計画相談の利用者の満足度を上げながら効率化するために必要なこと②
②効率化を意識した時間管理
私たちが行う計画相談の相談支援専門員の業務は、時間給でもなければ、日給でもありません。どんなに時間をかけて取り組んだとしても、サービス等計画案やモニタリングを作成して、福祉課に提出しない限りは、利用者やご家族のお話を伺って、様々な問題を解決したりしても、収入には一切つながらない業務なのです。だからといって、私たちが面談を断ったり、訪問を断ったりすることはありません。しかし、「ない」からこそ、私たちは、私たちの事業を継続するために必死に取り組んでいるのです。
私たち計画相談の相談支援専門員の業務は、会議の開催を行なって終わりではなく、その後に、記録の作成や行政への提出書類の作成を行うために、大幅な時間を費やす必要があります。これらの作成には、その膨大な内容から、どうしても面談以上の時間を要してしまうのです。私自身は、年間に何百件と書類を作成してきたからこそ、「何を書類に記載し」「何を記録に残せば良いのか」といったことが、経験上、理解できているのですが、やはり、「PCも苦手」「文章力も苦手」ましてや「記録に何を残したら良いか悩む」といった経験の浅い相談支援専門員の状況であれば、どうしても書類の作成時間に数時間を要してしまうこともしばしばです。
そのため、1日に何件も会議のスケジュールを組めば、計画相談の相談支援専門員は、最終的にパンクしてしまうでしょうし、日々、時間に追われる毎日をすごせば、最終的には相談支援専門員のメンタルヘルスにも影響を及ぼすことになるでしょう。障がいを抱える方々の支援を行う私たちが、精神的不安定な状態になれば、専門家としての私たちの信頼にも影響を及びますし、利用者やご家族に対して冷静かつ丁寧な支援を実現することは、極めて難しいことになると思います。
私自身も、たくさんのケースを抱えていたときに、あまりの過酷さゆえに、お恥ずかしながら体調を崩して動けなくなるほどの経験をしました。そのために、私は、私の限界を理解するようになり、本当であればもっと柔軟に対応したいところですが、私自身を守るために、『1日2件』と決めて計画相談業務を行なっています。もし、どうしても3件しなければならないときは、次の日の午前か午後を空けるといった対応を行なっています。きょうだいや親子で担当している場合は、1日で両方の会議を行うこともありますが、その日は、別の予定をいれないようにするといった対応を行い、『1日2件』を自分の憲法として守っているのです。もちろん、私の周囲には、4件〜5件と訪問する相談支援専門員もいますが、あくまで私が私の業務を安定かつ冷静に従事できるために決めたことですので、自らその決まりを反故することはありません。
私が自分の体調を守るために決めたことによって、私が運営する事業所のルールも大幅に変わりました。そのことで、逆にとても良い結果も生まれています。
①無理なく、地域に根ざした支援を行うために、那珂川市と春日市のみを担当することにしました。その結果、最大でも車で片道20分以内で訪問先に到着することができるようになり、移動時間の短縮が実現しました。移動時間の短縮は、時間のコストだけではなく、燃料費等のコストも大幅な削減につながりました。
②午前中の業務は午前中に、午後の業務は午後の間に完結できるようになり、仕事を次の日に持ち越す機会が大幅に減少しました。1日の業務がその日のうちに完結できることは、週末などの負担もなくなり、仕事を忘れて休息をとれるようになりました。
③時間の効率化が進んだことで、利用者やご家族とは、訪問時に時間を決めなくてもゆっくりとお話しできるようになりました。長く話ができるというよりも、納得できるまで話ができるという面で、ご本人やご家族の満足度の向上にも寄与していると考えています。
④安易に計画相談支援事業所の拡大を求めず、職員の負担軽減等のために、あえて24時間体制の加算などを取得せず、業務と生活のメリハリをしっかりとつけることができ、相談支援専門員としての業務負担が減少しました(ただ、拡大できる事業所は、絶対的に拡大した方が安定した運営が可能です)。
以上のことは、私たちにとって、収入という側面では、必ずしも良いことばかりとは言えませんが、だからといって目先の利益を追うのではなく、私が計画相談の相談支援専門員として『継続できる働き方』を常に模索しながら活動を進めています。効率化とは、必ずしも経済的な面だとは思いません。相談支援専門員に対する身体的・精神的な負担軽減も、重要な効率化の効果だと思います。
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