その知識や技術を伝えること(その1)

相談支援を行う現場では、計画相談の立場で事業所に支援をお願いする必要がでてくることがあります。例えば、その事業所の支援が迷走している際に、どうしても対応をアドバイスした方がよいのかな?と思えるようなとき。また、利用者や保護者のニーズがあるけれど、なかなかご本人がそのことを事業所に伝えきれないとき。いろんな場面で、第三者の立場だからこそ、権利擁護として事業所にお願いしなければならない場面がでてくると思います。そういったときこそ、私たち計画相談の存在が生きてくると思うのですが、ただ単に、計画相談の立場で「本人がこういったときは、こうしてあげてください」と伝えるだけでは、場合によっては計画相談と事業所に高い壁を作ってしまうだけかもしれません。単にお願いするだけならば誰でもできますが、嫌な言い方をすると、6ヶ月に1回した会わない人間から、アドバイスという名の元にいろいろと言われるのは、「一体、何様だ?」と言われても仕方ないかもしれません。そもそも、計画相談は、知識や技術を伝えるために存在しているのではありません。もし、本当にそうであるならば、計画相談になるためには、すべての事業やすべての世代のサービスを把握しておく必要がありますし、そのためには、全事業所を経験しておかないといけないからです。おそらく、私たちが伝える支援技術は、もともと過去の学習や経験を通して培ったものであり、アドバイスできることは、それぞれの相談支援専門員によって違いがあると思います。であるならば、私たちが本当に伝える必要があるならば、慎重に充分考えて行う必要があると思います。

そういったことが気軽に(?)できるようになるまでに、計画相談がしなければならないことがあります。それは、前回にも書いたように、まず何よりも、その事業所を知ること、その事業所を理解することが必要なのです。そして、事業所を労うことです。私たちが相談支援専門員になるために、皆さんも少なからず現場で直接支援を行なってきたのではないでしょうか。現場で支援者と向き合ってきたからこそ、共感できる場面はきっとあるはずです。私たちもそうですが、たまにしかこない人に一方的にいろいろと言われる、相手の年齢が自分よりも上であるならばまだしも、同じ歳や年下なら尚更です。「年上だから」「私の方が経験者でよく知っているから」聴きなさいというのも違います。様は「関係づくり」が大切なのです。こちら側が受け入れる誠意を見せること。協力することを示しながら、ひとりの利用者さんを協力してサポートしていくという共通認識をつくっていくことから始めます。お互いが学び合い、協力していく体制をつくるということです。これを飛び越えて相談支援専門員がアドバイスなどをしてしまうことは、この先ずっと、関係性をこじらせることになりかねないのです。もちろん、言うほど簡単ではないですし、相手も受け入れてくれない場合も数多く直面しますが。

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