この地区から見る「計画相談の現実と未来」を語る②
前回の、『この地区から見る「計画相談の現実と未来」を語る①』では、この筑紫地区でも特に那珂川市、春日市、大野城市における計画相談支援事業所の相談支援専門員の数が「飽和状態」となり、新規利用者数が大幅に減少している実情をお話しました。
そして、計画相談の相談支援専門員にとっては、本来の実力が発揮され、そこで選ばれる時代の突入を予言したのです。
今回は、計画相談の飽和状態によって、本当の意味で「相談支援専門員の質によって、利用者さんの未来が変わってくる」という現実についてお話したいと思います。
それは思いのほか大きくて、みなさんの契約している相談支援専門員の支援力・実践力によって、特に児童の未来は大きく変わるということを意味します。
なぜ、そのような話をするのかと言うと、実際にこの地で計画相談をはじめて10年を経過した今、相談支援専門員によって、例えば、お子様の卒業後の進路先の選択が、相談支援専門員によって大きな違いが生じるようになってきた現実が見えるからです。
※補足 『進路は、これまでは、支援学校とご本人や保護者で決定してきた流れがありますが、実は、私たちノーマでは、学校が進路に関わるずっと前、すなわち、お子様がまだ小さい段階から、保護者とお子様の進路(将来の可能性)について、いろんな話をしています。そのことを、保護者であるお母様たちはずっと頭の片隅に置いていただくので、学校側からの進路についての確認が来ても、慌てずに対応する保護者が多くなりました。』
それは、同じ地区にも関わらず、相談支援専門員の得意・不得意や、経験値、実績等で、全く違う将来を見せられているからです。
例えば、就労支援のことについての知識が乏しいのに、もっともらしい情報を提供して、その内容があたかも正解として、児童や保護者に伝わっているという事実です。
また、同様のことは、「地区の違い」においても大きな差が生じています。
他にも様々な要因があると思いますが、意外にも相談支援専門員の知識や視点・考え方によって、将来の方向性が大きく変わるということです。
この経験があるからこそ、私たちには大きな責任を感じることとなり、自分だけの情報だけではなく、いろんなつながりをベースに、相談支援専門員のつながりや、事業所とのつながりの必要性を感じるのです。
以下に挙げることは、あくまで例ではありますが、同時に現場で業務に従事していると、本当によくある話でもあります。
「相談支援専門員または計画相談支援事業所の相談援助技術(ソーシャルワーク)に対する視点や考え方」によって、利用者やご家族の未来が大きく変わること。
「相談支援専門員または計画相談支援事業所の経験や実績といった実践に基づいた学びを共有しているかどうか」によって、利用者やご家族の未来が大きく変わること。
「相談支援専門員または計画相談支援事業所の地域の児童及び成人のサービス事業所とのつながりと、正しい障害福祉サービスの理解ができているかどうか」によって、利用者やご家族の未来が大きく変わること。
など・・・例を挙げればキリがないのですが、相談支援専門員同士でも、意外にも同じ価値観を持つ相談支援専門員は少ないのが現状なのです。
例えば、実際に「あるひとつの事業所」があるとして、その事業所の評価が高い相談支援専門員がいるかと思えば、全くその逆の評価をしている相談支援専門員が存在していることは普通にあるのです。
言い換えると、みなさんを担当している相談支援専門員によって、みなさん並びにみなさんのこどもさんたちの未来は、実際に大きく変わることになります。
特に、「特定の事業所推し」を勧めてくるような相談支援専門員が、みなさんの担当であるならば、みなさん自身が信じている相談支援専門員であれば、みなさんもきっとその事業所を選ぶ方も増えてくると思います。
逆に、そのことに対して「疑問を持つ」ことになった方は、計画相談の変更を希望する方も増えてくるでしょうし、実際に、私たちノーマに対しても事業所の移管の話は増えているのも実情です。
かく言う私自身も経験があるのですが、私が例えば「A事業所」を利用する利用者さんがいて、「A事業所」さんとの関わりを通じて、その事業所さんの支援員さんの支援がどのようなものか?その代表や支援者がどのような考えを持って事業所を運営し、実際にご本人に対して支援を行なっているのか?ご本人の利用状況を確認するモニタリングを通じて、できるだけ第三者の視点で評価しているとします。
しかし、別の計画相談の相談支援専門員は、全く逆の評価をしている場合もあります。
私が例えば評価をしているA事業所に対して、別の相談支援専門員は、全く評価していないこともありますし、全くその逆で、私が評価していない事業所を、評価している場合もあるのです。
その背景には、もしかしたら相談支援専門員としての「公正中立な評価」ではなく、同じ法人のグループ事業所だから・・・ということもありますし、個人的に懇意にしているから・・・なかもしれません。
逆に、別の法人のグループ事業所だから・・・ということもありますし、個人的に敵意を持っているから・・・なのかもしれません。
私がいつも「公正中立」を謳うのは、個人的つながり以上に「公正中立」な立場を大切にしないと、相談支援専門員としての存在意義・存在価値は皆無に等しいと思うからです。
実際に私は、ご本人やご家族に対して、「私が言ったことを鵜呑みにするのではなく、事業所を決める際は、必ず「見学」「体験」を行い、自分の感覚を大切にして判断してください」と伝えます。
また、「私が選択肢に入れていない事業所であっても、行きたいと思えば、私は協力するので安心して選択してください。」とも伝えます。
要は、自分が通いたい事業所を選ぶのは「相談支援専門員」ではなく、利用者本人であれ、お子様であれば、児童であり保護者なのだということをはっきりと伝えます。
それができてない計画相談の相談支援専門員であれば、最終的に計画相談支援事業所並びに相談支援専門員の必要性は「ゼロ」になってしまうからです。
できれば、自分の事業所に誘導するために計画相談支援事業所を設立しようとしている法人並びに事業所は、みなさんの法人や事業所の信頼を完全に失うのでやめておいた方が得策です。
私たちも自分自身の「自己理解・自己覚知」と計画相談に対する「自浄努力」を促すために、計画相談の団体を立ち上げ、自ら研修会を開催しているのです。
そこでは、「公正中立であること」「権利擁護」「エンパワメント」といったことは、毎回、出てくるキーワードなのです。
計画相談が不足している時代であれば、何をしても一定数の利用者は増えてきますが、もはや、この地区ではそういった評価を受けてしまった計画相談に、利用者は増えることはありません。
それは、ある意味利用者や保護者にとっては良いことなのかもしれませんが、私たち相談支援専門員にとっては、常に学びを向上心を持って対応することが必要となるのかもしれません。
まだまだ、私たちノーマも、歴史や経験に自惚れるのではなく、謙虚に学び続けていきたいと思います。
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