《サービス利用者向け》サービス利用の目的と意義について



様々なご本人やご本人を周囲で支えるご家族などの様々な事情によって、福祉サービスをご利用になります。

サービスを利用するにあたっては、ご本人を取り巻く環境に様々な課題や問題があり、その課題を解決したり、乗り越えたりするために、法律に基づいた制度によって福祉サービスは提供されます。

公的な福祉サービスは、利用するにあたっての条件はあるものの、ボランティアといった人やモノの善意に基づくものではなく、対価によってサービスを提供してもらうという意味では、安全で確実といえます。

(ボランティアがダメだといっているのではありません。ボランティアが支えなければならない状況がダメだと言っているのです。)

本来のサービスのあり方というのは、ご本人を支える周囲のサポートという側面だけではなく、サービスを受けることで、ご本人やご家族が自分らしく生きていくための手段でなければなりません。

(どんなに良心や善意に基づいたサポートであったとしても、)ご本人が生きていく上で家族や親族の力を借りて生きているいった、「誰かが誰かの時間や労力を犠牲にしなければならない状態のまま」で、今後、何十年と生きていくことは、事実上不可能です。

今は良くても、今後が困難に直面するならば、それはある意味「虐待」とすら言えます。

私たちが人としてこの世に生まれてきて、例え、それぞれの家庭の状況や環境、心情などがあっても、人として生きていく上で、「食べたいものを食べ」「行きたい時に行き」といった当たり前のような権利を行使できないことを当然と考えるのは、あまりにも人としてのあり方が貧困だと思います。

どんな人でさえ、歳をとります。若い時にどれだけイキがっても、歳をとれば、目も耳も身体も不自由になります。私も、以前、病気で2週間程度入院した時に、同室にいたいわゆる「ヤ○ザ」を職業としている方が居ました。

深夜、狭心症の発作がでたときに、こどもが泣くかのような声で、看護師さんにすがるように、苦しみ泣き叫んでいたことを思い出します。

どんな職業であれ、どんな状態であれ、どんな生き方をしてきたとはいえ、誰もが生きることへの困難に直面するのです。それが、まさに「この世に生きる」ということです。

その課題を乗り越えなければ、「当たり前に生きる」ということは実現できません。

その課題に乗り越えるために、福祉サービスは存在するのです。福祉サービスには、なぜ、このサービスがあるのかといった目的が存在します。そして、そのサービスが生まれた背景があり、そのために、これまでの利用者ならびに周りでサポートしている方々が勝ち取ってきたものなのです。

決して儲けるためではないのです。

利用する側も、「ただ、預かって貰えば良い」という考えで利用されると、本当に福祉サービスを必要としている利用者のところにサービスは行き渡りません。そして、そういった考えでのサービスの利用が、サービス事業者のサービスの質を落とし、結果的に、そのしわよせが利用者に来るという悪循環になります。サービスを利用する側も、提供する側も、正しく制度を理解して、お互いにサービスを育てていってほしいと思います。


私個人的な意見ですが、サービスを利用することには、大きな意味があると私は思っています。

①自尊心を育むことができます。
自分の意思で事業所を決めて、サービスを利用することができます。結果、自分が対価を支払うことで、家族といった周囲で支えてくれる人に遠慮せずに、自分らしく生きていくためのサポートを依頼することができます。自分で決める。自分で生きて行く。ということは、本人たちに大いなる自信をもたらします。本当に充実したサポート体制が整うことができれば、将来、ひとりでも生きていける可能性も広がり、ご本人やご家族の不安の解消にもつながります。その意味でも、今後もサービスの充足に向けた取り組みも必要となります。

②能力の維持、向上が期待できます。
サービスを利用することは、障がいを抱えながらも、発達や成長を促すことで、自分でできることが増えたり、本来であれば能力の低下が生じるなかでも、現状を維持できたり、ゆるやかな低下に抑えることができることが期待できます。サービス事業所の腕の見せどころでもあります。

③自己実現が可能となり生活の質が充実します。
例えば、障がいがあり、一般の職業には就けなくて、生活のために障害年金や生活保護がの支給があったとしても、自分でできる可能な限りの(福祉的な)労働ができれば、経済的な面でもすこしばかりの余裕が生まれます。その余裕が、自分がやりたいこと、取り組みたいことに使うこともできれば、人生の充足感につながります。「月に1回、工賃支給日の帰りに、好きなパン屋さんで、パンとコーヒーを飲むのが幸せ」という利用者さんの笑顔が忘れられません。

④地域に「私」の存在を知ってもらうことができます。
福祉サービスを利用することで、まず、その申請先であるお住いの市区町村が、あなたの存在を知ることになります。場合によっては、地区の民生委員さんや子育て支援の部署にも、あなたの情報が行きます。計画相談も定期的にあなたに関わるようになります。お近くのサービス事業者が、あなたを訪問したり、学校に送迎したり、事業所に通所したりすることで、その支援者があなたのことを知るようになります。あなたが日々、歩いて通えば、ご近所の誰かが、あなたの存在に気づいてくれるかもしれません。そうやって、あなたのことを知ってくれる「輪」が広がるのです。


他にも書きたいことは山ほどありますが(笑)
福祉サービスを利用することで、生きづらさ→生きやすさにつながっていくのです。


あわせてお伝えしておきたいのは、サービスを利用することは、当たり前の生活を送る権利を持つみなさんの

「当然の権利」であるということ

を決してわすれないでください。

今、健常者と呼ばれる私のような人たちは、「今」必要がないだけで、誰が、いつ、どんなのとき、どれくらい必要になるかわからないのです。私も、必要となったときは、利用すると思います。だからこそ、必要であれば、大いに使ってくださいね!



最初から多くを求めるものでは決してありません。しかし、何を期待したり希望して、サービスを利用するのか?という点は、相談支援専門員からも質問があると思います!是非、教えていただければ幸いです!












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