【決定版】計画相談の効率化と質の担保を両立する書類作成及び記録の残し方①
計画相談を行うすべての相談支援専門員に捧げます。
まずはじめに。
計画相談は「アセスメント」「サービス等利用計画(案)」「サービス等利用計画」「モニタリング報告書」があるから、それ以外の記録は、加算を取るために必要なケース会議記録のみでよいのではないかと考えている人も多いのではないでしょうか?
「計画相談としての実地指導を受けていない」または「自治体による実地指導がない」といった地域は、結果的に書類作成や記録に関して何をどうすべきかという点は、はっきりとしたことがわからないこともあるでしょう。
実は、私の地域もまた、未だ「実地指導」が行われたことがありませんし、その理由としては、マンパワーやノウハウを持ち合わせていないということだそうです。
ただ、計画相談の書類が提出されることもあり、私の地区の行政は、提出された書類すべてに、きちんと目を通し、内容を読んでいます。
なぜなら、誤字脱字がひとつでもあれば、訂正も入りますし、内容の確認の電話も行われています。
ですので、実地指導は行われていない反面、普段から、求められる計画書やモニタリング報告書は、厳しく求められていると言えます。
いずれにせよ、計画相談をはじめたとしても、最終的に書類作成についても記録についても、何もわからないまま進んでいるのが地域の実情なのです。
例外なく私自身も、どのように書類を作成し、記録を残すべきか悩みに悩んだひとりです。
特に私は、黎明期から行政と協力して計画相談をはじめたので、ある意味、最初のスタンダードをつくってきたので、その責任もあります。
記録は、ある意味、私たちが行った業務を証明する唯一のものでもありますし、事件や事故に巻き込まれたときに、私たちが適切な対応を行ったかどうかを証明するためには、日頃の情報が蓄積された「記録」以外に、証明できるものがありません。
であれば、「リスクマネジメント」の観点からも、記録を残すことが重要なことにはちがいないのですが、それを示してくれる基準や資料すらないのが実情です。
ただでさえ、業務過多な計画相談ですが、私自身も、最小限の労力で、最大限「意味のある」記録を残したいと模索を続けてきたのです。
私たち計画相談にとって、記録が負担になりすぎることもよくないので、充実した記録を残す上で、そこにかける労力は、最小限であるべきだとも考えているのです。
そのため、まずは計画相談にまつわるあらゆる書類を整理しながら、どのような記録を残すべきかを検討してみました。
以下は、私個人の考え方を述べただけですので、みなさんの地域で通用するかどうかはわかりません。
ただ、私は初めてから、今まで、このやり方でやり続けています。
そして、評価はされども、今までのところ指摘されたことはありません。
みなさんにおいては、あくまで参考程度にお知らせしたいと思います。
私が記録の記載する際に念頭に置いていることは、以下のとおりです。
- 聞き取りを行った「アセスメント」に記載されている内容以上に、サービス等利用計画(案)に記載する内容はないということ。
- モニタリングとして、ご本人やご家族、支援機関等から聞き取った内容以上に、モニタリング報告書に記載する内容はないということ。
- アセスメントやモニタリングをする中で、相談支援専門員である私が、クライアントに対して、何を思い、何を考え、何を気づき、専門職としてどのように支援の必要性を見立てたか等の専門的な視点を記載すること。
- 会議等で検討や報告のあった正確な内容と情報を残すこと。
これらを念頭に書類作成や記録を行なっており、逆にこれ以上を、ダラダラと文字を残したところで、相談支援専門員に余計な負荷をかけるだけで、全くもって意味がないと思います。
サービス等利用計画(案)の書式には、「計画(案)」「週間予定表」「別紙1」「別紙2」の4枚がありますが、私たちは、この書類すべてを作成するにあたり、アセスメントを行い、その内容を聞き取った上で、書類の作成を行います。
すなわち、私たちに求められているのは、アセスメントで聞き取った内容をベースに、サービス利用のための計画書を作成し、サービスを利用したときの1週間の流れを説明する「週間予定表」と、サービスを利用する前の1週間の状況を示す「別紙2」が存在します。
そして、フェイスシートの役割を担う「別紙1」があるわけですが、この「別紙1」は、あくまでアセスメントで得た情報を、いかに網羅し、記載するかが重要だと私は考えています。
私が思ったのは、効率よく、情報を「別紙1」に落とし込むためには、アセスメントのフォーマットと別紙1をリンクさせる必要があると考えました。
何が言いたいかというと、先にアセスメントのフォーマットをつくったのではなく、「別紙1」に必要十分な情報を効率的に書き込むためには、どのような項目が必要かを検討し、その内容を網羅する項目をアセスメントのフォーマットに反映したのです。
もちろん、アセスメントの内容が、幼児期と児童期と成人期が同じなわけはありませんので、それぞれにあわせたアセスメントのフォーマットをつくりました。
そうすることにより、アセスメントのフォーマットに合わせて利用者や保護者に聞き取りを行えば、必要十分な「別紙1」が完成し、あとは、コピー&ペーストすれば、アセスメントでも、「別紙1」でも流用できてしまうのです。
結果、別紙1を作り込みさえすれば、アセスメントのフォーマットの重要な部分はコピペで済んでしまいます。
とにかく図形を駆使して作り上げたエコグラムは、1度でも作ってしまえば、アセスメントでも別紙1でもコピペで流用できるということです。
Control +CとControl +Vで済んでしまう快適さです。
また、1度作成した「生活歴」は、アセスメントのフォーマットを埋めた時点で、医療機関レベルの生活歴が作成できるようになるということです。
そして、その内容はコピペすればアセスメントフォーマットでも、別紙1でも、情報提供書でも必要十分な内容として有効なのです。
なので、「アセスメント」で生活歴をつくり、同様のものを「別紙1」で再びつくるといったことはないのです。
たとえば、アセスメントのフォーマットをきちんと聞き取りをすれば、例えば児童の生活歴は、何も考えなくても、以下のような感じで作成することができます。
これらは架空の人物となります。
○○市生まれ。同胞3名の第2子(長男)。在胎期間は40週2日、出生時体重は2874g、普通分娩にて出生。出生時は特に異常はみられなかった。1歳半検診では、指摘はなかったが、母は、周囲のこどもと比べて発語の遅れを感じていた。そのため保健師に相談したものの、その際は、様子を見るように言われている。3歳時検診で、発語の遅れを指摘されたため、その後、市内の○○療育センターを紹介され、ASDと軽度知的障害(疑)と診断。○○療育センターへは、2週に1回の母子通園を開始している。3歳から、○○幼稚園に入園するも、朝の受け渡しのときには毎回大泣きし、園での活動も周囲の子らと同じ行動ができずに、ひとりで孤立し泣いている場面が多かった。そのため、より小集団での療育を求めて、4歳より児童発達支援の利用を開始し、幼稚園と併用しながら週3回の利用を行っていた。4歳のときに、両親が離婚。あわせて、同じ市内に住んでいる祖父母と同居を開始。就学前相談において支援クラス相当とのことで、令和5年4月より、○○小学校の支援クラスに進学予定となっており、同時に放課後等デイサービスの利用を開始する。
この生活歴をみて、皆さんはどのように思いましたか?
これではダメだという人がいるのであれば、それは申し訳ありません。
もちろん、完璧ではないかもしれませんが、これをパッとみた人で、計画相談として、その内容が不十分だと思う人はどの程度いるでしょうか?
私がここで言いたいのは、誰がみても、「きちんと記載されている」と思ってもらえる書類作成がとても大切だということです。
言い換えると、これ以上の記載は、返って時間を費やし、相談支援専門員の負担を増やすだけなのです。
ちなみに、この程度の生活歴は、聞き取ったアセスメントを見たら、誰でも書くことができます。
それは、書き方が決まっているので、必要な情報欄をみれば、誰でも簡単につないで、文章にして書くことができるのです。
これを、アセスメントか「別紙1」で清書すれば、どちらでも使えるし、情報提供書にも利用できます。
デジタルデータで作成する意図は、こういったところにもあるのです。
また、生活歴だけでは、必要な情報は網羅されていません。
そこをフォローするためには、別の欄に不足する情報を記載する必要があります。
私は、それを「別紙1」の1番上の欄、すなわち、『概要(支援経過と現状と課題等)』の欄に、フォーマットとして記載します。
私は、最初の書き初めの型を持っており、例えば、児童分野であれば、
『自閉症スペクトラムと軽度知的障害と診断され、療育手帳B2を所持している○○小学校の支援クラスに在籍する小学1年生(6歳)の男児。』
また、例えば成人(精神障害分野)であれば、
『統合失調症と診断され、精神保健福祉手帳2級を所持している、障害基礎年金2級と生活保護を受給しながら一人暮らしを継続している35歳の男性。』
というように、書き出しを自分なりに決め、そこにも生活歴で記載できなかった情報を網羅するようにしているのです。
こうすることにより、アセスメントで得た情報を、別紙1にお互いに情報を重ねることなく、網羅することが可能となりますし、何よりも全体像を把握しやすくなると思うのです。
あとは、これまでの経過を記載していくのですが、私なりに記載しているのは、私が関わるようになってからの経過を記載しておきます。
架空の人物となりますが、「概要の支援経過の部分」を記載すると以下のような感じになります。
自閉傾向のある知的障害と診断され、精神保健福祉手帳2級、療育手帳B1も所持している、A特別支援学校高等部1年生(16歳)の女児。平成27年3月に放課後等デイサービスの受給者証の更新にあわせて計画相談初導入。平成27年10月に短期入所の利用申請にあわせて計画相談再導入。平成28年4月、家族の生活環境を改善することを目的に、○○区から○○市のアパートへの転居に伴い、サービスの利用申請にあわせて計画相談再導入。本人は新しい学校にも適応し、順調に通学を行っていたが、兄が適応できずに不登校となり、慣れ親しんだ環境に戻すことを目的に、平成28年5月に○○区に再度転居。再び利用申請に伴い計画相談再導入。平成29年4月、平成30年4月、受給者証の更新にあわせて計画相談再導入。平成30年12月、兄からの性的逸脱行為から逃れるため、短期入所の特例利用申請に合わせて計画相談再導入。平成31年4月、令和元年10月、令和2年10月、令和3年10月、令和4年10月、受給者証の更新にあわせて計画相談再導入。今回も受給者証の更新となり、引き続きサービスの継続利用を希望されたため、○○区に更新申請を行い計画相談再導入となる。現在は、○○事業所(放課後等デイサービス/短期入所)・△△事業所と□□事業所(ともに放課後等デイサービス)の利用を行っている。
この内容で重要なことは、相談支援専門員の関わりのなかで得ている情報のなかで、診断に基づく制度の利用状況、現状などを記載していること、また、計画相談としての関わる経過、そして、利用サービスの状況を記載しています。
次に、「概要(現状と課題等)」の部分を続けて記載するのですが、この点は、アセスメントやモニタリングの情報から、私たちが全体像をみながら、相談支援専門員としてどのように見立てて、課題を整理し、関係機関と協力しながら支援の方向性を共有しているか?といった、私たちの専門性を中心に載せるようにしています。
個人的には、現状からみえてくる「今後の課題予測」なんかも載せることもあります。
あくまで可能性ですが、そのことを共有することで、来るべき課題に対して落ち着いて対応できるというメリットも感じています。
ここでの記載が、行政に伝わり、電話でお互いに確認しあうようなきかっけにつながることもあります。
以下も架空の人物ですが、記載としては支援の見立てや課題についての共有内容が記載されています。
利用開始当初は、週3回の利用だったが、現在は週4日の自立訓練の利用を行なっている。安定した通所を行い、訓練を重ねる中で、事業所のアセスメントを通じて、本人の障害程度や特性が明確になっている。本人の言葉の発信、指示理解は、周囲に想像する以上に困難であり、本人としては、相手が話をしている内容がわからないことへの恐怖が、怒りに変わっているのではないかとの見立てがある。思っている事と、実際の発言や行動には、その障害程度の重たさもあり大きなズレも生じており、そのことが地域社会での大きな生きづらさにつながっていると考えられる。本人の好きなアイロンビーズの活動から見えてくるものは、見本や指示があっても、その通りに実行することが困難である本人の現実であり、見た目に反して、幼い子供と話す程度の内容でないと、本人は混乱から不安や恐怖につながって、最終的にパニックに至る。マッチングアプリを利用して、知らない異性とのビデオ通話をするなど、危機意識の乏しさなどにも課題があるなかで、どのように本人に理解を促すのかが大きな課題となっている。
こういった内容が「別紙1」に記載されているだけで、本人の状況や支援機関の関わりの現状が見えてくるのではないでしょうか?
私にとって「別紙1」は、サービス等利用計画のニーズと目標設定に対する、本人の背景や状況を確認すること、加えて現状のリアルな課題を記載することだと思っています。
これまでお伝えした内容は、すべて他の情報と被さっている部分はありません。
あくまで、アセスメントの情報も網羅することに徹しているのです。
つづく・・・つかれた(汗)
私も記録については、いろいろと調べました。
あと、ご好評をいただいております私の計画相談の初任者向けの1日6時間の研修会
『計画相談のきほんの「き」最終章〜ファイナル〜』ですが、SNS上での強いご希望もあり、一部公開することにしました。
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