目に見えないストレスを実践で理解する
以下は、別に私の持つケースではありませんが・・・似たような話は数多く存在します。
今回は現実にありそうな「例え話」として。
『ASDの我が子ではあるけれど、あまりの子育てのストレスで、急に胸が苦しくなって寝込んでしまい、不安を感じて病院を受診したら、ストレス性の心臓疾患との診断を受けて・・・。医師からは、「何か大きなストレスがあるのではないですか?」と尋ねられたけど、さすがに我が子の子育てが原因とは言えず、、、夫も義理の両親も何も考えていなくて、もちろん支援は全く期待できずに・・・』と苦々しい表情をしながら、つぶやくように話す若いお母さん。
家庭内に何らかの福祉サービスによる支援を入れることは絶対的に不可能であり(・・・確かに難しそう)、誰も助けてもらえない状況がみてとれる・・・。
といった話をモニタリングの席で聞くと、本当に身につまされるような思いになりますし、帰り際のお母さんの後ろ姿をみながら、少しでもストレスが軽減されるよう祈るような思いで送り出すことしかできません。
相談支援の現場では、「いったい私たちができることはなんなのか?」「存在意義とはなんだ?」といった葛藤は、日常茶飯事です。なんせ、私自身も、計画相談を行なっていて、しらないうちに過度のストレスがかかってしまい、このような話に出てくるような心臓疾患が、実際に顔を覗かせ、私の場合は不整脈で寝込むことになります。ストレスって、目に見えない、実際には感じにくいものなので、「まさか自分がこの程度でストレスを感じるなんて!」と思うくらいに、意外なところで感じるものだということも、計画相談を通じて学びました。
「毎日、話を聞くだけの仕事」とか、「書類屋みたいな単調な仕事」なんてことばを耳にしますが、実際には、かなりストレスがかかる大変な仕事です。他人の人生について話を伺い、まるで毎回がドラマのようなお話ばかりです。負の感情で引き込まれてしまうような内容にも数多く直面しますし、やりがいの反面、考えすぎて眠れなかったりで、一気に体調を崩しやすくなることも多いです。この仕事をしていくと、身体的な症状が表に出てくる人はまだ良いほうだと思ってしまいます。なぜなら、先に身体的影響が出ると、強制的に動けなくなるので休息を取らざるを得なくなります。または、気分転換の必要性を感じることができ、例えば「旅行にでも行ってこようかな?」という気もちにもなります。
しかし、先に精神的な症状が出てしまうと、その時にはすでに限界に達して「バーンアウト(燃え尽き)」している状況のため、回復が遅れるだけではなく、この業界にいること自体が、精神的不調につながることにもなりかねません。いわゆる、ドロップアウトするしか選択肢がなくなる可能性があるということです。
対人援助職を行なっている人たちにとってみれば、バーンアウトは業務における最大のリスクでもあります。しかし、相談支援の場合は、前も見えない、周囲も見えない、先も見えない状況に陥りやすく、相談支援専門員にかかるストレスの影響は計り知れません。ましてや、当の本人たちが感じにくいものでもあるため、実際には、かなりのストレスに晒され、リスクにも晒されている状態なのです。誰でもできる簡単なお仕事と思う方は、ぜひ、一度、やってみられることをお勧めします。きっと、夜も眠れないくらいに、いろんなことを考えてしまうほど、相談支援の現場は過酷だと思います。
連休に入るタイミングで、大きな問題が生じてしまい、そのことによって頭が支配されて、5連休が返って地獄だったという話は、他人の話ではありません。私ですら、連休前はあまり事業所に居たくない、行きたくないとすら思うのですから。まぁ、最近は携帯やLINEで直接くるので、そういったことも無駄ではありますが。
私を例にあげてみれば、自宅から職場まで片道40kmくらいあり、高速道路を利用しても、早くても45分程度かかります。多くの人たちから、「遠いね?」「きつくない?」と言われますが、私はそれくらい離れていないと、職場とプライベートの切り替えがうまくできません。また、地域にこれまで300名近くの方々と接点を持ってきた以上、スーパーやコンビニでもどこでも誰かと会うことになります。そうなると、もし、私の生活圏が、職場と同じ環境となったら、自分が自分らしくいられる時間は、皆無となってしまいます。
すべての人にお勧めするわけではありませんが、私の性格や特性を考えると、少し距離があったほうが、気持ちの切り替えが行いやすく、ストレスの解消・発散になるといった感じです。こういった話ができるのは、わたし自身が一度、限界を知っているから。自分で自分を何度も振り返っているからです。なんとか、現在は、この業界にい続けることができていますが、あやうい状況は、これまでも何度もありました。「この仕事しか、私にはできない」という前向きな気持ちが残っていたので、今もこうやっているだけで、いつ・なんどき、どうなるかなんてわかりません。
自分らしい、自分との付き合い方を感じながら、計画相談の業務に従事することも大切な「計画相談」の業務であることを知っておきましょう。継続することが最優先だからこそ、私にとっても、これらの問題は、最優先なのです。
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