《計画相談支援事業所/相談支援専門員向け》計画相談という働き方 vol.3

①自分の限界を知り、自分をセーブすることができること。無理をしない。

その名の通り、限界を超えて無理をしないということです。

無我夢中で取り組んでいると、自分の置かれている状況を見失うことがしばしばあります。

それは、この仕事は、相談員ひとりで利用者さんと向き合うことが多いためです。

すべてのことは、自分で常に決断することを求められますので、
自分が思っている以上に、あなたに不安と緊張を強い
それに伴う疲労がつきまといます。

いつしか、身体が動かなくなったということにも、実はなりかねないのです。


計画相談の仕事は、やりがいの高い仕事ですが、
時々、諸刃の剣のように、相談支援専門員を傷つけることがあります。

私たちの仕事は、終わりはありません。
やれることはたくさんあるのです。

いろんなことをすればするほど、相手はあなたに感謝するでしょう。

同時に、そのように評価していただける環境は、私たちにとっても心地よいものです。

いつしか、「私がいないと、この人はダメになる」という勘違いも起こします。

うまくいかなくなったときに、泣き出す相談員もいますが、
それは、感情移入しすぎている状況とも思えます。

知らず知らずのうちに、あなた自身が、利用者さんの依存対象になってしまうこともあります。

そういった状況が如何に不健全かを、その時初めてあなたは知るかもしれません。

「バーンアウト(燃え尽き症候群)」

1度、この状態になってしまうと、
場合によっては二度と福祉に戻れなく可能性もあります。


私は、自分がそうならないように、時々思い出すようにしているものがあります。

デンマークに行ったときにはじめて知った「ヤンテの掟」です。

この「ヤンテの掟」は作家のアクセル・サンデムーセが1933年に書いた
小説「A Fugitive Crosses His Tracks」の中に出てくる10カ条のルールです。

内容はすべて「自分」に向ける形で以下のようなものとなっています。

1. あなたが特別な存在だと思ってはならない
2. あなたが人と同様に有能だと思ってはならない
3. あなたが人より賢いと思ってはならない
4. あなたが人より優れているとうぬぼれてはならない
. あなたが人より物知りだと思ってはならない
. あなたが人より重要だと思ってはならない
. あなたが人より何かに秀でていると思ってはならない
. あなたは人を笑ってはならない
. あなたが誰かに助けてもらえると思ってはならない
10あなたが人に何かを教えられると思ってはならない


そう、私たちは、「その人の人生を良いものに変える」といった
ある意味傲慢な態度をとってはいけないということを言い聞かせます。

あくまで、相手が「どうしたいか」を一緒に考えていくのが私たちの役目。

だからこそ、できないときはできないと言える強さが必要となるのです。

その時は、相手を多少失望させることはあっても、
信頼を失ったり、関係性を崩すようなことはないのです。

まさに、「辞めないこと」につながるのです。

デンマークがノーマライゼーションを生み出し、高福祉国家であることの背景には、
この「ヤンテの掟」が受け継がれているのかもしれませんね。


少なくとも、私たちが利用者さんからなんでも答えてくれる
「神様」みたいな存在として評価されることは
相談支援専門員としては、失格であることは明白ですね。



②相談支援専門員の孤立化を防ぐこと。自分のバイザーを見つけること。

①に関連することでもあるのですが、なかなか自分で自分のことを理解し
行動していくためには、多少の経験が必要になると思われます。

同時に、自分でそこまでできるのであれば、
「辞める」という選択はしないのかもしれません。

だからこそ、自分を見つめ直す機会を
あえて自ら作り出すことが必要となると思います。

そういった役割を担うのが「バイザー」の存在です。

計画相談を通して困ったときに、
まず、すぐに相談できる人がいること。

そして、答えではなく、自分で考えて結論に導いてくれる
良きアドバイザー(=バイザー)の存在があなたの身を守ってくれます。

一番良いのは、自分が所属する事業所の上司であれば良いのですが
計画相談は、ひとりで担当している人も多く
なかなか思いを共有する相手を見つけることが難しいとされます。

「私の気持ちがわかってもらえない」という声は
相談支援専門員からもしばしば耳にします。

であるならば、他事業所の相談支援専門員でも問題はないのです。

私たちの考えに、違った視点を与えてくれる存在でもあります。

どうしても偏りがちな私たちの思考を
柔軟にしてくれるのも、バイザーの存在だと思います。

みなさんが信頼できるバイザーを持つことをおすすめします。


計画相談という働き方 vol.1
計画相談という働き方 vol.2
計画相談という働き方 vol.4
計画相談という働き方 vol.5

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