より地域に根ざして、地域の方々のために。

計画相談をスタートさせたばかりの頃は、筑紫地区全域及び福岡市の一部という、かなり広範囲を担当することにしていました。そのため、私の行動範囲はかなり広がり、移動時間だけで午前中を費やすという非効率な支援を行なっていました。あわせて、担当する利用者は増える一方なので、とにかく毎日、動き回っていることが多く、実際の会議の時間は徐々に短くなり、書類をつくる時間は後回しになるという悪循環となっていました。毎日午前9時半から業務をスタートして、帰宅するのは、深夜の郵便窓口に郵送書類を出した後の深夜12時を回る毎日でした。結果的に、不整脈が徐々に酷くなり、心房細動を発症。主治医からは「過労とストレス」と断言される始末。発作が生じたときは、数日、寝込むこともしばしばありました。「このままでは、継続することすらできない」「信頼を失いかねない」と思い、最終的には、那珂川市と春日市の2市のみにを範囲を狭める決断をしたのです。このために、50世帯くらいお別れをすることになり、継続のご希望もたくさんありましたが、泣く泣くお断りさせていただきました。

地域を狭めた結果、私の移動距離は半分以下となり、どんなに遠くても、片道20分圏内となりました。そのおかげで、午前と午後、1件ずつ訪問しても、その日の時間内に書類作成までしっかりと終えることができるようになりました。また、地域を限定したことで、地域にある社会資源との繋がりがより深くなり、顔の見える連携もしやすくなりました。「春日と那珂川のことは、ノーマに聞くといいよ」「営業なら、まずはノーマを訪問した方がいいよ」といろんなところからお話いただくようになり、結果的に、ノーマにはさらに様々な情報が集まってくるようになりました。また、顔が見える連携がスムーズにできるようになったことで、例えば、利用者や保護者が事業所見学に行ったとしても、ノーマの名前を出してもらえれば、その事業所から丁寧に対応を行なっていただけるようにもなり、結果的に、私たちの負担も減少することになりました。その分、他の支援を行う余裕もできたことで、会議の時間も融通が利くようになり、時間をかけて納得するまで話し合いができるようにもなりました。結果、利用者や保護者、何より事業所のモニタリング会議に関する満足度も向上しているのではないかと思っています(もちろん、会議は長ければ良いというわけではありません)。

このように、地域の社会資源との連携が深まったことで、事業所の運営相談を受けることにもなりました。現在では、数は限定していますが、事業所運営に関するコンサルタントも引き受けています。その対価で、事務員を雇用することができるようになり、さらに事務処理の効率化を図ることができるようになりました。ちなみに、私たちの事務員は、3ヶ月以上の同行研修を行なっていますので、多くの担当者の名前と顔が一致しており、私たちが欲しい情報も事前に聞いてくれたりもするスーパー事務員です(普通の主婦ですが、おそらく誰よりも障害のことや地域のことを知っています!)。さらには、先日、地域で長年、福祉事業を行なっていたNPO法人より、理事としての参画のご依頼がありました。この法人は、市に唯一ある地域活動支援センターを運営しており、その運営に協力させて頂くことになりました。なぜ、私に声がかかったのかと尋ねると、声をかけていただいた方より、「この地区の社会資源や団体に精通しており、何より、地域が何を求めているのかを知っているから」というお答えでした。私にとっては、計画相談を淡々と行なっていただけでしたが、結果的により地域を限定して、地域に根ざしたことによって、たくさんの人との繋がりを得ることができるようになりました。私は現在、計画相談そのものが、公共性の高い社会資源だと感じています。私たちは、常に地域のものでありたいですし、地域のためのものでありたいと考えるようになりました。

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