《ノーマ通信》2022年新年号

新年あけましておめでとうございます。
本年もどうぞよろしくお願いいたします。


2022年は皆様にとって素晴らしい年になりますように、計画相談支援室ノーマ職員一同、心よりお祈り申し上げます。


計画相談支援室ノーマは、2018年2月に設立し、2022年2月を迎えて丸4年を迎えることとなります。そして、私個人としての計画相談としての歩みは、2014年2月からスタートし、丸8年となり、2022年2月より、いよいよ9年目に突入します。計画相談が始まった時期から、この業務に従事させていただき、その間も、さまざまな出来事があり、いろんな思いもあるなかで、10年を私にとっての一つの区切りとして、2022年も粛々と計画相談を継続していこうと思っています。昨年末も、利用者さんやそのご家族を取り巻く様々な出来事がありましたが、私どもノーマも可能な限り、皆様に寄り添いながら、皆様の不安や心配を取り除いたり、将来に向けた自己決定、自己実現を行う上でのお手伝いをさせていただけたらと思っております。今後とも変わらぬご愛顧の程よろしくお願いいたします。

今、私たち自身の手で、私たち自身を評価できることは、計画相談を8年間やり続けてきたことだけだと思います。しかし、8年間やり続けることが、いかに難しいことかも理解しているつもりです。ご契約いただいた利用者さんやそのご家族の中には、たった数年で、計画相談が3〜4回変わっている方もいらっしゃいます。その方々の計画相談に対する不信感は、尋常ではありません。その多くは、計画相談の一方的な理由による、半ば強制的な事業所の変更が主な理由であり、不満に思っても仕方ないと思います。私たちは、設立当初から、それぞれの相談支援専門員に対しても、この仕事を続けるために必要な手段を講じることを決まり事として優先的に行うように求め、それを実行してきた結果、場合によっては不自由な思いをさせることもあるかもしれませんが、こうやって定期的に皆様のところへ、変わらず訪問させていただくことができています。

事業所様にも、可能な限りご負担がいかないように配慮を行いながら、日程調整を行い、会議にもご参加いただいています。しかしながら、私たちも人間であり、思いがけないミスを犯すことも度々あります。例えば、会議を行う日時をご連絡し忘れていたり、私自身が会議をすっぽかしてしまったりと・・・(汗)笑えない話ではありますが、そういったときにも、笑って受け入れていただく皆様のご配慮に対しては、心から感謝しております。特に、私どもは地域を限定しての受け入れを行なっていますので、地域の事業所とのつながりが、時間の経過とともに深まっている実感があり、とても業務をしやすい環境をご提供いただいています。ご無理を承知でお願いすることもございますが、可能な限り、ご協力いただけると幸いです。


2022年も、精一杯、計画相談を行なって参りますので、引き続き、計画相談へのご理解ご協力の程よろしくお願いいたします。




相談支援に見る、気候変動問題


相談支援の業界的には良く言われることですが、特に春先と秋頃には、利用者さんまたはご家族からの連絡が増えてくる時期と言われることがあります。春は、厳しい冬を乗り越えて徐々に暖かくなり、それまで寒さで縮こまっていた「こころやからだ」も暖かさとともに一気に緩み、解き放たれるような気持ちになりますよね。「草花が芽吹く時期は・・・」といった言葉もあるように、私たちの気持ちが上向き(浮き足立つ?)、新しいことへの動きが増える時期でもあります。特に3月は、「卒園」「卒業」「退職」、4月は、「入学」や「進級」、「就職」など人の動きや変化が多い時期ということもありますが、そういった周囲の変化や雰囲気を感じとり、「私も何かを始めなきゃ」と焦りにも似た気持ちになる方も増える頃です。これまで自宅で過ごしていた方が、急に「事業所の利用を検討したい」とご連絡を頂いたりすることがよくあります。

また、秋は、夏の暑い時期で外にすら出ることが億劫だった分、気温が下がり、過ごしやすくなることで、少し意識が外に向き始める時期でもあります。また、ご家族の場合は、年末も近づき1年を振り返る中で、「このままでいいのか?」と不安を感じやすい時期とも言えます。ですので、私たち相談支援専門員も、「今日は、とても電話連絡が多いな?」と感じたタイミングで、「季節を感じる」ということになります。

夏や冬の時期は、どうしても「暑いから、少し涼しくなってから・・・」「寒いから、少し暖かくなってから・・・」というふうに、理由を付けやすい時期と言えるのかもしれません。そういった背景があるせいか、季節としては暑さ寒さの厳しい時期に行動した方々は、厳しい時期に行動する程のモチベーションがあったということになるため、通所や就職を継続していく方も多い印象を受けます(あくまで、印象ですが)。

私たちの住む日本は、世界的にみても、春夏秋冬「四季」がはっきりしている国と言われます。だからこそ、季節が私たちの行動に影響を及ぼしていると考えると、私たちも自然の一部であることを改めて認識させられます。ただ、最近、世間を賑わせている異常気象や気候変動といった問題は、こういった電話が増えるタイミングですらズレを生じさせていると言えます。本来であればそういった時期ではないときに電話が増えてみたり、本来、増えてくる時期に増えなかったり。あくまでも、実感であり、詳細な数を出したわけではないですが、個人的に気候変動の影響を考えずにはいられません。そういった「いつもと違う」状況は、私たちのこれまでの経験に基づく「予測」を困難にしていくことにもなりますし、「だいたいこの時期は・・・」といった時期を理由にしていたことも、うまく季節と現実にズレが生じてくれば、皆様からの相談に対する返答内容にすら変更を加えていく必要にも迫られます。何気ないことかもしれませんが、今一度、福祉の現場にいる私たちも、当たり前に存在している自然や環境に目を向けていく必要があるのではないかと考える今日この頃です。




「自立」ということばが、私たちの視野や選択肢を狭めている可能性があるということ。


最近、児童分野でも、就労分野・介護分野でも、「自立」ということばに溢れています。計画相談事業所である私たちも、モニタリング会議を開催した際には、本人・保護者、事業所からも「自立」ということばが飛び交っています。しかし、「自立」ということばひとつに対しても、私たちは慎重にならざるを得ないときがあります。それは、「自立したい(させたい)と思っているのは誰か?」ということです。

実は、「自立」ということばは、曖昧であるが故にとても万能なことばです。「自立」とことばを書いておけば、支援計画もそれなりの意味を持たせることができます。みなさんが使っている「自立」ということばの背景には、多くの方にとってはポジティブな意味を含んでいると思いますが、「自立する=幸せ」か?と問われると、私は、一概にそうとはいえないと思っています。

まず、みなさんが考える「自立とは何か?」を明確にしておく必要があります。どこまでできれば「自立」と言えるのか?そのあたりをはっきりとしておかないと、支援者も「自立」を盾に、サービスを利用するご本人に過度の負担をかけることにもつながりかねません。また、「自立したい(させたい)のは誰か?」「自立することで、誰が幸せになるのか?」という点も注意する必要があります。ご家庭でも、支援機関でも発生する「虐待」の理由のひとつには、「自立」を盾に押し付けてきた過度な本人への負担が存在します。自立を促すことで、「本人にとって適さない支援」を正当化する理由になるということです。「本人の自立のためです!」と頻繁に口にする支援者や支援機関の背景には、児童のサービスであれ、成人のサービスであれ、支援の柔軟性を失ってしまっている可能性もあります。皆さんが直感的に「違和感」を感じる事業所が、もし頻繁に「自立」ということばを使っているのであれば、少し注意した方が良いかもしれません。また、そういった現象は、必ずしも支援機関だけではなく、ご家族にとっても自立を「都合が良いことば」として利用されることになります。自分で自分の生活費を稼ぐことが「自立」なのか?誰の手も借りず、なんでも自分でできることが「自立」なのか?そもそもそれができなければ「自立」ではないのか?そのあたりをはっきりしないまま、自立に向けて進めていくことは、実は、もっとたくさんあった本人の未来の選択肢を狭めてしまう可能性もあります。

ことばは、簡単でありながら「強い作用」を持っています。人を傷つけるために、行動は必要ありません。「ことば」によって、将来に渡り、私たちは他者に対して影響を及ぼすことができます。「自立」という前向きなことば、ポジティブなことばをつかって、私たち支援者や保護者は、簡単にこどもの未来を奪うこともできるのです。今一度、皆さんが考える「自立」ということばの目的を整理してみるのも良いかもしれません。



最近のグループホーム事情と入居を希望する皆様に求められること


 最近、グループホームの設立ラッシュが続いています。特に、隣接している福岡市さんが、行政主体で設立斡旋していることもあり、全国の法人が福岡市に集まり、以前とは比較にならないくらいに設立ラッシュを迎えています。現状では、福岡市での設立が多いですが、当然、福岡市に事業所の基盤ができ、設立が飽和状態になれば、近隣市にも設立が増えてくることが予想されます。これは、いわゆる皆さんのお住まいのすぐそばに、グループホームが設立される可能性が出てくることです。

 モニタリングを行なっていると、結構な割合で将来的なグループホームの入居を希望するお話を耳にします。しかし、近くにグループホームがあることを伝えると、「いや・・・今は私は元気だから良いかな・・・」や、保護者であっても同じようなことばをお話しする方がほとんどです。結局のところ、グループホーム入居を口にしても、実際に入居の話をしたところで、意外にも入居に踏み切れない現実があります。しかし、皆さんがグループホームに入居を希望しているタイミングに、身近なところにグループホームの空室があるかまでは、私たち計画相談支援事業所にも予測はできません。その時になってみないとわからないのが現状です。これまでのケースの多くは、保護者に何か生じた場合、本人が生活基盤を失い、支援機関に緊急対応を求められることになった場合は、ほぼ、遠方への保護的な入居になってしまうことがほとんどです。入所施設やグループホームは、今でこそ身近な場所にも見かけることはできますが、実際に受け入れが可能な施設は、都心部では不可能に近いと言えます。すでに、それを予測して、保護者が元気な段階で入居予約をしている方もいらっしゃる中で、それまで入居のことを何も考えずに、行動してこなかった方の入居は、かなり厳しいものになると言わざるを得ません。特に、ノーマの利用者は、精神障害の方が多いため、多くの方は、緊急を要請された場合は、慣れ親しんだ医療機関への入院が可能となり、そこから社会復帰に向けて調整を行う時間を稼ぐことができますが、しかし、特に軽度・重度に関わらず、知的障害の方については、なかなかそうもいかない事情が生じやすいと言えます。

 そのため、最近では、児童を含めて短期入所の利用を検討される方も数多くいますが、実際には、短期入所の利用はさらに厳しさを増しており、短期入所を利用している方々の多くは、利用できても月1〜2回が限界です。それでも、そうやって利用している方につきましては、緊急事態の際には、事業所側も事情を汲み取り、配慮を行なった結果、緊急事態の期間の利用の検討をしてくれる場合もありますが、実際には、そういったことへの調整も含めて、数ヶ月を要することもしばしばです。身近に頼れる親族がいる場合は、そこまで考える必要はないと思いますが、実際に、親子だけで過ごしている方も多いなか、緊急事態の対応は、私たちのような支援者としても頭を抱える問題です。

 私たちは、皆さんに入所の検討を斡旋したいと思っているのではなく、各ご家庭の実情を鑑みて、何を優先順位とするのかをご家族で話し合っておく必要があると思っています。身近にグループホームができたタイミングで入居を検討するのであれば、私は、すでにその準備をはじめておいても良いのではないかと思っているのです。例えば、身近にグループホームができれば、それぞれの生活が確保され、週末などの行き来もしやすくなります。皆さんが確実に年齢を重ねる中で、ご自宅とグループホームまでの距離があると、ご家族の行き来の回数は確実に減少します。私が担当させていただいているご家族は、お子様のグループホームや入所施設への入居に合わせて、家族ごと近くに転居を検討している方もいます。誰が正しいといったことではなく、それぞれ、どうやっていくかを考えておくことが重要だと思います。明日、皆さんのお近くにグループホームができたとき、皆さんならどうされますか?



計画相談の変更は可能ですが、変更については慎重に。


 計画相談支援室ノーマでは、計画相談支援事業所及び相談支援専門員の変更は、もっと柔軟に行なって頂いて良いと思っています。相性の問題や気になることがあれば、それを抱えたまま、定期的にお会いすることになる訳ですので、これから長い期間のお付き合いを行うことになることを考えれば、たまにしか合わないからこそ、本当に相性の良い相談支援専門員とつながることが重要だと思います。モニタリングの時期が近づいてくる度に、皆さんが気になってしまう状況だと、本当に支援を必要とした時の介入のしづらさなどが生じてしまえば、皆様ご自身に不利益が生じてしまいます。そのような観点からも、「たまにしか会わないから我慢する」ではなく、「たまにしかあわない関係だからこそ、自分に合う相談員を見つける」という気持ちを持っていただけたらと思います。

 ただ、計画相談及び相談支援専門員の変更を行う際には、十分、注意して頂きたいことがあります。それは、自ら「計画相談を変更したい」と思って変更するのではなく、誰かが「計画相談を変更した方が良い」と言われたことにより変更をする場合です。その際には、自分がなぜ計画相談を変更したいのか?を今一度、振り替えって頂けたらと思います。例えば、皆様がご利用している事業所が、新たに計画相談支援事業所を設立したから、その事業所に言われて(もしくは、皆さんが気を遣って)変更するのか、または、利用している事業所の職員さんから、「担当の計画相談を変えた方が良い」と言われて変更をするのか?「あまりその事業所の良い噂を聞かない」と誰かから言われて計画相談を変更するのか?理由はいろいろあるかもしれませんが、そういったアドバイスの裏には、何かしらの意図が隠れている可能性があるからです。実際に、『計画相談支援事業所から、その計画相談と同じ法人が運営する事業所を斡旋される』『私は別に困っていないけれど、通所している事業所から、その計画相談の文句ばかり言われて計画相談の変更を促されている』『知人から、私が担当してもらっている計画相談の悪口を聞くが、私自身はそういったことはないのだけど』といった声や相談を多く耳にすることが増えました。ノーマにおいては、どのような状況であっても、最終決定をするのはご本人並びにご家族ですから、いろいろと言うことはしませんが、変更する際には、「誰がそれを望んでいるのか」という視点から検討を行なった上で、計画相談の変更を行うと良いと思われます。

 計画相談支援室ノーマの考え方としては、「地域に根ざした計画相談」を念頭に運営しております。まず、私たちは、那珂川市と春日市、一部大野城市に限定して受け入れを行なっています。そのため、約3年前からノーマが主体となり、非営利の法人を設立して、地域外の計画相談支援事業所との連携体制を構築しており、担当地域外の情報は、その地域を担当する計画相談から活きた情報を得られるような体制を構築しています。また、ノーマでは、現在、40歳半ばの相談支援専門員である私と、30歳初めの相談支援専門員の2名体制で行なっていますが、年齢的に児童につきましては、18歳になったタイミングで、若い相談支援専門員へのバトンタッチを行い、ご本人にとってできるだけ年齢の近い、そして、変わらず長きに渡りお付き合いができるような体制を整えるように努力を行なっています。私たち計画相談にとっての1番の問題は、皆様が望んでもないのに、私たちの事情で、一方的に計画相談支援事業所を変更する事態を避けることだと思っています。そのための努力を、引き続き行なっていきたいと思っています。すでに8年目に入る利用者及びご家族とのお付き合いをさせて頂いており、こころから感謝しております。そして、いつも、計画相談にご理解ご協力頂き誠にありがとうございます!




最も利用が困難なサービスとは?


それは、「居宅介護」「移動支援」といったヘルパーサービスと断言します。もはや、「移動支援」については、ここしばらく、私が、皆様に情報提供を行ったり、調整して、ご希望にそった事業所に繋いだケースは、残念ながら「ほぼ」ありません。目をつぶって針に糸を通すこと位に、利用するまでの難しさを実感している今日この頃です。なぜ、「居宅介護」「移動支援」の利用が難しいのかという説明をする前に、ヘルパーの現状を理解して頂きたいと思います。みなさんが良く知っている障害福祉サービスとしてヘルパーさんのサービスとしては、「居宅介護(身体介護/家事援助/母子支援)」や「通院等介助」、「移動支援」などがありますが、これらすべて支援を行なっているのは、「居宅介護支援事業所」と呼ばれるものです。この居宅介護支援事業所は、ご存知のように高齢者介護、すなわち「介護保険制度」がベースとなった事業所が中心で行なっており、ヘルパーさんの多くは、高齢者介護の支援を行っています。高齢者介護の現場を支えている事業所は、図の通り、主に40歳から60歳代のヘルパーさんたちであり、20〜30歳代のヘルパーさんは、全体の1割もいません。児童や若い世代を対応できる若いヘルパーさんの数がいかに少ないかお分かりいただけると思います。また、多くは女性ヘルパーが中心ということもあり、男性ヘルパーの不足も否めません。

加えて、いよいよ逼迫しているヘルパー不足です。現状、あまりにもヘルパーが不足しているので、国も重い腰をあげ、ヘルパーの処遇改善を行なっていますが、実は、結構な高い給与を払っても、成り手がいないという現実に直面しています。実は、介護福祉士の成り手も減っており、以前のように養成校も減少の一途を辿っています。おそらく、今後数年後には、もっとヘルパーは減少していくと予想されています。高齢者・障がい者が増える中で、これ程恐ろしいことはないのです。私が、以前から恐れていたことが、正に現実になろうとしているのです。とある事業所は、毎年、今いるヘルパーが年齢を重ねているだけとお話されていました。しかも、民間ではなく、公的部門の事業所だから本当に深刻です。

そのため、ヘルパーさんの利用は、十分、検討を行なって、早めの導入をおすすめします。本当に必要なときに、サービスを受けるためには、本当に必要になる前の状況から、まずは月1〜2回からでも利用を行うことをお勧めします。事業所との関係性を徐々に構築するなかで、はじめて皆様の希望が少しずつ叶ってくると思った方が良いと思います。ヘルパーさんも人間ですので、関係性を構築し、相手の思いや気持ちがわかればわかるほど、困った時にはすぐにでも助けたいと思うものです。どんなにみなさんが一方的に利用を希望しても、現状では、ヘルパーさん達が100%応えてくれるほど、ヘルパーの数は充実していないのです。だから、窓口で利用が叶わずに、頭を抱えている方がたくさんいます。皆さん以外にも、利用を希望する方が、他にもたくさんいるというのが、今の日本の現状です。これは脅しではなく、現実なのです。それくらいに、ヘルパーさんは、少ないのです。そのため、ヘルパーさんには、是非、温かい目でみてあげていただけたらと思います。





計画相談の質の向上と様々な課題


計画相談は、それぞれで担当を持ち、各々の責任に置いての事業運営が求められるが故に、自由に動き回れるという点で、相談支援専門員の仕事を選ぶ方も一定数います。また、小資本で設立できることも大きな魅力と言えます。反面、すべてが自己責任になるが故に、例えば、個人で行なっている計画相談支援事業所の相談支援専門員が、万が一、長く病気をしてしまうと、利用者に多大なご迷惑をおかけするだけではなく、単独事業所であれば、自事業所の安定運営にも大きな影響を及ぼしてしまいます。そのため、ひとりの相談支援専門員に与えられるプレッシャーは、みなさんが想像するよりも大きく、私も、足の痛みで到底歩けるような状況でないときも(・・・御察しくださいw)、痛み止めを服用して、生汗をかきながら訪問したことが幾度となくなります。今、このときでも、すでに来月、再来月の予定が埋まってしまうような状況でもあるので、例えば、急な冠婚葬祭ですら、その影響は、広範囲に広がってしまいます。本日、訪問する方は、すでに1ヶ月前に予定を組んでおり、そのために、ご本人並びにご家族、そして、会議に参加していただく事業所との調整が行われています。それを、個人的な理由でキャンセルすることは、あまりにも申し訳なくて、とても心苦しいのです。そういった意味では、精神的に追い詰められやすい事業とも言えます。

計画相談は、利用者やそのご家族にとっては、とても身近な存在にもなれますが、例えば、大きな法人に所属している計画相談だと、「利益を生みださない」「コストが高い」といったマイナスな存在として扱われます。制度としては、相談支援専門員を増やせば増やすほど、加算が取れるシステムになりますが、1〜2名での相談支援専門員による計画相談の運営は、正直、コストに見合いませんし、実際に、現状でも、ノーマは大きな赤字を生み出しています。かといって、その責任は大きかろうが、小さかろうが変わりませんので、正直に言うと、コストに見合わない事業であるとも言えます。大手になればなるほど、手を出さない事業ともいえるでしょう。

ただ、この仕事は、ある程度の経験を重ねた福祉経験者であれば、自分の持つスキルや能力を活用でき、かつ誰の目を気にすることもなく、自己判断・自己責任にて相談支援を行うことができるという意味では、本当に自由でやりがいのある事業です。ただし、私は、この相談支援専門員という業務には、「自立」「自律」という義務が課せられると思っています。この計画相談は、みなさんもご存知のように、内容も質もバラバラで、正式に開始して、7〜8年が経過した今でも、計画相談に対するクレームは増大するばかりです。利用者だけならともかく、最近は、支援機関からも計画相談に対するクレームが増えてきました。そのため、利用者やご家族のなかには、計画相談支援の事業所を変更する方も増えてきました。他にも、事業所を運営している法人が、新たに計画相談支援事業に参入するところも増えていますが、概ね、自事業所への誘導目的での設立も見受けられ、これは、自治体も把握している状況であり、おそらく何らかの対応が行われると思います。

こういった問題は、私たち計画相談支援事業所の自助努力によって改善していく必要がありますが、まだ、正式に計画相談が始まって7年程度の事業です。まだまだこの業界は、年齢的にはベテランな人もいますが(苦笑)、計画相談としての経験年数を抱えたベテランが少ない業界とも言えます。いつまでもクレームばかり言われている業種だと、いつかは、皆さんに「必要がない」と言われてしまいかねない状況だからこそ、ノーマを主体として、地域の計画相談と協力し、「一般社団法人福岡・筑紫地区地域福祉支援協会」を設立、筑紫地区を中心に、各分野の研修会の開催を毎月行ない、地域福祉の向上を図るようにしています。その中でも、計画相談に関する研修会の開催がもっとも回数が多く、研修会を通じて各地域の計画相談とつながり、今では、筑紫地区全域は元より、福岡市、糟屋郡、遠くは久留米市の事業所とも連携を図っています。そして、ノーマも計画相談の質の向上を図り、その意欲ある事業所と連携を行なっていますので、みなさんの地域の計画相談がまだ決まっていない方であれば、私どもの協会に所属している計画相談を参考にしていただいても良いかもしれません。




放課後等デイサービスは「2類型へ」


令和3年10月、厚生労働省の障害児通所支援の在り方に関する検討会において、今後の放課後等デイサービスの在り方に関して、大きなニュースが飛び込んできました。今後、放課後等デイサービスは、ひとりひとりのお子様の課題に応じた総合的な支援を行う「総合支援型」と短時間で作業療法士や理学療法士、言語聴覚士等による専門家による個別プログラムの提供を行う「特定プログラム特化型」の2つの形に集約されることになりました。ここで重要なのは、学習やパソコン教室、ピアノ教室といった、ひとりの個々の状況に応じた発達支援ができない、周囲からは「習い事」のような取り組みを行なっている放課後等デイサービスは、公費の対象外となることが示されたのです(いわゆる、放課後等デイサービスとして認めないということです)。まだ、指針が示されただけで、詳細についてはこれから出てくると思われますが、もしかすると、みなさまのお子様が通われている放課後等デイサービスが、デイサービスとして利用できなくなる可能性があるとも言えます。

もともと、放課後等デイサービスで「ある」「なし」をどのように判断するのか?誰がそれを決めるのか?現段階では、私たちもまだ情報が乏しく、判断できないことばかりですが、放課後等デイサービス界隈では、すでにいろんな話が飛び交っており、例えば、(もちろん未確認ですし、わかりませんが)、すでに「サッカー」「バスケ」「PC教室」「ピアノ教室」「公文」「学習支援」といった固定のプログラムとして提供していること自体がダメになるのでは?といったことも言われるようになりました。最終的には、児童福祉法の改正が国会で承認され、その具体的な方針が国から示されない限り、今、私たちがはっきりと言えることはないのですが、そのときに対応しようとすれば、他の事業所もあわせて対応しようとするため、その対応が間に合わずに、それこそ事業運営が不安定になってしまう可能性が高くなります。そのため、当法人が運営する児童発達支援及び放課後等デイサービスも、先を見据えた対策を、今から行っていく必要があります。

今、ちまたで言われていることは、保護者のニーズが高い「個別療育型」「母子通園型」の事業所は、今回の制度改正において、評価されるのではなく、逆に、評価が下げられるのではないかと言われています。その大きな理由のひとつに、「支援そのものが短時間であること」「本来であれば、医療が行うべきものであるということ」という点で問題視されているようです。これまで「個別支援型」の放課後等デイサービスは、個別療育を行うべき医療機関が軒並み受け入れ許容量を超えてしまっており、「利用できない」もしくは、「利用できたとしても月1〜2回のペースでしか利用できない」という現状があったため、その状態を補完する形で生まれてきたという経緯があります。であるならば、それを全くなくすことはできないにしても、本来では「福祉」が担うものではないとの判断がなされるのであれば、事業所の収入減少につながるのではないかと言われるようになりました(まだ、わかりませんが)。であれば、事業運営を縮小する、諦める事業所も出てくる可能性もあり、今後の推移を見守っていく必要を感じています。

また、「総合支援型」にも大きな課題があり、そもそも、どのように総合支援を行なっていることを評価するのか?という点で、さまざまな憶測が飛び交っています。私たちは、今後は、さらにアセスメント、個別支援計画の内容、事業所における記録の内容、そしてモニタリングの評価内容が、かなり求められるようになるのではないかと考えています。ノーマの法人が運営する放課後等デイサービス事業所には、すでにそのような状況が出てくることを予測して、すでに記録等に関しては、かなり難易度の高い要求をスタッフに行なってきましたが、みなさまのご利用頂いている事業所にも、今後は、求められる内容が大きく変わってくることが予想されます。今一度、自事業所については、法人の皆さんにも再確認を行うことをお勧めします。

利用されている児童並びに保護者の皆様には、今一度、皆様が利用している事業所との協力体制を構築して頂けたらと思います。今後、事業所側が求めてくるモニタリング会議の開催や個別支援計画の内容などにも、保護者のみなさまが積極的に関わっていただき、保護者の責任において内容を精査し、ご家庭と事業所が一緒にお子様の支援を行なっていくようにしていくことが重要になると思われます。今回の制度改正で最も怖いのは、みなさんがご利用いただいている放課後等デイサービスが、指定の対象外になること以上に、現在は、誰もが求めれば、月23日ご利用いただいていますが、今後は、その子の能力や課題に応じて、利用の上限を設定される可能性が出てくるということです。国の予算は逼迫しており、完全に費用を減らすための制度改正となることは間違いありません。是非、この機会に、今一度、ご本人の持っている力に合わせた生活スタイルの確立と、事業所との協力体制を図って頂くことをお勧めします。




私たちの強み


1年を振り返った時、いつも私のそばには、志を持って地域に貢献している障害福祉サービスに従事する仲間たちがいました。この1年で、彼らも大きく成長し、ノーマの規模をはるかに越える組織に成長したり、ひとりで取り組みながらも、これまでと変わらない人が、変わらず支援を継続していました。誰もが紆余曲折を感じながら、コロナ禍でかなりの影響を受けながらも、自分たちの足元をしっかり固めながら、現状を維持するだけではなく、さらなる飛躍を行なっています。

しかし、そういった動きも私たちは常に情報を共有しながら、ときにはお互いに相談し合いながら、今の私たちにできることを考えて、前に進んでいます。ときには、躊躇したり、悩んだりする者もいましたが、仲間たちが背中を押す形で、勇気を振り絞って進んでいたように思います。常に顔の見える関係性を構築してきたことで、良いことは後押しし、悪いことは遠慮なく釘を刺す。そうやって、お互いに成長しあえる組織が、この地区にはあると思っています。逆に、繋がりを持てない事業所は、同じ業務を行なっている同業者であってもカバーしてあげられないのです。

私たちは、常に情報共有しながら、お互いを支え合っています。それは、『地域福祉を担う職員たちを守るため』です。それぞれが所属する法人が、自分たちが行なっている事業すべてを把握できているわけではありません。大きな法人に所属していても、担当する事業のことを理解している人が周囲にいなくて、法人内で孤立していくケースは後をたちません。そうなれば、最終的には退職して、この地を離れていく人たちが後を立たなくなります。それは、法人にとって痛手というだけではなく、地域によっても痛手なのです。

年末、担当している人が所属している法人を退職するとのことで、サービスが利用できなくなった方が後を立ちませんでした。それは、法人の中の問題が、地域で生活する利用者に影響を及ぼしているのです。しかも、サービスによってはタダでさえ人材不足であれば、この地域における支援体制は壊滅的な状態になってしまうのです。こういった状況になった責任は、誰もとりません。私たち計画相談も困るわけです。

地域のことは、地域で守っていく必要があるということを、計画相談を通して私は思い知らされました。自分のことだけではなく、地域の同業者のこと、地域の福祉従事者のこと、地域の利用者のこと、すべてを守っていく必要があるのです。だからこそ、ノーマも新規設立者の実習を無料で受け付けてきましたし、そのノウハウを惜しみなく提供してきました。今では、私たちではなくとも、それらを実行してくれる人も増えてきました。地域のことは、地域で守り、育んでいくこと。それらを身近な仲間たちでできることが、私たちの地域の強みなのだと思います。

というより、そうやっていかないと、地域福祉を維持していくことは困難になっていくという危機感が常にあるのです。事業所の数は増え、新しい福祉を謳う人たちが増えましたが、独自に進んでいったところで、福祉業界は今後、利用者の減少とともに中央に集約していくばかりで、規模は縮小していくばかりなのです。地域はどんどん置いていかれ、すでに地域から消滅した事業もあります。マクロの視点でみても、一人勝ちしたとして中央に集約していけば、周辺地域は中央に出向くことを求められ、最終的には効率化が進み、予算は削られる一方となりかねません。

UNITE=団結する

2022年は、私たちの地域を、私たちの手で、手を取り合って守る。守り続ける。そんな思いで取り組んでいきたいと思います。2022年もどうぞよろしくお願いいたします!




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