利用者やその保護者の些細な変化に気づくということ
当法人が運営するすべての事業所の請求業務は、私たちノーマが行なっているのですが、請求を行なっていると、時折、特定の利用児童の些細な利用日数の変化が気になることがあります。
例えば、これまで月に23日利用していた方が、18日の利用になっていたり、急に、並行利用先が増えたり。
現場では、なかなか気が付かないことでも、このように請求上の数字を見ているだけでも、さまざまな変化があり、そのことで「何かしらの異常」を発見することがあるのです。
こういった状況を発見すると、すぐに私たちから、各事業所に連絡をいれて、利用頻度の変化についての理由を尋ねることがあります。
そのなかで、「インフルエンザによる利用停止」「事業所での実習があり利用休止」とか「修学旅行のため」など、利用日数が減少したことへの明確な理由があれば、利用日数が多少減っても心配はしないのですが、実際には、「現場が気がついていない。」「現場に理由を聞いても、明確な答えはみつからない。」ということが多々あります。
その結果、例えば、特定のスタッフの対応に保護者が怒っていたり、児童本人が当該事業所に行きたくないと口にしていたり、当該事業所に対する不満から、別の事業所の見学に行っていたりと、事業所には全く伝えてられてないなかで、いろんな動きをしていることがほとんどです。
先日は、突如として私たちが運営する事業所から並行利用先の事業所に対して上限管理事業所の変更手続きの依頼がありました。
当該事業所も並行利用先事業所も利用頻度は特にかわらないのですが、突然の変更が行われたのです。
あまりにも唐突だったので、保護者に対していろいろと尋ねてその真意を確かめたところ、やはり、最終的には、当該事業所に対する不満があることがわかりました。
そのことを聞き出すために、法人の代表が直接、保護者に電話を行い、いろんな世間話などを含めて話をしていくなかで、最終的にようやく本音を引き出した結果、判明したことでした。
真意を確かめるためには、本当に慎重にことを進めていくことが必要であり、そう簡単に本音を聞き出せることはできないのです。
しかし、そういった不満の存在は、現場には何ひとつ把握できておらず、以上のように、そもそも事業所に対する不満のほとんどは、当該事業所に何一つ直接伝えられないことがほとんどなのです。
(皆さんにその自覚はあるでしょうか?)
しかし、そういった小さな変化に気づくことができなかった、もしくは、私たちの支援に不満があったことに気が付けなかったことは、当該事業所においてもやはり問題視する必要があるのです。
なぜなら、気が付かないまま運営を進めることになれば、最終的には、利用児童や保護者からも相手にされなくなるからです。
管理者にも、そのことに対する管理責任が生じるはずですが、多くの管理者は、その管理責任を認めようとはしません。
下手をすると、その矛先は不満を口にした「児童」「家族」といった相手側に向くことさえあります。
そういった管理者がいれば、当法人では、「管理者として不適格」と判断しますので、当然、その役割から外すことにもなりますが・・・。
なぜ、計画相談を行なっている私が、全体の請求業務を行うかと言えば、普段から計画相談を通じて児童や保護者のニーズや思いに触れている私だからこそ、少しでも、その小さな変化や抱える課題に対してキャッチすることができるのではないかと考えるからです。
実際に今回も、その変化を発見して、様々な側面から情報収集を行い、代表を通じて保護者に対してその真意を確かめたところに、本音の部分が判明したわけです。
その内容は、「当該事業所の支援内容に関すること」であり、そのことが、今回の上限管理事業所の変更を行うきっかけでした。
そのため、もともと長期休暇は利用頻度が増える児童でしたが、保護者が、今回のメインの利用先を並行利用先にする予定にしていたとのことでした。
当然、真意を確かめるなかで、恥ずかしい思いをしたのは当法人の代表です。
保護者のニーズに対して、こちらから気づくことができなかったことを謝罪して、変更についてはご協力させていただくことを伝えることしかできませんでした。
しかし、実際に大切なことは、こうやって自らその変化に気づき、相手にアプローチして真意を確かめるということなのです。
実は、この話には続きがあり、その保護者が謝罪のあとに話をしたのは、「当事業所の本体事業所の利用はできないか?」という問いでした。
これまで利用していた同法人が運営する事業所については、支援内容に対する不満はあったものの、そこを減らしても、同じ法人の本体事業所の利用を行いたいという結果でした。
もし、私たちが気がつかないままなら、果たしてどうなっていたでしょうか?
それは、おそらく単に私どもが運営する事業所の利用機会を失っていただけにちがいありません。
利用がなくなれば、当然ながら法人の収入が減少するだけです。
そこに私たちから気がつき、アプローチを行い、保護者に連絡をしたからこそ、利用の可能性につなげ、収入の減少も最小限に留めることができたということなのです。
「収入をいただくこと」は、「サービスを提供していること」にほかなりません。
私たちは、児童福祉サービスを提供しているのですから、サービスを利用している人が存在しているわけで、サービスを利用して頂くことは、その利用児童及び保護者が、私たちのサービスを必要としていることでもあるのです。
利用児童が増えることは、地域において、私たちの事業所が必要とされているのであり、利用児童が減るということは、地域に必要とされていない可能性があるということにつながるのです。
よく、どこの事業所にも「うちの法人は金の話ばかり」と口にする一部の職員がいますが、法人側から見ると、『収入が減る=利用者が減る=ニーズをつかめていない=地域に必要とされていない』ということでもあるのです。
逆に、どんなことであれ、利用者が増える=収入が増えることは、地域に求められている結果なのです。
私たちがどんなに思いをもって支援を行なっていても、利用児童が増えないということは、ニーズをつかめていない=私たちの単なる自己満足でしかないのです。
『良い支援を行う=収入が高い』
実は、当たり前のことでもあるのですが、なかなか気が付かないことでもあるのです。
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