計画相談の計画案の作成に「スピード」が必要な理由
計画相談をはじめた頃、利用者にもっとも求められたこと、それは「サービス等利用計画案の作成のスピード」です。現在は、そういったことは少なくなったと思いますが、とにかく受給者証を発行してもらうためのサービス等利用計画案をいかに早く、行政に提出できるかが求められました。
むしろ、まだ、サービス等利用計画案の中身は、さほど問われない時代だったと言っても過言ではありません。とにもかくにも計画相談が作成するサービス等利用計画案が提出されない限り、自治体の福祉課も、受給者証の発行ができなかったわけですから、どれだけプレッシャーがあったか明白です。ちなみに、平成26年2月に計画相談を開始した当時の私は、モニタリングよりも、計画案の作成を中心に手続きを行なっていました。とにかく、毎日、悲鳴のような電話が鳴り続けるわけですから、その日の作成はその日のうちに終わらせないと、次の日は地獄になることは目に見えていたわけです。
最終的に、私ひとりが担当した利用者が220名を超えていたため、おそらく、当時は誰よりも忙しい相談支援専門員のひとりだったと思います。ただ、このときに、私は、効率よくサービス等利用計画案を作成する力を身につけたと思います。当時の私の計画相談としての「ウリ」は、「皆さまから教えて頂いたアセスメントを通じて、情報の鮮度が高いうちにサービス等利用計画案の作成を行います」「そして、面接後、最長3日で福祉課に提出します。」でした。
結果的に、行政の福祉課からも「ここは早いですし、間違い無いですよ!」と、常に紹介されていたのですが、皆さんは意外に思うかもしれませんが、ただ「はやい」「うまい」「やすい」ではなく、特に評価を頂いていたのは、むしろ、サービス等利用計画案に記載されている「中身」だったのです。
これは、私の個人的な意見ですので、他のすべての計画相談のみなさんに当てはまるわけではありませんが、みなさんは、インテーク〜アセスメントを取るときに、利用者やそのご家族から伺う様々な情報を聞きながら、すごい心が揺さぶられるドラマを感じたことはなかったでしょうか?ひとりひとりの生活歴を伺う中で、お子様の障害が判明したときのご家族の思いや、本人の問題に直面したときの当時の心情、そういった過去の話に触れたときに、皆さんのこころが大きく動く経験をされたことは、1度や2度ではなかったのではないかと思います。私は、ご本人のペースで聞き取りを行うため、はじめてのインテーク面談では、少なくとも2時間以上の時間を頂くようにしています。私が訪問先から帰宅する頃には、しっかりと相手との関係性ができるくらいに、丁寧にお話を伺うようにしているのです(言うまでもなく、例えば、対人緊張の強い精神疾患をお持ちの方を、2時間も3時間も捕まえておくのは、虐待でしかありませんので注意が必要です)。
私は、そのお話の中でこころが動かされた感情を保ちつつ、サービス等利用計画案の作成をすることを何よりも大切にしていました。そのため、訪問先を出たらすぐに、集中できる環境を探して、PCを開いて計画案の作成に取り組みました。もし、その日に作成せずに、明日、明後日と時間が過ぎてしまうと、その後に、自分で作成していた殴り書きのアセスメント表をみたところで、はじめて情報を得たときの感情に到達することはできないと感じたのです。そのときからすでに、アセスメントから得られた情報には、「鮮度」があるということを、私は身をもって理解していたのです。
処理の遅れで、取り掛かりが1週間もかかってしまっていたら、おそらく、作成した計画案は、それなりのものになってしまうと私は感じたわけです。だからこそ、自分に課したノルマとして、その日の仕事はその日のうちに完結することを最大の目標にしたのです。ただ、のちに無理が祟り、身体を壊すことになったことは言うまでもありませんが・・・。
「情報の鮮度」
こんなことを考える相談支援専門員がいたかといえば、私と一緒に仕事をしていた相談員は、みんな感じていたことでしょう。
例えば、モニタリングを行うときに、おそらく皆さんは過去のモニタリングのデータを読み込んで、訪問先のモニタリングに臨むと思いますが、私は、過去のデータを見るのは、実際にモニタリングを行なっている最中に見るようにしており、新しくモニタリング報告書を作成する際は、過去データを消してからフレッシュな気持ちで記載するようにしています。
人間は、常に「楽をしたい」生き物です。過去のデータを見てしまい、今回のモニタリングもあまり変化がないとわかってしまうと「このまま、過去のデータをつかっちゃおうかな?」「ちょっと書き換える程度でよいかな?」と思って、少しの訂正で終えようとする人もいるはずです。しかし、1度でもそれをしてしまうと、次からはすぐに楽な方法を選択すると思いますし、結果、楽をして1万数千円を稼いでいることになるのです。それでは、私たちの存在意義を私たち自身で損ねているだけです。
「私自身の気持ちが新鮮であり続けること」
それは今でも、私自身が持ち続けていることなのです。すでに計画相談の相談支援専門員として丸8年が経過した私が、今でもこの計画相談を行なうことができている理由が、まさにこれなのです。新規も含めて計画相談を即日発行する理由は、この「新鮮な気持ち」を大切にしているからであり、そのための準備は誰よりも行なっているつもりです。
そのことについては、次にお話したいと思います。
黄砂がひどいよね〜
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