、卒業するこどもたちに会いにきていました。

長年に渡り、事業所を支えてくれていたスタッフだっただけに、これまで一緒に関わっていた彼女も、卒業するこどもたちに最後の別れをしに来たのでしょう。

他にも、退職した別の男性スタッフも、法人に遊びに来ていました。

こうやって、退職したスタッフがこどもたちに会いにきてくれたり、話にきてくれたりすることは、私たちにとっても嬉しいものです。


こどもたちと関わる仕事をすると、どこかで区切りというものがあります。

私たちの法人に所属するということは、こどもたちの貴重な「こども時代」の一部に関わることでもあります。

もちろん、私たちの関わりが全てではないにしろ、ご自宅と学校との間にある「どちらでもない環境」での関わりは、「決して重要ではない」ということにはならないと思うのです。

それは、長きに渡り児童通所施設を運営し、子どもたちに向き合って支援を行なっていると、口先だけの美麗句を並べただけのことばは、全くもって響かなくなります。

私たちが考えるその想いが、スタッフに伝わっていればいるほど、スタッフとして最大限の愛情と時間を注いでくれたスタッフであればあるほど、退職後も、何かの折に、こうやってこどもたちに会いにきてくれるようになるのだと思います。


私たちが嬉しいのは、惜しくも私たちの元を離れていったスタッフが、次の環境でもその実力を発揮して、最前線で利用者や利用児童と向き合って、取り組んでくれていることです。

そういったスタッフを世に送り出すことができたと実感したとき、きっと私たちのやり方そのものは、決して間違っていなかったと、自分自身を振り返ることができます。


悔しいですが、これまで決して、何もなかったわけではありません。

「法人に多大な損害を残した者」「辞めた後も事業所の悪評を言いふらす者」

それでも次の事業所では、まるで「自分は何も悪くない」と、何事もなかったかの様に振る舞っているのだろうと思います。

きっと、「自分自身は何も問題はなかった」「法人に問題があった」と言っているのだと思うのです。


しかし、私たちもどこかで思っているのです。

「おそらく、私たちが受けた損害や損失と同じ様に、次の事業所でも、きっと同様の影響が生じるだろう」と。

そう思わないと、本当に割に合わないことの連続でもあります。


ただし、彼らの職歴には、はっきりと私たちの法人名や事業所名が残されるわけで、私たち自身の責任もまた、逃れられないようにも思います(関係ないと言われても、心情はそうではありませんよね)。

しかし、どうすることもできないのが現実なのです。


私たちは、退職の意思を示した者については、事業所としてどんなに苦しい状況になろうとも、引き留めもしませんし、本人の意思として素直に受け止め、笑顔で送り出します。

たとえ、私たちの心情がどれだけ我慢を強いられていようともです。

退職の意思を示したときだけ、引き留めたり、給与提示を変えたり、役職を保証したりするのは、かえって、相手に失礼だと思うからです(最初からそうしとけ、という話です)。

それは、私自身が幾度となく転職を重ねてきたひとりであり、企業や事業所を辞めてきた人間でもあり、私自身が、転職するそのたびに、いろんなことを感じてきた人間でもあり、退職する側、送り出す側の両方を経験してきたからです。


それだけに「人の出入り」には、かなりの苦労と負担が伴う中で、こうやって折を見て、こどもたちに会いにきてくれる元スタッフの存在は、とても嬉しいことなのです。

私は、仕事の都合上、直接会うことはできませんでしたが、きっと、そこにいるスタッフやこどもたちは、嬉しかったに違いありません。

是非、また遊びにきてほしいと思います。



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