圧倒的な量が、質を担保する(その1)

計画相談という仕事は、まさにソーシャルワークというお話は、これまでも繰り返しさせていただきましたが、ソーシャルワークのお仕事を理解している人は、まだ少ない気がしています。ソーシャルワークの定義としては、「ソーシャルワークは、社会変革と社会開発、社会的結束、および人々のエンパワメントと解放を促進する、実践に基づいた専門職であり学問である。社会正義、人権、集団的責任、および多様性尊重の諸原理は、ソーシャルワークの中核をなす。(以下、省略)」(出典:2014年度版「ソーシャルワーク専門職のグローバル定義」)となっています。ソーシャルワークを行う専門職としては、「社会福祉士」「精神保健福祉士」という2つの資格がありますが、これらは名称独占であって、業務独占ではありません。言い方を変えると、ソーシャルワークを行う人は、資格がなくても業務を行うことはできます。私たち計画相談は、5年の実務経験ののち、合計5日間の相談支援従事者初任者研修を受講すれば、相談支援専門員となり、誰でも業務に従事することができます。言い換えると、計画相談を行うためには、相談支援専門員でなければなりませんが、相談支援専門員は、研修さえ受講すれば誰でもできることになります。ですので、「相談支援専門員=ソーシャルワークができる計画相談」にはならないということです。であるならば、できるようになるために必要なこととはいったいなんでしょうか?

計画相談の相談支援専門員として業務に従事して最初に思うのは、情報の脆弱さと対人援助職としての技術的な力量不足です。もちろん、それまでに5年以上の実務経験は誰もが持っているわけですから、それまでの経験については生きてくると思います。しかし、計画相談の役割の多くは、利用者のニーズにあわせて、今、地域にある、利用できる社会資源をいかに使って、その方の課題を解放するかです。相談支援専門員として5年の経験を持つ人と、2年の経験を持つ人との違いは、圧倒的であり、歴然です。しかし、その差は、丸3年を迎える頃にはなくなってきます。なぜか?それは、目の前にいる利用者さんの数の分だけ、私たちは向き合い、その分だけの(障害福祉サービスだけではない)社会資源にも触れるからです。利用者を通して、私たちはたくさんの社会資源を知り、その目的や意義を理解します。そのためには、事業所や団体、部署とも関わりを持つ必要がありますし、相手を理解することも必要となります。そのような機会をつくってくれるのも利用者であるならば、私たちは、いかに利用者さんと接点を持つことができるかなのです。その圧倒的な情報量を積み上げていくことで、これまでの利用者への展開や、新しく受け入れる利用者への提案も、経過とともに広がっていくのです。よく、少人数にして質を担保すると言いますが、ある側面では正解ですが、ある側面ではそうではありません。私たちの武器は、その情報量と顔の見えるつながりの数だからです。その数が増えた時に、きっとみなさんの感じる、計画相談としての力量不足は解消しているはずです。圧倒的な量は、質をも担保するのはそういった意味があるのです。

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