圧倒的な量が、質を担保する(その2)

次に、数多くの利用者との関わりの中で、私たちが実感するのは、対人援助技術という部分での人との関わり方です。この点については、おそらく技術的に学んでいる「社会福祉士」「精神保健福祉士」は、長けているのではないかと思います(もちろん、そうでない人もたくさんいますが)。私がここで言いたいのは、対人援助技術の習得を行うことが、ソーシャルワークとしての基盤であり、大切な部分なのですが、その点を重視している人は少ないという現実です。多くの相談支援専門員は、ソーシャルワークの基本的技術である、信頼関係の構築術「バイスティックの7原則」を知りません。その知識を知っている人からすれば、知らないことがいかに恐ろしいことかを実感するのですが、「知らぬは仏」とはこのことかもしれません。ソーシャルワークの歴史は長く、人としての関わるための技術は、AIやロボットが普及しても普遍ですし、これから私たちの職域を守っていくための大切にしなければならない技術です。まず、私たち計画相談の相談支援専門員は、「学ぶ」という姿勢を大切にしたいものです。

その上で、経験を重ねること。時に失敗すること。失敗から学ぶこと。そのために、経験豊富な上司や先輩を持つこと。同じ職場にいなければ、尊敬できる同業者にお願いすることが、何よりも一番の近道です。これまでの人生経験があることでのプライドが邪魔をすることもありますが、そういった人のそばにいながら、素直に、謙虚に、たくさんの経験を重ねることができれば、あなたの計画相談の相談支援専門員としての、またはソーシャルワーカーとしての成長が大いに期待できると思います。しかし、そのための環境は、はじまったばかりの計画相談支援の現状では難しいと言えます。だからこそ、私は、誰でも望めば、学びの場を得られる環境をつくるべく、「一般社団法人福岡・筑紫地区地域福祉支援協会」を設立し、月に1〜2回、各分野の研修を行い、みなさんの学びの場を提供しています。計画相談支援向けには、「福岡筑紫地区計画相談支援研究会(通称:チキンの会)」「デンマーク福祉研究会(通称:対話の会)」を提供しています。また、就労支援分野の知識を得るために、「福岡筑紫地区就労支援事業所連絡会(通称:原点回帰の会)」や、地域の精神科医療連携体制の構築するための「精神科医療連携研究会」を開催しています。経験をカバーするためには、学びしかありません。同時に、向上心を持った支援者とつながることができることも魅力的です。ぜひ、みなさんの成長にご活用ください。

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