計画相談の利用者の満足度を上げながら効率化するために必要なこと①

計画相談の相談支援専門員が考えていかなければならない課題は、「時間の有効利用」です。

時間管理こそが、計画相談に求められる最大の課題です。私たちは、日々、訪問→面談→移動→事務処理→提出・郵送を繰り返します。これらすべてに、私たちの1日の時間を費やすことになるのです。ただ、この動きのなかすべてが売上につながるわけではありません。それは、「新規申請」「更新申請」「モニタリング」以外の動きは、どんなに移動距離が長くて、時間給による人件費、ガソリン代や公共交通費、駐車場代といったあらゆるコストがかかろうとも、すべて無料奉仕となるからです。

私たち計画相談は、決して「ボランティア」ではありません。福祉の中でも経験年数が長く、障害福祉分野の中では比較的高度な人材を配置していること、人格者として自立度の高い人材を配置する必要があることなど、計画相談を行うこと自体にかかるコストは、結構、大きくなってしまうものです。であるからこそ、相談支援専門員である私たちの良心を削るだけの、ボランタリィな相談支援を求めることは、最終的に計画相談の継続性に甚大なる影響を及ぼし、利用者や事業所にとって計画相談と契約すること自体がリスクにさえなると言わざるを得ません。運営側もその運営コストが見合わなければ、適当な運営をしても文句は言いませんし、行政機関から指導されるくらいなら、法人は、わざわざ計画相談を運営する意義すら感じなくなってしまいます。計画相談の現状は、このような悪循環のなかにあると言っても過言ではありません。

そのような中においても、私たち計画相談支援事業所の相談支援専門員は、目の前にいる利用者やその家族と向き合い、様々なニーズや課題を拾い上げ、適切な部署につないだり、私たち自身で一緒に考え、解決に向けて動いている、そんな状況だと思うのです。そんな場面を数多くみてきた私にとって、この計画相談が今後も利用者ではなく「支援者」がなりたいと思える職業にするためのスキルを伝えていくことも、大切な使命だと感じているのです。

計画相談の相談支援専門員である私が、これまでを振り返るなかで、利用者の満足度を維持・向上しながら、効率化を図るために必要なことを考えてみました。ただ、これらは別に特別なことではなくて、おそらく評価を上げながら売上も確保している相談支援専門員であれば、これらのことはすでに行なっている人たちだと思います。ちなみに現在の私は、担当利用契約者数が約130名(だいぶん減りましたね)、月平均の売上訪問件数は約25〜6件(最近はセーブしています)です。ただし、みなさんと違うのは、それ以外の業務として、法人運営業務(法人運営等管理、3つの児童通所支援施設の管理運営業務及び請求業務、他法人のコンサルタント2件、月2回の研修会運営業務(一般社団法人の代表理事)を行なっています。その上での計画相談です。ちなみに、私の部署は私を含めた2名の相談支援専門員で構成されており、事務員を配置しています。


①設立・運営開始前の事業計画から効率化の検討が必要

実は、計画相談を設立する前から、効率化の検討を行う必要があります。まず、一番に考えなければならないのは、私たちが計画相談を担当する地区の範囲です。ご存知のように、計画相談は、利用者やご家族、事業所が私たちのスケジュールに合わせるのではなく、私たちが利用者や家族、事業所に合わせることが求められます。もちろん、わたしたちにも都合があるので、合わせる時間が限られているからこそ、たとえば、午前中は担当地区の最も東の地域に行き、午後は、最も西の地域にいかないといけなくなります。移動時間の関係上、訪問先に行くまでに、たとえば都市高速や有料道路に乗る必要があれば、そのコストもかかりますし、都心部であれば、安いコインパーキングから埋まる傾向があるので、一番高いパーキングに停めることにもなります。ガソリン代や電車やバスといった交通費もかかるなかで、売上は同じなわけですから、実際には利益は大幅に減るのです。

ただ、人口が少ない地域や、同業者が多い地区にも関わらず狭い範囲で行うと、利用契約者が伸びずに経営そのものが苦しくなったりもします。そのため、そのバランスはとても肝心。もともと広くしていた担当地区の範囲を、手に負えないからと狭くしようとすれば、利用者を犠牲にすることにつながるので、最大限の配慮が必要となります。苦情としてトラブルに発展することもしばしば発生します(このあたりを適当にしている法人の評判がすこぶる下がる姿を、私はたくさんみてきました)。逆に、担当地区を広げることは、選択肢を広げることになるので、誰も文句は言いません。ちなみに、私の場合、設立当初は担当地区がとても広く、徐々に私自身が疲弊していきました。そのため、「計画相談を辞める」ことを理由に利用者を他の事業所に移管してもらった経緯があります。その時に、当時、所属していた法人を出るきっかけにしたのです。

現在は、政令市に隣接する2市のみを担当し、移動範囲は、訪問先の自宅や事業所まで、車でほぼ20分圏内となりました。コロナ禍の流通・生産の混乱とウクライナの問題のため、今後、さらなる燃料費が高騰するなかで、やはりこういったことも十分検討しながら取り組まないと、継続に大きな影響を及ぼします。これから、人の移動よりも郵送やSNSの方がコスト的にもかからなくなります。ペーパーレスはすでに必須となりつつあります。PCが苦手、ICTが苦手と言っていれば、皆さん自身がコストになってしまうシビアさも持ち合わせて欲しいところです。

風船が空に上がるのはよいのですが、コストが上がるのは正直きついです。





コメント