「相談支援専門員として」ではなく「ソーシャルワーカーとして」が重要であること


これまでは、いつも事業所がある地域の相談支援専門員との関わりを中心に持っていましたが、最近になり、いろんな県や地域にお邪魔することが増えました。

いつしかSNSを通じて「相談支援専門員としての苦悩を抱える人」「相談支援専門員に興味を持つ人」「相談支援専門員になりたい人」といった方々とどんどん繋がっていきました。


相談支援専門員、特に計画相談の制度がスタートしたばかりの時期は、相談支援専門員になりたいと思ってはじめた人はごくわずかで、所属する法人から言われてスタートした方がほとんどだったと思います。

しかし、時間の経過とともに、計画相談の相談支援専門員の役割や意義(それは、必ずしもポジティブな意味ではなく、反面教師として理解する人も多いのでしょうが・・・)が浸透したり、職業としての「働き方」が注目されたりと、さまざまな側面で計画相談の相談支援専門員がスポットライトが浴びるようになりました。



しかし、私、いや少なくとも私が所属する事業所の相談支援専門員たちは、地域の最前線で「ソーシャルワークを実践」できる職業として、相談支援専門員があると感じています。

現在、私の事業所に所属する相談支援専門員は、国家資格としての社会福祉士や精神保健福祉もしくはその両方を取得している者、今、まさに取得しようとしている者で構成されています。

私たちのアイデンティティは、「ソーシャルワーク」であり、「ソーシャルワークの実践者であること」なのだと改めて再認識するのです。


それは、ケアマネジメントプロセスとしての計画相談としての役割だけでは、(最初の数年は問題ないとしても)この先、10年、15年と継続していくなかでモチベーションを維持していくことは、かなり難しくなっていくのではないかと思うのです。

実際に、長きに渡り計画相談をやればやるほど、経験年数は重ねていっているにも関わらず、その取り組みに対するクレームもまた増えてきている現状もあり、その背景には、モチベーションを維持できないことによる「惰性」が背景にあると感じています。

私自身もまた、そのモチベーションの低下に対して必死で抵抗してきましたが、その結果、時に大きな失敗をすることも未だにあります。


だからこそ、モチベーションを維持していくためにも、計画相談として“だけ”ではなく、「地域の最前線でソーシャルワークを行う者として」の「地域づくり」「人材づくり」がその後の大きな役割を担うキーワードになると思うのです。

そんな私ですが、精神保健福祉士を取得した医療相談員としてスタートした私の福祉におけるキャリアも、そのスタートは決して華々しいものではありませんでした。

それは、精神科病院における院内のヒエラルキーの最下層にいた「精神保健福祉士としての医療相談員」であり、そこにいる誰しもが「社会復帰」ということばを、むしろ、『経営を圧迫するだけの無意味なこと』としてしか見ていない環境が、私の「ソーシャルワーカー」としてのスタートだったのです。

当時は、歯を食いしばりながら取り組んできましたが、しかし、それがあったからこそ、私の今があると思っていますし、その葛藤は、現在の相談支援専門員としての私の動きの原動力にもなっています。


計画相談の相談支援専門員は、「ご本人のニーズ」に寄り添って支援できること、そのプロセスをご本人と私たち相談支援専門員で共に構築できること(すべてではないのは承知の上です)、自分の自己責任において「支援」を自由に構築できること、などソーシャルワークにおいては、地域でこれ以上の役割を担える環境はないとすら感じることができます。

それこそが、ソーシャルワーカーとしての「生き甲斐」であり、私たち「相談援助技術を駆使する専門職」であるソーシャルワーカーとしてのアイデンティティだと思うのです。

結果、長きに渡りその役割を担えば担うほど、地域における役割もまた増えていくわけで、その後の、主任相談支援専門員や委託相談支援事業所・基幹相談支援事業所などの役割を担うことが期待されるのです。

まさに、「相談支援専門員」は、ソーシャルワーカーとしての自己実現の場であることを確信を持って言うことができます。


反面、そんなことを考えなくてもできてしまうのが、計画相談であり相談支援専門員であることも皆さんに伝える必要があります。

全く逆の選択をしても、相談支援専門員として成立してしまうのが、この仕事の『恐ろしさ』でもあります。

「ソーシャルワークをしなくても」「自分の支援に責任を負わなくても」「決まった形での支援を行っても」「別に役割や意図を意識しなくても」できてしまうのが、計画相談であり、相談支援専門員でもあるのです。


そして、そういった考えを持つ相談支援専門員が、時代の経過と共に地域において増えていき、私が最初に述べたような「ソーシャルワークの実践者としての相談支援専門員」の方が、マイノリティにすらなると思うのです。


いつまでも「セルフプラン」を許容する。

相談支援専門員の本来の提出書類を簡素化する。

地域に計画相談が不足していても何の対策も打たない。

既存の社会福祉法人等に委託して任せてしまう。


これらが実行されている地域は、相談支援専門員、利用者や保護者などの双方が、やりたい放題になってしまう地域になってしまいます。


それはすなわち、相談支援専門員が不足していることを理由に、「何をしなくても」求められてしまうので、相談支援専門員の質も上がらない→地域や利用者・保護者の相談支援専門員への期待がない→あえて相談支援専門員をつける必要性を感じない/セルフプランを選択する→相談支援専門員側も面倒な利用者をセルフプランに誘導する→相談支援の質も上がらない、といった負の循環が生まれる地域になるのです。

障害福祉サービス事業所や児童通所支援施設などで、相談支援専門員に対するマイナス感情が生まれる背景には、相談支援専門員のその役割や意義が全く浸透されていないことにあります。

それこそ、計画相談が不足している地域の問題であり、地域課題なのではないでしょうか?


さて、前置きが長くなりましたが、8/24〜25で大阪に行ってきました。


SNSでつながった相談支援専門員のみなさんと、大阪の某所にある居酒屋でお話しするという楽しい集まりとなりました。

それぞれの地域の実情を知りながら、相談支援専門員としての役割をスタートさせた皆さんとの対話は、私たち自身にとっても大きな刺激になったことは間違いありません。

福岡からは4名が参加しましたが、改めて私たちの地域の特異性と、計画相談のやりやすさを実感できる環境であることを再認識した次第です。


こういったことは、地域から出てみないとわからないものです。


私たちがいるこの地域の相談支援専門員も、ある意味自分の地域の自治体に感謝する必要があると思います。

なぜなら、私たちを尊重し、いろんなことを受け入れてくれるからこそ、数が増えて充足しても尚、計画相談支援事業所が未だ増えている地域なのですから。


大阪にご参加頂いたみなさん、ありがとうございました。

11月には福岡にお越しになる方もいるそうですので、私も楽しみにしています。


それにしても大阪は27〜8年ぶりの訪問でしたが、本当に刺激的な街だなぁと改めて思いました。

















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