《利用契約者並びに保護者向け/就労継続支援B型事業》「就労継続支援B型事業」7割が減収

毎日新聞


 障害福祉サービスの2018年度報酬改定により、雇用契約を結ばずに労働の機会を提供する「就労継続支援B型事業」の7割が減収になるとの調査結果を、障害者施設の全国組織「きょうされん」が23日発表した。きょうされんは「就労が困難な人を受け入れると報酬が下がる傾向にあり、重度障害者の排除につながる」として厚生労働省に対策を求めている。

     報酬改定の影響に関する調査は3月に実施。就労継続支援B型事業は回答した351事業所で平均3.2%、最大585万円の減収を見込んでいた。「生活介護」(196事業所回答)は平均0.5%の増収、「グループホーム」(144同)では平均0.8%の減収の見込みだった。【原田啓之】

    https://mainichi.jp/articles/20180424/k00/00m/040/071000c


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    就労継続支援B型事業の目的を考えると、
    給付費に差をつけたことは、障害者の排除につながることは十分予想できたこと。

    毎回、同じことをいうのですが、就労継続支援B型の目的は
    「仕事がしたい」という誰もが持つ「はたらく」という希望に寄り添って支援を行うもの。

    「社会にでる訓練」と言われても、モチベーションにはならない人が
    「はたらく」と言われると、一歩を踏み出すモチベーションにつながる。

    「就労継続支援B型事業」の目的は、
    人としての役割意識や存在意義を満たしてくれる「はたらく」を通して
    彼らの社会への第一歩を踏み出す支援を行うのです。

    よく、「工賃が安い」「不当な労働搾取だ」と叫ぶ人がいますが、
    そもそも、その発言自体が差別を生み出しているのです。

    人は、工賃で評価されるものでもなければ、はたらくことで評価されるのではありません。

    働けない人の存在価値はないのか?ということになります。

    人には、「生存権」という憲法で保障された権利があります。
    例え、収入が少なくても、人間らしく生きていくために必要な経済的な支援を行う制度があるのです。
    それが、「障害年金」であり「生活保護」です。


    工賃が安いのは、「稼ぐ」を目的にしているのではなく、「社会参加」なのです。
    紙を折るといった単純作業だけで、万が一最低賃金を得られるのであれば、それこそ、社会とかけ離れた世界で利用者さんたちは生活しなければならないのです。

    これでは、社会に対する間違った認識や逆差別を生み出す結果につながります。

    例え工賃が高くなくても、自分なりの社会参加を行なった末に、「もっと稼ぎたいな」と思えたときは、次のステップを作ってあげるのが本来の支援だと考えます。

    そもそも、私たちは、就労継続支援B型事業所ですべてを満足させることが重要ではなく、まずは、どんな人でもできることに取り組んでいく環境を提供しているのが重要だと考えるのです。

    「はたらきたいという本人の想い」
    「障がいに対する合理的な配慮」

    これを両立させるために存在しているのが、「就労継続支援B型事業所」です。

    そこに、多少なりとも工賃の差をつけることこそ、障害者の権利を侵害し、差別を生み出すのではないかと危惧します。

    さらには、できる障害者が優遇され、できない人は排除される。

    福祉の理念や哲学に則って取り組んでいる事業所が、一番運営に苦労し、排除を全く厭わない事業所が生き残る業界になるのかな・・・。


    収入額が、「人としての価値の差」を表すという現代社会の闇を、しっかりと福祉にも植えつけてしまった今の社会こそが、生きづらい世の中をつくっていることを、私たちはもう一度考えていかなければならないのです。









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