計画相談支援事業所が選ばれる時代へ



全国的には、まだ不足している地域が多いと言われる計画相談ですが、私がいる筑紫地区及び福岡市近郊では、確実に計画相談支援事業所が増えています。

また、今回の報酬改定は、ひとつの事業所の中で、確実に相談支援専門員の数が増えており、先日も、懇意にしている同じ地区の事業所の代表と話をしていたのですが、来年初頭には、筑紫地区では、計画相談支援事業所及び相談支援専門員の数が増えて、ひとりの相談支援専門員が百数十件の利用者を受け入れられるとすれば、1000名以上の受け入れキャパができると分析していました。

それだけの受け入れができれば、当然、これまで計画相談が足りないために、相談支援専門員は「選べない」と言われてきた当地区ですが、今後は、「選ぶ」時代に突入することはもはや確実です。

その傾向はすでに顕著に出てきており、特に同じ筑紫地区の中でも一部の地区では、あきらかに計画相談の変更及び移管事例が数多く生じています。

おそらくこれまでは、モニタリングや更新手続きのために相談支援専門員とも6ヶ月に1回会うかあわないかくらいだったと思われますが、今は、3ヶ月に1回が基本になりつつあるなかで、相談支援専門員に対する認識のズレや不信感、不安感は、ご本人や保護者にとって、確実にストレスに感じるようになったと思われます。

先日も、当事業所に移管されてきた児童の保護者と初回面談を行ったときに、計画相談に対する制度の理解や手続きの意義をしっかり理解した上で、「なぜ、アセスメントをすることもなく、できあがった計画案にサインを求められるのでしょうか?」と言われ驚いたことがあります。

私自身も早い段階から、「今後は計画相談に求められる内容が厳しさを増す」という空気感を感じ取り、正しい計画相談をひたむきに行なってきたのですが、その出来事を通して、もはや、利用者や保護者の目を欺きながら計画相談を行うことは困難であるとはっきりと理解する機会となりました。

平気で上記のような計画相談を行う相談支援専門員が身近に存在していることも大きな驚きですが、私どもの地区とは全く別の地域の話になりますが、自閉症と診断がついたばかりで不安でいっぱいの若い保護者に対して、その子を担当するとある計画相談事業所が紹介した児童発達支援事業所に保護者とその子と一緒に見学に行った際に、環境が合わなかったのか見学中はずっと泣いてばかりだったとのことで、保護者も我が子には合わないと感じて、紹介していただいた手前申し訳ないが、紹介された事業所は利用しない旨を計画相談に伝えたところ、一方的「その子は、お母さんのせいで障害が悪くなっているんじゃないですか?」と言い放った相談支援専門員がいると耳にしました。

加えて、白紙のサービス等利用計画(案)に署名と捺印をさせて、内容を勝手に記載して市に提出している相談支援専門員の存在も判明しました。

保護者は泣きながら苦情と計画相談の変更を市に申立て、その場で変更になったとのことですが、市からその事業所に対する指導及び監査はありません。

その保護者は、計画相談に対して恐怖を抱き、代わりの相談支援専門員に会うことも不安に感じている程、一種のトラウマになっているため、セルフプランでの対応という話でした。

実際に、ありえないことがありえるのも、計画相談の現場なのかもしれません。


最近は、障害福祉サービス事業所や児童向けの福祉サービスを運営する母体が運営する計画相談支援事業所も増えてきました。

特に、私どもも自事業所を紹介する際は、最後の最後か、むしろ保護者から尋ねられたときにしか話をしないように配慮しているのですが、それくらいに計画相談という立場は、「公正中立」を第一とするからこそ、私たちは、その気遣いを決して忘れないようにしているのですが、私たちがいくらそうやっても、他の事業所では、かなり大胆かつあからさまな誘導を行なっている計画相談の見受けられます。

そういった事業所からの移管が特に多いのが、この地区の特徴と言えると思います。

サービスを提供している事業所自体の評価は悪くなくても、同じ法人の計画相談支援事業所が、同じ法人が運営する事業所の評価を自ら下げていることを、私たち計画相談を行う者は自覚しないといけません。

相談支援専門員になることは、数日の研修を受ければ簡単になることができますが、地域で計画相談支援事業所としての役割を理解して、正しく運営することで、地域に求められる事業所になるためには、並大抵の努力では足りないことをあらかじめ皆様にはお伝えしたいと思います。

ノーマには、時折、計画相談支援事業所としての実際を見せて欲しいと実習を頼まれることがありますが、その参加者の多くは、その計画相談の求められる内容の奥深さに、「想像と全く違っていた」と口を揃えて話されます。

もちろん、その後の実習は真剣そのものです。

書類に対する力の入れようも全く違います。


正しく事業を行う事業所は、おのずとニーズも増え、相談支援専門員の数も増えてきます。

現行制度では、相談支援専門員としての5年以上のキャリアを持つ職員に、相談支援専門員の数が増える程、経営が安定する仕組みになっています。

求められれば、おのずとその期待に応えるために、相談支援専門員も増えてきます。

それは、私どものある筑紫地区でも、お隣の福岡市でも、確実に拡大している事業所が存在するのです。

それらの事業所は、もはや地域の相談支援体制の中核となっており、私たちノーマのような同業者にとっても、頼りになる存在となっているのです。


同じ地域には、計画相談の役割を全く果たさず、ご本人や保護者に不信感を与え続け、地域の相談支援専門員に対する評価を下げている相談支援専門員がいます。

また、自分の思いや考えばかりを一方的に先行させ、ご本人や保護者に過度の依存関係を構築している相談支援専門員が、その地域の相談支援事業所の本来の役割を超えての支援を行うことで、相談支援専門員同士の足並みを崩し、他の同業者に対して大きな負担を与えている方もいます。

特に、後者の相談支援専門員が支援を行った利用者は、他の計画相談では移管できない問題がすでに発生しています。

なぜなら、これまでと同じような支援を期待するご本人やご家族と、そう言った支援を提供できない計画相談との間にすでに溝ができてしまうため、信頼関係が構築できないのです。

いわゆる「困難ケース」と呼ばれる利用者及び保護者の多くは、私たち支援者が生み出していると言われる所以です。


計画相談は「自由に働ける」と良く言われますが、実際には、「自律して働く」ことが重要なのです。

年の瀬が近づく今だからこそ、私たちも今一度、自分自身の立ち位置を再確認して、来年に備えていきたいと思います。









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