《計画相談支援事業所/相談支援専門員向け》計画相談という働き方 vol.1

計画相談支援事業に従事する相談支援専門員の多くは
「新規事業として立ち上げることはおすすめしない」と
誰もが口をそろえて話をすると思います。

そもそも、本気で利用者さんと向き合っていけば黒字化には程遠い事業ですし
その割には、任される業務の範囲は広く
計画相談支援について何も知らない支援機関や医療機関などから
無理難題を押し付けられることもしばしば。

ひどいときには、制度もロクに知りもしない人たちから
「なんでも計画相談に言っておけば良い」といった反応をされることも。

さすがの性格が温厚な私でも、その内容の理不尽さにブチ切れそうになることも(笑)

そんな扱いの環境のなかで、ややこしいことに
相談支援専門員の中にも適当にやってしまう人もいるから
お互いに歩み寄ることが年々難しくなっていくような感じです。


赤字事業で、責任は重い、さらには「何でも屋」にさせられて
私達、計画相談事業所を支援してくれる環境はいつまでたっても整備されない。

また、そこを逆手にとって、適当な計画相談を行ってしまう計画相談事業所の存在もある。

それでは、いつまでたっても地域の相談支援体制は向上しないことでしょう。





ましてや、私達の多くは、所属法人からも煙たがられる存在です。

赤字部門だし、ひとりで百数十件を抱えているわけですから、
何かあれば、法人への風当たりは強くなります。

最初は面白がってくれていた法人も、徐々に重荷にしか感じられなくなるのです。

かといって、所属法人の利用者だけを管轄する相談支援専門員は飼い殺しと一緒。

相談支援専門員として求められる中立性を、
きちんと相手に伝えることができない「もどかしさ」は
相談支援専門員を精神的に徐々に追い込んでいくことが予想されます。

現に最近は、現場を離脱する相談支援専門員も見られるようになりました。


もはや、地域によっては、計画相談支援事業所や相談支援専門員が減ってくる
空洞化現象がおきてくる可能性もあります。

計画相談に対するネガティブな内容を話せと言われば、
おそらく3〜4時間は話ができるのではないか?
当事者である私達が考えるくらいですから、状況はあまり良いとは言えないでしょう。



そんな計画相談の状況は、ある意味、利用者さんからは毎回
「お忙しいでしょう?大変ですよね。いつもありがとうございます」と
温かいこどばをかけていただける理由でもありました。

相談員も、利用者さんも「本当にすみません」と“謝り奉行化”していたわけです。

そういった傾向は、
計画相談が始まる平成27年4月以前に設立された相談支援事業所に多いと思います。

計画相談としての制度が始まり、移行期間だった平成24年4月から平成27年3月までは
とにもかくにも、計画相談の導入期間ということもあり、
数少ない計画相談支援事業所に利用者が殺到した時期でした。

当時の私は、私一人でも220名を抱えていましたから、
とにかく、計画相談をすべての利用者に導入することが優先された時代。
悲鳴のような計画相談の依頼に、断ろうにも断れない状況もあり、
中には精神的に疲弊し病んでしまう相談員も多くいました。

そんな地域の現状や状況をよく知らない福祉事業所の人ほど、
計画相談事業所に対するクレームも多く、
制度や制度に基づく理想論を振りまいてくれる分には構わないわけですが
地域の事情を無視したクレームは、
私からすれば、パワハラもしくはモンスターとしか言いようがありません。

これまでの経過に基づく相手の置かれている状況を汲み取れない
そういった背景をしらないまま、平気で正義を振りかざす人が
福祉や医療の現場にいること自体が、その事業所のあり方を写しているようで
私の利用者さんへの情報提供事業所一覧から排除される一因なのですが(笑)

しかし、周囲からいつまでもそう言われる計画相談支援事業所のままでいることは
私たちの甘えであると言われても仕方がありません。

そういった状況を改善するための努力を、
既存の計画相談支援事業所は取り組まないといけない時期に入っていると思うのです。


ただ、現実は、利用者さんに別の事業所に移ってもらうための調整すら
行う余裕ができない状況まで追い込まれている計画相談支援事業所も多く、
利用者自ら、他の事業所を見つけてもらうことを待つしかない状況もあるのです。


私個人的なことですが、3階ラボからノーマに切り替えることができたことで
利用者さんの一部を、次の事業所さんに引き継ぐことができたのは
私たち相談支援専門員としても、利用者さん自体としても、
結果的には本当に良い状況をもたらしたのだと思います。


何より、私自身が計画相談における自分の限界を知ることができたことで
この仕事を続けていく上での、役割分担や地域の支援機関との責任のシェアの重要性を
実体験を基に理解することができたことが大きな収穫でした。

結果的に、担当する利用者さんを減らす結果となり
余裕をもって計画相談に取り組むことができる体制ができたことで
より役割を明確にしながら、対応することができるようになったと思います。

さらに、今回の事業所設立を機に、より地域密着型の計画相談支援事業所となることで
地域の社会資源と、より顔の見える関係性を構築することができるようになり
お互いのことを理解しあいながら、相談支援を行うことが可能となりました。

より、利用者さんのニーズにあった対応ができるようになったと思います。

もはや、計画相談も大変革期に突入していると個人的には思っているのです。



計画相談という働き方 vol.2
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