「ピア」を弄ぶ支援者たちに注意しようというお話
最近、「ピアサポーター」といった当事者が当事者のサポートを行うことに対する評価が行われています。
計画相談においても、「ピアサポーター」に対して加算がつくようになり、実際に身近な計画相談支援事業所でも、その加算がついているところがあります。
また、障がい福祉サービス事業所に対しても、同様の加算がつくようになり、法定雇用率や障がい者の短期労働の制度など障がい者雇用分野と相まって、障がい者当事者に対する熱い視線が送られるようになり、一種のブームメントになっているようにも感じます。
本来の「ピアサポート」のあり方を理解した上での配置であれば、支援者よりも信頼できる支援者となりうるわけで、その目的や意義が崇高であることは間違いありません。
しかし、加算がつくといった制度が整備されるようになると、本来の目的や意図はかき消され、実際に「ピアサポーター」という加算目的による、障がい者への安易なリクルートもまたあからさまに目立つようになります。
実際に私の周囲にも、そういった話が直接入るようになってきており、それは、決して営利企業だけに限ったことではなく、非営利団体によるものも耳にするようになりました。
過去にも、障がい福祉サービス事業所の中で、利用者を雇用することでの障がい者の一般就労実績をつくったり、障がい者雇用に基づく助成金取得のために、利用者を安易に雇用に切り替えたりするところも増えました。
表向きは、障がい者雇用の数字に表されることに加えて、当事者にとっても、『決して悪い話』ではないために、採用側も「何の問題があるのか?」と言わんばかりに、あからさまに取り組んでいたところもあります。
制度的グレーということもあり、指導しにくい面も否めないことから、一気に加速したものの、結果的には、フォロー体制がなく、支援の知識や技術の不足もあり、利用者自身のメンタルヘルスの悪化につながったり、対人関係でうまくいかなくなったり、助成金期間が終了すると、安易な理由をつけて採用側の一方的な都合で切り捨てたりする状況もみられていました。
似たような状況は、最近の障がい者雇用にも波及し、最近の障がい者雇用の代行ビジネスなど、違法ではないけれど、本来の目的や意図から考えると、大きなズレが生じているといったことで問題視されることも増えてきました。
こういったことがより明確に現れるようになってきた理由のひとつに、計画相談の導入がはじまったことも理由のひとつかもしれません。
決して、違法行為ではないけれど、本来の意図や目的は置き去りになっている状況に対する違和感を一番感じるのは、私たち計画相談だと思うからです。
苦しい運営を迫られる障害福祉サービス事業所ほど、営利、非営利関係なく、「ピアサポーター」といった崇高なことばを振りまいて、笑顔で接近しているようにも感じるのです。
当の事業所側はうまく隠しているつもりでも、私たちの耳には容易に入ってしまうものでもあります。
もちろん、そのようなことを行なっているのは一部であり、すべての法人や事業所がそのようなことをしているわけではありません。
しかし、その区別は本当につきにくいのも現実なのです。
私たちができることは、『隠していても、隠しきれていない』し『甘い言葉の裏には、厳しい現実が待ち受けていること』を支援者側、利用者側双方に注意喚起することくらいなのです。
ちゃんと学んで支援すべきですし、ピアサポート研修による理解や実践を行う正しい「ピアサポート」を心がけたいものです。
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