御用納を迎えて〜計画相談を続ける上で必要なこと〜

今日は御用納となりましたが、私の業務は明日までとなります。

今年1年もコロナの影響が大きく、思い通りの動きができない現実に直面する反面、新しい取り組みにもかなり挑戦した1年でした。

結果として、良かった、悪かったは、今の現状では判断できませんが、新しいことに挑戦すること自体は、大きな刺激を受ける機会にもなりました。


これまでは確かにそうだったのですが、私は、基本的に「飽き性」な性格で、同じ業務についたとしても、長くてもオリンピックの期間ももたない、いわゆる4年以内には必ず転職している状況でした。

しかし、こと「計画相談」については、来年2月に9年目に突入しようとしているので、本当に続いている仕事だと思います。

なぜ、この仕事がこんなに継続できているのかは、私自身も不思議でしょうがないのですが、計画相談の醍醐味は、おそらくこの仕事をしていなければつながることもなかった百数十名のご本人とその背後にいるさらに数百人のご家族とつながることができるからこそ、常に新しい気持ちでいられるからではないかと、最近、特に思うようになりました。


特にノーマは、那珂川市と春日市に限定して利用者を受け入れていますので、限定したこの地域で生活を送っているたくさんの方々とつながりをもつことは、計画相談をしていなければ絶対にありえなかったと思います。

そういった出会いを通じて、地域の状況を知れば知るほど、この地に愛着が生まれるのは必然とも言えます。

なので、地域で生じる様々な問題についても、この地の住人ではない私でも、一緒に悩んでしまいがちになります。


年末には、これまで利用者を通じて、たくさんのお付き合いのあった保護者の死に直面しました。

あんなに元気だった方でしたし、いつも私にお土産を握らせようとして、帰り際に押し問答を繰り返し、私を悩ませる方でもありましたが、なんだかんだと言いながらも、私と同年代のお子様に対して、こころからの愛情を注ぐすばらしい方でした。

最初からお付き合いをして7年くらいになりましたが、本当に周囲に気を遣うかたで、最初は、サービス導入にも「もうしわけない」と頑なに利用しようとしませんでした。

モニタリングの度に保護者を説得しつづけて、1年越しでようやく週1回の利用を決めてくれたときは、私もこころから喜んだとっても思い出のある保護者さんでした。


最後は、本当にあっけないものです。

人間は、どんなに生きたいと思っても、いつかは終わりがきます。

私は、その方が本当にしあわせな最後の人生を送ることができたのかどうか、とても気になるところです。

せめて、思い残すことなく、安心して逝くことができたのか?

私はそのなかの少しでもお手伝いができたのか?


そんなことは、確認しようがないですが、事後報告で亡くなったことを知らされる私たちの身としては、とてもやりきれない気持ちでいっぱいになることがあります。

でも、決して落ち込んだり、悲しんだりはしないようにしています。

冷たいように感じるかもしれませんが、なぜなら、私のこころの奥底に、「私には、人の人生を変える程のちからは持ち合わせていない」という思いを常に持ち続けて支援を行なっているからです。

それは、最終的な決定は、すべて利用者さん並びに保護者が決めることだと思っているからこそであり、状況が改善したのは、私が支援をしたからではなく、その方々が自分で選択して、自分の生き方を決めたからだと思っているからです。

表舞台に出る支援は、直接支援を行なっている支援者の方々こそ、適切に評価されるべきですし、私たちは、常に利用者やそのご家族の黒子のような目立たない存在であることに、私個人はこの仕事の「美学」を感じているのかもしれません。


地域には、もっと積極的に関わりをもって支援を行う方々もいるからこそ、私は、時に周囲から冷酷に映ることもあるかもしれません。

たくさんの利用者を抱えるが故に、平等性、公平性を担保する必要があるからこそ、「できること」「できないこと」の線引きもはっきり引いてしまうこともあるかもしれない。

時間外になれば、途端に電話にとらないことも、そう映る原因かもしれません。


しかし、私たちがその逆のような支援を行なっていたら、今頃、きっと、3年程度でこの仕事は辞めていたにちがいありません。

それは、仕事と生活の境目を、私たち自身が見失ってしまうため、精神的に追い込まれ、そして心が燃え尽きてしまうからです。

そうなってしまえば、今のように7年〜8年と、ご本人や保護者とお付き合いを継続することもなかったと思います。

なぜ、ノーマの担当は変わらないのか?それは、私がこの仕事を辞めずにここまでくることができたからに他なりません。

この地で、7〜8年、同じ相談員が継続して計画相談を続けてくれている事業所はほとんどありません。

それは、私自身が、理由はなんであれ、私がここで計画相談をし続けることを何よりも優先しているからです。


だからこそ、無理をして得意としない分野の方、特に医療的ケアを必要とする方や身体障害を抱える方の受け入れを最初から行なっていなかったり、無理をして24時間体制を構築して、加算を取りにいったり、なんでも自分でするのではなく、事務員さんを雇用して、自ら育て、そしてあらゆる事務作業をすべてお願いしているのです。

そして、私が得意としないことは、得意とする相談支援専門員にお願いした方が、その方々のためになると信じているからです。

私は、もう、私のせいでご本人やご家族にご迷惑をかけるようなことはしたくないと思うからです。

計画相談を変えるのは、利用者やそのご家族にとってとても骨の折れる作業です。

『計画相談と相性があわないならば、計画相談は変えた方が良い』と私は皆さんに常々言っていますが、変えずに付き合いを継続できるならば、そっちの方が絶対に良いに決まっています。

そもそも、変えざるを得ない状況を作り出してしまうことは、ある意味、計画相談側の責任もあると思うのです。

だから、もう、私のせいで皆様にご迷惑をおかけしたくないのです。


最近、児童から大人のサービスに変更する18歳を気に、若手の相談支援専門員にバトンタッチを行うようにしています。

それは、私が保護者とそうであったように、若手とご本人がこれから先の長い人生のなかで、少しでも計画相談を変えずに信頼関係を構築していってほしいと思うからです。

保護者の相談は、私がここにいる限り、私が担当しても良いのですから、せめて若い本人は、若手に引き継いであげたいと思うのです。


ながながと書きましたが、みなさん、今年一年、本当にご協力をいただきありがとうございました。

来年も、きっとこの地にいると思いますので、引き続きご協力の程をよろしくお願いいたします。




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