計画相談の哲学
オンライン研修とは言え、ひさしぶりに活気のある良い研修会に参加することができました。
全国には、数多くの計画相談がありますが、それぞれの事業所の考え方は様々であり、それは、法人単位でもあれば、事業所単位でもあれば、個人単位によって、それぞれ違うということを、改めて感じることができました。
研修の内容からは少しズレますが、今回の研修を通じて改めて思ったことを書いておきたいと思います。
計画相談は、それぞれ計画相談に対する考え方や基準の違いは様々ありますが、だからこそ、利用者にとっては、自分に合った事業所を選ぶことにもつながると思います。
例えば、不足している地域の計画相談の考え方と、充足している地域の考え方は全くちがっています。
また、その地域での計画相談の歴史によっても違いますし、セルフプランの時代が長い地域は、計画相談のあり方や評価も、きっとちがってみえるでしょう。
そこに苦悶する計画相談もいますし、計画相談が充足しており、競争にさらされて、新規が全くこない月もある私たちの地域のような環境もあるなかで、同じ考え方ということ自体が困難なのです。
今回の研修を通じて、私が感じたことは、「計画相談としてのあり方や哲学は、結果、私たち自身で考え抜いて出た答えがすべてである」ということです。
それぞれ、計画相談を行う上で重視するところは、法人や事業所、個人によって様々です。どれが最善で、どれが間違っていると言うのではなく、それこそが最終的に、選ぶ側の基準になるということです。
例えば、「モニタリング頻度を増やすことで、計画相談の質を上げる」という言い方を最近、耳にしますが、私は、最近は3ヶ月に1回のモニタリングが多いなかで、未だに6ヶ月に1回のモニタリング頻度の方がほとんどであり、そうなると、私の計画相談の質は低いということになります。
例えば、私は過去にひとりで200件を超えるケースを抱えて、毎日が地獄のような日々を送っていましたが、その経験が私の今をつくっています。
あのときは、今後も続けられるような状況ではありませんでしたが、だからこそ、自分の限界を感じることができましたし、あの状況でも200名以上の方と真摯に向き合い、契約から丁寧にアセスメントをとって、利用者やご家族のその人となりを必死に理解しようとしてきたことで、私は、今まで体験したこともないたくさんのケースの生活歴や現病歴、その方々の人生の一部を知ることになりました。
あのときの私が、「質の高い、丁寧な支援をする」という目的で、数十名の利用者しか担当せず、2~3ヶ月に1回のモニタリングをしているのであれば、現在のような、将来の不安苛まれるご本人やご家族に対して、これまで伺ってきた多くの方々の人生のピースを通じて、未来には限りない選択肢と手段があるという話題を具体的に提供し、相手を少しでも安心してもらうことは決してできなかったと思います。
先日、ある保護者から、「この会議のあとは、ふと、ひとり夜になると考え込んでしまっていた私にとって、定期的に安心できる機会になっているんです。」とは言われたとき、私が少しでもお役に立てたとようやく思えた瞬間でもありました。
その保護者は、私にとっての約140名の担当のひとりであり、6ヶ月に1回のモニタリングの対象者です。
モニタリング頻度は少ないかもしれませんが、1回のモニタリングにおいては、時間的な余裕をあえて設けるようにして、望む限り、できるだけ納得できるまでお付き合いできるようにしています。(もちろん、時間をかければ良いということにはなりません。)
そこには、「時間がきたので終わりますね」といった「こちら側の都合」は、できるだけ言わないようにしています。
たわいもない対話も含めて、話し尽くした先に耳にする本音もたくさん伺ってきました。
それこそに、私は価値があると思っています。
だからこそ、最近では、できるだけお子様の段階からの受け入れを行うようにしたのも、9年が過ぎ、10年目に突入し、私なりに計画相談を継続して、向き合ってきた結果を、まさに今、成人していく方々をみることができるまでになったからです。
そこに、モニタリング頻度やケースの多い少ないは関係ないと思っています。
あえていうのであれば、「丁寧に向き合い、本人や家族、参加した事業所の方々とともに、モニタリング会議を通して、毎回、充実感を味わえる会議になるように目指してきた」ということだけだと思っています。
また、会議の内容は、その場でできる限り、一言一句聞き逃さないように、パソコンを打ちながら記録していきます。
内容は、モニタリング報告書に書くための内容ではなく、それを含めていろんな話題に触れるようにして、全体像を聞き取るようにしているのです。
そこには、将来的に大きなきっかけとなる大切なピースがある場合もありますし、多岐にわたっていろんな話をすることで、相手との距離感を縮めるきっかけにもなるのです。
配偶者の愚痴?恋愛相談?離婚相談?社会や制度に対する愚痴?そんなことを伺いながら、ことばや感情を表出することを保証し、受け止め、ひたすら耳を傾ける。
そんな話ができる相手になれるからこそ、最後にそっと本音を聞かせてもらえると思っているのです。
泣いたり、笑ったり、怒ったり・・・相手の感情を引き出せたときは、面談としては成功だと思うようにしています。
同時にそれを引き出すまでに、30分やそこらで引き出すまでには、私にはまだ実力不足です。
聞き取った内容は、きちんと記録として残せるように清書します。
文章も主旨を変えないように、読みやすい表現で、文章化します。
だから、計画案の1枚目はその場で作成して署名を頂きますが、それ以外の記録や書類は一旦持ち帰り、おちついた環境で、相手の、そして私のそのときの感情がまだ残っている、情報の鮮度が高いその日のうちに作成します。
この役割は、相談支援専門員にしかできないからこそ、これこそ、私たち相談支援専門員の見せ場でもあると感じています。
誤字脱字がないか、私だけではなく計画相談専用の事務員さんにもチェックしてもらい、実際に見て頂く相手を不快にさせないように気を配ります。
オンライン記録システムを導入しているので、ファイルがなくてもどこでも見れるようにしていますが、この作業だけは、効率化できないと私は考えています。
『効率化することで、非効率を保証する』ことも大切な質の向上だと思います。
私が、計画相談のシステムを導入しないのは、オンラインシステムではないことに加えて、システムに私たちが合わせないといけない「非効率」が生じるからです。
私は、定期的にアセスメント表を変更します。
例えば、これまでチェック式の項目が多いエクセルを用いたアセスメント表でしたが、今は、項目は多岐に渡るようにして、あえて記述式を多くするようにしたのです。
それはなぜか?答えは人工知能『chatGPT』が出現したからです。
アセスメント表から記述式の記載データをコピペすることで、支援計画の叩き台の作成や要約をしてくれる人工知能だからこそ、これからは「詳細な多岐に渡る記述式データが重視される」と思ったからです。
システムそのものを変更することになれば、莫大な時間とお金が必要になります。
でも、エクセルであれば、私たちが今、決めることができます。
それこそまさに「効率化」なのです。
今は、まさに変化が大きいときだからこそ、そこがすぐに変更できない状況は、導入する意味はないと思っています。
ちなみに、オンライン記録システムは、すぐに私たちの手で内容を変えることができるから、導入しているのです。
そして、あらゆる効率化の中でもっとも成果をあげているのが、ICTでもなく、人工知能でもなく、人間である「事務員さん」であるのです。
非効率の典型である人間の存在によって、計画相談においては、もっとも効率化してくれているのが事務員さんの存在なんて、笑えませんか?
非効率の典型である『根強いFAX派』に対しても、事務員さんがいると、めっぽう効率化します。
事務員さんのおかげで、
郵便局までなくなった切手を相談支援専門員が買いにいかなくても良くなりました!
ポストに投函するために、わざわざ車を停めなくて良くなりました!
データを共有ファイルにいれておけば、勝手に印刷して郵送準備をしてくれるようになりました!
宛名シールを常につくってくれているので、すぐに郵送できるようになりました!
書類を全部目を通して、誤字脱字を訂正してくれるので、行政からの評価も上がりました!
それを読むから、事務員さんは、個々の状況も頭にいれて対応してくれます!
できあがった書類はファイリングしてくれるので、書類が貯まることなんて一切ありません!
毎日、綺麗に事務所を維持してくれます!
私の代わりに、計画案などを役場に提出してくれます!
なんなら、毎日かけてくる利用者の電話に出て、私に変わる前に終わらせてくれます!
計画相談の請求のみならず、法人事業全部の請求もやってくれています!
夏になったら、スリッパが風通しの良いものに変わっています!(笑)
あぁ、なんてことだ・・・ICTを最大限導入している私たちでさえ、このたったひとりの事務員さんの効率化にはおよばないなんて・・・(苦笑)
事務員さんの話は、この研修には一切でてこなかったのですが、私が言いたいのは、効率化をしたいなら、まず事務員を入れることです・・・あれ?w
こんなことをたくさん考えるきっかけをくれた今回の研修に感謝します。
浜勝はどうしてこんなにおいしいのか?
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