権利意識を持った相談支援専門員になるために


共に協働体制を組んでいる福岡市東区にある「街の相談室ほろん」さんと「サンクスシェア」さんが主催する研修会で、権利擁護と虐待防止研修の講師として参加させていただきました。


言うまでもなく、ともに私個人としても、そしてノーマとしても、長きに渡りご縁を頂いている事業所であり、こころから尊敬する方々がいる事業所です。


かつては、ノーマにおいてサンクスシェアさんの同行研修などもさせて頂いたこともありますが、特にサンクスシェアの田中さんや高倉さんは、共に計画相談の一時代を築き、共に地域の計画相談支援事業所として、現在まで継続して計画相談を行なってきた戦友でもあります。


稲岡さんがいる「街の相談室ほろん」もまた、新しい取り組みを行なっている事業所であり、いまや計画相談界隈でも『時代の人』ともいえます。


尊敬する相談支援専門員が所属するふたつの事業所の前で、研修をさせていただく機会は、私個人としても何事にも変え難いものであり、ご提案を頂いた際には快く引き受けさせて頂きました。


今回は、2つの計画相談支援事業所に所属する相談支援専門員さんと事務員さんが参加している総勢16名の皆さんに対する研修ですので、あえて「計画相談」の相談支援専門員さんにまつわる「権利擁護」と「虐待防止」研修をさせて頂きました。


1ヶ月前からずっと考え、調べて、完成した自信作でもあります。


普段は、「直接支援」を行う事業所さんへの研修が多いこともあり、計画相談という相談支援、いわゆる『間接支援』を行う方々にどのような内容をお伝えすれば良いか悩んだのですが、私が普段考えている『権利を擁護するためには、権利意識が重要であること』をお伝えする内容にしました。


私たちが利用者やそのご家族の権利を擁護するとき、何よりもまず「権利とは何か」を理解し、普段の生活のなかで「権利意識」を持ち続けない限り、誰しもが権利を擁護することはできないということなのです。


皆さんが普段から感じる「違和感」を実際に意識しない限り、権利を擁護するどころか、見落としてしまい、権利を守ること以上に、加害者として権利侵害をすることもあり得るということを、私なりに危機意識を持ってお伝えさせて頂きました。


私たちの普段の生活も、「権利」があるからこそ、私たちにはさまざまな場面で自由や選択が保障されており、私たちは安心して生きていけるのです。


しかし、私たち自身がその権利を意識しないことは、自ら権利を放棄し、生きづらい世の中をつくる上での協力者になってしまっているとも言えるのです。


権利は一度失うと、元に戻すことすら容易ではありません。


それくらいに例え法律があっても、求めなければ「無いもの」として扱われてしまうことを、私たちはもっと真剣に心に留めておくべきなのです。


こども食堂がもてはやされている世の中ですが、そもそもこども食堂が必要な社会への違和感は無視するのが、今の日本人が考える思考です。


もともとは、こども食堂なんていらない世の中だったはずなのですが、いつしか、金持ちはもっと金持ちになる現実に争うことなく、貧富の差を生み出した社会に対しては、意識を向けることすら放棄しているのです。


そんなことが当然の福祉を担う私たちが、障害児者の福祉を熱く語るわけですから、いかにそのこと自体が空虚でおかしな世界かを、私たち福祉を担う人間は、自分の立ち位置をもう一度考えてみるべき時期なのかもしれません。


どんなに社会資源が「ある地域」と「ない地域」が存在しようとも、福祉を担う私たちは、それを「あるねぇ」「ないねぇ」で済ませてしまうわけですから、その時点で「権利擁護」ができているわけもないのです。


私たち計画相談の相談支援専門員は、全体を俯瞰的に見通す立場だからこその「人権意識」を持った支援を行うことが重要だということ、そのために、協力・連携・連帯を行うことができる職種であることを理解する必要があると思うのです。


参加した皆さんが、うなづきながら聴いて頂いたことが、話をする私としても本当に嬉しかったですし、何より、今から何年も前から一緒に地域の計画相談を担ってきた事業所さんたちとの関わりは、私にとっても、「かつての関わりが、新しい関わりに変わった」と実感した瞬間でもありました。


私たち計画相談の相談支援専門員は、自分たちを振り返ることを忘れず、「研修」を自ら求めて、自分の支援のあり方や役割の再認識を継続して行なっていくことの重要性を維持していくことが求められると思うのです。


サンクスシェアの皆さん、ほろんの皆さん、今回はお呼びいただきありがとうございました。



相談支援専門員 寺川【非常勤】






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